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魔法属性

 転生者は途切れることなく脈々と繋がっていく。でもそれは血族ではない。じゃ逆に転生者の血族はどうなってるのか?彼らも転生者の影響を受けた子孫として暮らしていた。それがデュラン・ホルムズになる。


 僕らの一族が特殊なのは転生者のご先祖様デュラムが持っていた特別な属性魔法を世界でただ一つ使える一族だから。厳密には一般的に知られた4属性の次の属性か?と言うと違う。ただそれすら知ってるのは僕らの一族の特別な人間だけになる。厳密にはどれかの属性の合成魔法らしい。

 その詳細は伝えられてない。使えれば良いそれだけで今まで伝わっている。わざと厳密に教えなかったと言う解釈をしてる人も居る。外の人達に盗まれるから。一族の人達も詳細を知らなければ秘伝を盗みに来ても最終的に謎の魔法で終ってしまう。


 火水風土の4大属性に対して雷属性と呼ばれている。秘伝を盗みに血で血を洗う抗争がとかそんなのは無い。所詮は術者の力量に左右されるので、秘伝とするほど強力な魔法ではない。ただもの好きな魔法研究家が外の血として入ってくるため、僕らはそれなりに名の知れた一族となっていた。


 ステータスや誇り神秘性?そんなものなのか分からないけど、実質よりそういった名声で僕ら一族は何かと声がかかることが多かった。碁先祖さまはどこまで計算していたか?分からないけど結果的に雷属性が僕ら一族の秘伝である事がそれなりに役にたっていた。

 難しいものだが、秘伝としてしまうと逆に人に知られない。僕ら一族を有名にしたのはむしろそれに釣られて寄ってきた一流の魔法研究家のおかげが大きい。僕らは魔法使いの名門として世に知られる事になった。それに加えて世に知られて無い雷属性を持ってると言った神秘性が分かりやすい看板になっていた。


 実は魔法の大家の様な一族の扱われ方は中々辛い。僕らも食っていくためにそれを利用してるが、正直魔法使い、魔術師どっちでも良いがその力の根本は才能で決まる。僕らはそれを皆が知らない魔法を知ってるってプラスワンで底上げしてるだけだ。僕はどうか?と言うとそこそこマシって程度じゃないのかな?


 ハンター養成所に通っていた時も

「ああデュラン君な、君は扱いにくい。普通に優れた魔術師だと思うよ。ただその雷属性の魔法は門外漢の私じゃ計れない。養成所は基本最低限の資格を与えるだけだが、例外的にスペシャルハンターの推薦やミドルハンターの推薦をしている。

君はさすがにスペシャルハンターとしては推薦できない。それは逆にそれなりに力のあるハンターを殺す事になる。たたき上げか養成所の生徒ならとんでもない怪物しかあれには推薦できない。でも新天地を切り開くミドルハンターなら押したくなるものがある。

もちろん君の希望次第だがハンターで大金を稼ぐにはミドルハンターと言う入り口に立った方がやりやすい。大体君は村の自警団とかやらないんだろう?」

「ええ長子を後継にするではなくて息子娘関係ない実力主義です。それでも僕は外に出される実力じゃないと自分では思っています」

「そうだろうな。だがな君を押したくなるのはその雷属性の部分なんだよな。所詮は新人飛びぬけた実力者じゃないと危険の多いミドルハンターには押せない。でも君はハンターとしての名声が欲しいんだよね?」

「はい、僕の家はそういう家ですから」

「大半のハンターは村野自警団になるだけなので、将来の道の斡旋なんて特例の業務だけど、特別優れたハンターは私達ハンターギルドの根幹を支える部分だからね。地方のハンターもそういったハンターに支えられている。過去君の一族がハンターギルドにしてきた貢献を思うとやっぱり雷属性は使えると考えてしまうんだよ。後は君の希望次第だ」

「喜んでミドルハンターの道に乗らせてもらいます」


 魔法と言うのはどう攻防に利用するか?でまずはその力の強さだけが重視される。その次に属性が持つ何をやれるか?が重要になる。例えば風の魔法でかまいたちの様な現象を巻きこした攻撃なら金属製の鎧にはそれはあまり効果的じゃない。

 だが火や雷ならその内側に影響を与える。特に火より雷は鎧の中への攻撃に特化して強みがある。他には?と言うと様々なものがある。ただ転生転移者は風がすごすぎて金属の鎧を切って体を真っ二つにしてしまう。量が質を凌駕してしまう。その極みである転生者は一見属性魔法でもあれはユニークだと見なされるわけだ。既知の魔法の概念から考えると規格外だから。


 今日はミドルハンターとしての初任務。任務地の近隣でモンスターの巣窟があるらしく、それを殲滅する作戦が練られていた。魔術師でもあり新人であった僕は出来る限り後方からの支援と言う配置になった。

 ただ僕はすでに農業を兼業するという任務をこなしてはいたのだが、僕の立場は微妙で実力もある長兄が家を継ぐことになっていて、NO2として家を支えるか?外に出て暮らすか?となる。ただうちの一族の秘密主義のため僕ほどの実力なら外に出るのを好まない事がある。ただそれでもすべての親族を養うのは無理がある。故に微妙な立場となる。それゆえ始めてやる農業も片手間だと思ってない。これを生活の糧にするのも考えないといけなかった。スペシャルまで上り詰めたら家に取り込まれることもあると思うが魔法は基本才能がすべてなので。


 今回の敵はゴブリン。なんだ雑魚かと言っても数が20匹入る。これを新人の僕を含めた6人のハンターで討伐しようと言うのだからミドルハンターはそもそも無茶が前提のハンターだった。


「デュラン。お前は後方で魔法による援護を決して前に出るなよ」


 僕は剣が使えないわけじゃなかった。自分の道として魔法剣士が理想だとは思っていた。単純に魔法使いとしては特別な存在にはなれそうになかったから。それでもスペシャルを目指すなら自然とそういう選択肢になる。ただそれはもうちょっと実力が認められたからで良いだろう。ミドルハンターなら十分魔法だけで通用すると思うから。


 ゴブリンの集団が見えてきた。僕はついている。だが皆にはついてない。武器防具で固めたゴブリン軍団。どこからこの武器防具持ってくるんだろうか?の謎は合ったが僕向きの相手だ。

 ただ秘密主義というわけじゃなかったが、僕はモンスター相手に武器防具の想定をしてなくて皆には伝えてなかった。一部詳しい人は知ってるが、雷属性の効果なんて養成所でも習わない。知ったところでうちの一族が外の人間に使わせる気が無いんだから。


 僕は鎧への良く知られた効果だけじゃない一族しか知らないようなワンランク上の攻撃をする事にした。武器への電撃攻撃になる。この難しさは見方の武器にも同様に攻撃してしまうから。鎧も同じじゃないか?と言うとちょっと違って武器攻撃は多少的から外れても良いやって点がメリットになってるので回りに居る見方を巻き込みやすい。

 まあそれを巻き込まないようにするのがワンランク上の力なのだが。一番簡単なのは、味方が居ない集団に広範囲にぶち込むことにある。


 味方がいる前線のちょっと奥の攻めてこようと団子になってるゴブリンの一団に素早く雷撃を放った。一応雷使いなのは言っていた。それに家の名前から知ってる人が居た。ただ見るのは皆初めてだった。実を言うと僕は初見の反応が大好き。


「なんだ??デュランか?」

「はい」


 いやーだって皆知ってるじゃないーって言い訳してたけど、何か言ってくれよと言いたいんだと思う。でもな…。分散せずに一匹に当たったためその一匹は感電して死んでしまった。混乱を見てすぐに僕は何発も打ち込んだ。乱戦になる一歩手前で効果的に雷魔法を使えた。


 後はこっちが優勢になったため押せ押せで20匹全部片付いた。デビュー戦としてはまずまずじゃないか?と思う。ただご先祖様が転生者として活躍した時は一撃でゴブリンなら10匹は即死レベルの魔法を売っていたとの伝説がある。当然子孫でそこまで使えたものは居ない。


 でも一代限りの英雄の力にせずに、子孫繁栄のために考えてくれたご先祖様に本音でありがたいと思えた一日になった。

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