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ハンターと言う仕事

 ハンターは仕事じゃない。ハンターを知らない人はハンターと言う職業があると勘違いしている。ハンターは資格であって仕事じゃない。ハンターが仕事になるのはすべて状況次第になる。例えばハンターの居る村のモンスターに対する自衛のレベルが低くてハンターにすべてのしかかってしまうなら専門の職業になるだろう。


 しかし、多くの場合ハンターの資格は元々村の自警団の若いメンバーが取る。戻ってきてからもその延長でしか無い。そこでハンターと自警団のメンバーで大きな差があった場合のみハンターが専業になるケースになる。そもそもハンター資格者は不足していて、大半の地域ではハンターの資格者は居ないけど自警団はある。


 エリック・ガウンはそういった一般的なハンターの状況じゃない。変わったハンターと言うわけじゃない。そもそもハンターは職業ではないのだからハンターが皆が同じありようであるわけが無い。ただ敢えて言うなら俺はそういった最も一般的なハンターのあり方の2番目ぐらいにはありがちなハンターのありようだと言える。


 2つの条件がある。生まれた場所に縛られない条件、もう一つはハンターとして優れてるか?になる。モンスター討伐を高い報酬で請け負うハンターがおそらく最高ランクになる。それよりちょっと下のランクが俺達になる。尤も大は小を兼ねる。特別なハンターは俺達の様な事をやる事も度々ある。


 俺達のハンターのあり方と言うのはモンスターだけが居て人間が居ない地域。ここのモンスターを討伐しながら永住する土地を広げていく仕事。2つのタイプのハンターが居て、モンスター討伐だけを専門として土地を危険度を下げていく専業ハンター。後は農業などを兼ねながら討伐にも参加する兼業ハンター。


 ハンターが仕事じゃないと言うのはまさに俺達が典型的だと思う。俺達は一番多いハンターのあり方に較べると特殊。その中でもさらに細分化されていく。そうなるとハンターはどういう仕事なのか?と言うよりハンターは資格であって仕事じゃないと言う考え方が分かりやすくなる。


 ハンターが仕事っぽく見えるのは詳しくしらない人達の見方になる。その人達には細かい事を話しても仕方ないので一般的にハンターと言う仕事があるとなってるようだ。


 そういう俺もまさか農業を兼ねてハンターをするなんて思わなかった。まだ学校を出たばかりで学校推薦の天才と言うわけでもない俺はとてもじゃないが、国が指定する討伐を兼ねるようなガチの特級ハンターを差し置いてモンスター討伐の中心になれるわけが無い。屯田兵と言うわけだ。


 村長?リーダー?そんな立場で皆をまとめる特級ハンターである田中太郎さん。この人は転移者。転生者と違って別の世界から来たため根城が無い。多くの人は謎の家があるらしいけど、一人暮らしは田中さんにとって寂しいらしい。モンスターを討伐した数多くの新しい村のリーダーの中に転移者が居たと言う伝承が残ってるらしい。


 他にも転生者も次の転生者が現れた前の転生者が力が衰えて、こういった村のリーダーになる事も多いらしい。俺は25番村が初めてだけど、多くの俺達みたいなハンターは、ある程度モンスターを減らして安定してきたらモンスターの農民と交代する形で次の地域に移動する。


 残ってはいけないと言うわけじゃないけど、俺達自身が次の場所に移動する事が多い。そういう俺も兼業で農業をするのはあまりしたいわけじゃない。やっぱり専業ハンターに憧れる。ちなみに村に名前が無いのは農民と入れ替わって事業が次の段階に進んだという事でそこで初めて名前がつく。


 数の多いタイプをメジャーハンターとすると優れたハンターほどマイナーハンターとなる。俺達はその中間ぐらいになる。ミドルハンターという所だろうか。メジャーハンターとミドルハンターの最も大きな違いはわざわざ魔物が数多く居る場所にでかけて討伐する。

 そういった大量にいるモンスターの場所を潰した村がメジャーハンターの活躍の場となる。そもそも討伐後何故モンスターがまだ居るのか?となる。これはモンスター多発地帯から流れてくる。他はモンスターは繁殖もするが根本的には自然発生する。これが稀だから自警団程度で対応できる。稀にこれは強すぎるというモンスターが現れるのはそれがある。


 発生は滅多に無い。かつ人のすみ始めた場所では強いモンスターは特に生まれない。それでも常に例外がある。だから国が討伐をする時の主要メンバーである特別なハンターが存在する。ただしモンスターの自然発生について詳細は分かってない。自然発生というしか分からないからが大きい。国や宗教関係者が言うには魔族が生み出してるなどの見解もある。


 今日はその大規模なモンスターの討伐が決定した。こういった調査を田中さんが行っている。俺は久々農業を離れてのモンスター討伐にわくした。危険が無いわけじゃない怖さもある。しかし俺は農民になりたくてハンターの資格を取ったわけじゃない。最初からミドルハンターこそが俺が目指していたもの。


 自分が未熟だから今は屯田兵だけどいずれは俺も専業のミドルハンターになりたい。


「今回はゴブリンだ」

「え、ゴブリンですか?」


 俺は拍子抜けと言う感じでつい田中さんの言葉に不用意に返してしまった。


「確かにゴブリンは弱い。ただ数が多い。それでも分けて戦おうと思う時間をかけてちょっとずつ潰していく。さすがに100匹とか一度に無理だろー」


(まあ確かにでも田中さんなら…)


 村に残る組とわけて田中さんを入れて6人組で向かった。俺の方が残るのじゃないか?と言うと何日もかけるため交代するようだ。田中さんはずっと戦うわけだけど。

 俺はどっちかと言えば魔法が得意。と言うか俺のレベルだと戦士系は化け物見たいのが多くなるのでとてもじゃないが適わない。どちらかと言えば魔法が得意ですみたいになってしまった。


「この付近だ。近隣の仲間が現れなければすぐに倒したら撤退する。これを数日繰り返すから一日で全滅なんて無理だから」


 田中さんはそう言って消えた。田中さんは魔法と言うか何か違う。魔法は知られてるものが多くて魔法使い以外には特殊な事ばかりするけど、魔法使いにとっては魔法は既知のものばかり。だが転生者転移者は違う。びっくりするような変な力を持っている。この力は田中さんの瞬間移動の力。


「ふー3匹ほど狩ってきた」


 田中さんはそういうと剣が血で汚れていた。ただどこにここからはゴブリンの死体があるのか?は分からない。


(いつ俺達の出番あるんだろう…)


「おいエリック、今俺一人居れば良いと思わなかったか?」


 と田中さんは笑いながら俺に話しかけた。


「いえいえ」

(思ってました…)


「大丈夫だエリックの出番もある。ただ集団を分けたいからどこまで攻めれるか?確認してきた。その時見つかった相手だけヤッタだけだ。決して皆の手柄独り占めする気は無いからなー」


 そういって田中さんは場所の細かい指示をした。


 田中さんに誘導されて森を進むとゴブリンのグループが居た。集落とかじゃない。そういう集落もあるのかもしれないが、今は数人のグループになってる。


「離れた奴を俺がやるから後よろしく。頼むよ俺孤立しちゃうからー」


(戻ってくれば良いとおもうが…)


 田中さんが仕掛けたので、弓や魔法でまずは遠距離攻撃する。ただしそれで終わりじゃない魔法がどちらかといえば得意なだけでゴブリン程度でそれだけで俺も終らない。すぐに駆け出して残りのゴブリンを接近戦で殺しに行く。

 魔法弓で倒せるならそれで終わりで良いじゃないか?田中さんがおそらくそれを望んでない。倒すか?が今回のポイントじゃない。倒すのは当たり前で無茶してでも早く倒すのが今回のポイントになる。ゴブリンを逃がして他の集団に警戒させてはならない。だから田中さんはまず遠くの敵を逆に真っ先に殺しに行った逃げられるから。


「撤収するぞ」


 田中さんが皆に号令を出した。俺達も残りのゴブリンを倒したので村に戻る事にした。知らない間にどんどんゴブリンが消えていって欲しいのだ。大半田中さんが倒していたけど、これ俺達が行った意味が大きい。田中さんが一人でやるよりは確実に早い。

 田中さんが適切な分断させるように計画したところが討伐数よりも大きいと思う。これは田中さんが重要だけど田中さん一人じゃ田中さんが考える討伐速度にならないと思う。そして俺達はゴブリンの死体を接触を避けてる集団から距離を離して処理し無いといけない。そのための運び屋でもあった。


 それでも田中さん居てこその作戦、かっこよすぎですー。自分もいつか専業ミドルハンターになりたいと思ってるけど、あの人の立ち位置には無理かな…。


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