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冴えない転生者

 転生者が持つ固有の力には当たり外れがすごく大きい。それは効果よりも個性的である事が原因だと言える。グレン・マーカスは外れだとは思ってない。ただどうも俺の力は地味だと見られてるようだ。仲間は誰も思ってない。しかし転生者は民衆の英雄的な存在。

 それは俺も子供の頃からそういった風潮の中で育ってきたから良く分かる。そういったヒーロー像として世間で今回の転生者はぱっとし無いと思われてるようだ。


 俺の力は防御に特化してる。特に物理攻撃にはめっぽう強い。実は魔法には俺個人を守る防御力は高いが、回りのメンバーも守るほどの物は無い。俺の力は2つの面で重宝された。まずは単純に俺が皆の前に出て敵の攻撃を受ける盾役として。

 もう一つは魔法使いの壁として俺の能力は役にたった。チームプレイならものすごく有用で代わりが居ない便利な力だと皆が分かっていた。しかしだ、最後の決め手の様な攻撃は派手な攻撃力の高い仲間が放つことで敵に致命傷を与える。そこが世間的に地味な原因だった。


 俺の力は、まず広範囲の壁の様な物理結界をはれる。ただしこれは俺次第で強度が変わる。何故そんな操作が必要か?と言うと見方も俺の壁が邪魔になるから。ある程度強度を変えて自由に動き回れるようにしなくてはいけない。いざとなったらドラゴンがぶちかましても耐えうるほどの物理的障壁を貼れる。

 次に、仲間と自分に鎧の様な動き回れるガードを作れる。これによって壁とあわせて2重の防御が可能。これに加えて仲間=20人ぐらいまでは身体的な防御力を上げる事が可能。そして俺個人にはかなり強力な魔法障壁も掛けられる。この4つを瞬時に作用できる。


 うーん改めて考えると俺ってものすごく派手な力じゃない?実際初めて一緒に戦う事になるメンバーからは呆れられる滅茶苦茶な力だとまず言われる。そう俺は事情を知ってるメンバーの言葉を毎度聞いてるから地味って思われる事にイマイチ実感が湧かないんだ。俺自身これ敵からしたら酷いわって思うから。


 ただ俺自身は特に自分の評判が高くないのは気にしてなかった。それでも世代交代が遅い事で多少気になりだした。普通は転生者は10年も代表をやればそれでお役ごめんだ。俺たちには引退やその後代表以外のメンバーになるか?または魔王討伐隊じゃないモンスター専門の部隊に入るか?など豊富な選択肢があるため代表者交代のサイクルは早かった。


 10年超えて辺りでもまるで次の転生者の評判を聞かなかった。転生者だと分からなくても転生者かも?って噂が広がるのは10年もまたなくて良い。だから10年超えてまだ次の世代の転生者が全く姿を見せないのが異例の事態になっていた。


「グレン討伐隊の代表を辞めたいとはどういう理由なのか?」


 グレンは王様に謁見していた。


「田中さんと言う転移者が活躍してる話を聞きました。確か代表は転生者じゃなくて優秀なら転移者でも可能だったと思います。普通ならもう引退や後進に譲るほどの長い期間やってきました。

力の衰え?は特に感じていませんが、知らず知らずのうちにそういう事もあるかもしれません。だから討伐隊自体は明確に力が衰えるまでは続けたいと思っています。ですが、代表をやるには不安があると言うのが理由になります」

「それは尤もな理由だな。しかも討伐隊は続けてくれる。分かったその申し出の通りにしよう」


 王様には代表交代について受理された。ただ多少言った事は違っていた。不安なんて無かった。確かに自分は防御は自信があったが、攻撃はそれほどでもなかった。攻めと守り2つを組み合わせることで地味な自分の評判も相乗効果が出るのでは?と考えたからだ。

 ただそれなら田中さんをメンバーにするだけで良い。10年続けたと言う代わり映え無さの刷新が目的だった。自分じゃそういった新風という新鮮さをもたらせられないと思ったからだ。


 田中さんは瞬間移動の力を持っていた。


「俺達は相性が良いかもね」


 田中さんは初対面でそう言ってくれた。でもこれリップサービスじゃなかった。


 実は俺達は名目上は魔王討伐対だったが、実際はスペシャルハンターのモンスター討伐隊の肩代わりをしていた。俺達の時代は魔王が居なかった。魔王も途切れることなく現れるが、実は転生者に対して魔王はちょくちょく途切れていた。

 長い歴史で見ると魔王は常に現れてるようだったけど、実際は魔王の出現については魔王同士でかなり間が空いていた。転生者がちょくちょく2人以上生まれ、かつ平均10年ごとに若い転生者が現れる。これに加えて転移者もやってくる。

 これに対して魔王は一人と決まっていた。これじゃ間が相手当然だった。仕事が無い僕らもお金が出てるし遊ばせては貰えないからモンスター討伐の代替役をちょくちょくやっていた。


「グレンが注意をひきつけて」

「おう任せておいてくれ」


 俺がモンスターを挑発して攻撃させどっしりと受けるため田中さんにモンスターの注意が行く事はほとんど無かった。田中さんは攻撃力が高いってほどじゃなかった。悪く言えば田中さんの特技は不意打ちになる。俺と組むことでノーリスクに近く不意打ちを数叩き込めるのでどんどん相手が弱っていく攻撃パターンを作っていた。

 モンスターにして見れば、魔法か?何かの遠距離攻撃と思ってるんじゃないかな。田中さんが瞬間移動で攻撃してると気がついてないと思う。どうしてもモンスターの注意が俺達に向くから。実際俺達も田中さん任せじゃない。どんどん攻撃をしていた。俺だってただ壁をやってるわけじゃない。あくまで盾だ。隙があれば攻撃する。


 特に相性が良いと思ったのは、俺を補うだけじゃなくて、田中さんも俺に補われていた。この相互の関係がすごく良かった。過去の俺イマイチだと今なら素直に思える。


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