【7】駅前ショッピング
前の投稿からはや、数ヶ月・・・。
遅れてごめんなさい。
そして日数経ちすぎてもうあまり覚えてない。
ということでキャラが変わっていたり矛盾があったりするかも!
反省はしていない。
「りょ、りょりょりょ・・・良太っ!?」
今まで生きてきた中で一番驚いたかもしれない。
まあ、店の雰囲気は普段良太が身に纏っているそれだし、コイツがここにいたところで違和感はないわけだが・・・。
「お客様、どうかしましたか?」
妙なのはこの良太の態度。
僕など初めて会ったかのようににこやかな営業スマイルを向けてくる。
てっきり「ダーリン!こんなところで会うなんてこれは偶然じゃないわ、必然ね!やっぱり運命よね。というか、こんな店で会うってことは・・・・ダーリンもやっとこちら側に来てくれるのね!!」とでも言うと思ったのに。
などと僕が考えている間、(何か言いたいことでもあるのかしら)と首を傾げる良太。
これは、本当に僕の知っているあの、良太なのだろうか・・・。
あまりの普段との違いに疑ってしまうが声が特徴的な野太い良太のものなのできっと良太だろう。
しかし、こうして喋らなければ、良太は本当に可愛い女の子だ。
この手の女の子が好きな何も知らない人なら人目見るだけでたちまち虜になってしまうだろう。
良太のことを知っている僕でさえ、心なしか見つめられてドキドキしてきて何故か胸がキュンと―いや、落ち着け。
何をパニックになっているんだ。
平常心、平常心。
僕はただ、いきなりうちに飛び込んできた狐耳姉妹の服を買いに来ただけだ。
偶然見つけたロリータショップに入ったら女装癖がある僕の幼馴染にして悪友。切ろうと思っても切れない腐れ縁でつながっている良太がそこで働いていたとしても何ら動揺することはない。
ただ、服を買って帰ればいいだけだ。
たとえ良太が他人行儀で僕を初対面のお客様扱いしたとしてもそれを気にすることはな「お客様?何をお探しでしょうか?」気にせずにいられるかあああああ!!!
僕は良太の肩をガシッと掴む。
「良太!」
僕は言う。
「お前、こんなところで何しているんだ?何故生徒会を休んだ?何でそんなによそよそしいんだ!?」
「えっと・・・・?」
目を白黒させる良太。
本当にどうしちゃったんだろうか。らしくもない。
・・・あれ。
僕はそこで良太がチラチラと何かを見ているのに気づいた。
つられて僕も良太の視線の先を見る。
良太は入り口付近のレジを見ていた。そこには薄いピンクのロリータを着た40代後半くらいのおばさん。
おばさんは新聞を読みながらも鋭い目で店内を時折見回している。
あ、目が合った。
そのあまりの眼力に目が合った僕は一瞬、石になった。
おばさんの視線が僕から逸れる。
おお、動ける・・・・!
そして、良太はその隙に僕の耳元で囁いた。
「10時になったらもう一度ここに来て」
10時か・・・・。
時計を見る。
6時13分
まだ何時間もあるな・・・。
しかし、この曰くありげな良太の様子は気になる。
よし。とりあえずここは服を買ってから一時退散。
10時になったらまたここを訪れるとしよう。
僕は良太の両肩から手を離し、言う。
「服を探しているんだ。15歳と9歳の女性用。いいものは、あるかな?」
そして、ウィンクを一つ。
良太はそれで何かを悟ったようだ。
「かしこまりました。こちらへどうぞ―」
接客を始めた。
午後9時45分。
僕はあの店の前に来ていた。
15分前行動。これ、待ち合わせの鉄則。
さて、ということで約束の時間までにはまだあるし、さっきまでの僕の行動でも振り返るか。
あれから。
僕は良太に勧められるがままに、来夢用にお姫様のようなレースやフリルがたくさんついたロリータを2着、歩夢には比較的派手な装飾が少ないツヤツヤしたゴスロリを買った。
このチョイスの理由は、来夢は目が丸く、まさに幼女というべき可愛らしい顔立ちなのでやはりここは幼女の鉄板である愛らしいフリフリのお姫様ドレスが似合うだろうという僕の見立てから。
対して、歩夢は切れ長の目で、可愛いというよりは美しいとか、綺麗などと形容されるタイプだと思うので白やピンクのフリフリは似合わないだろうという僕の配慮からだ。
こんなに可愛い服でも着る本人に似合わないと意味がないからね。
僕ってわかってるなあ。
4着のロリータ(小物や靴を含む)をお買い上げの後は、軽くなった財布を手にうらうらと駅前を徘徊。
最終的には本屋で時間を潰す形で落ち着いた。
しかし、良太は何故あんなところで働いているのだろう。
良太の家はさほど貧乏でもないはずだ。
高校に、しかも私立に進学しているのだからお金には困っていないだろう。
何か事情でもあるのだろうか。あるいはただの小遣い稼ぎ?
明らかに後者の方が有り得るのだが・・・・。
しかし、何か引っかかる。
まず、良太の態度。いくら仕事といえどあそこまでよそよそしくする必要はないはずだ。
それに、何故こんな目につきにくい場所をバイト先に選んだのかもわからない。
まあ、この種のもの同士、つながるものがあったのかもしれないが。
しかし、これ系統の店ならもっと人目につきやすいところにもいくつかある。
わざわざここを選ばなくても・・・・。
そう考えてもここ、売り上げ悪くて給料が少なそうだ。
あのおばさんも怖そうだし、普通ならすぐやめると思うのだが。
良太が生徒会をたまに休んでたのは去年から。
その理由がここで働くためだとすると、最近始めたというわけでもなさそうだ。
そういえば、店内にはあのおばさんと良太以外には店員らしき人影がなかった。
まあ、だからと言って客も僕くらいしかいなかったわけだが・・・・。
しかし、良太遅いな・・・・。
もう10時を軽く超えている。
何分待たせたら気が済むんだ。
「ごめ~ん、待った~?」
などと考えていたところで良太が現われた。
「ううん、今来たとこ・・・・とでも言うと思ったか!すごく待ったわ!!」
待ち合わせ時間より長く待たされたため、イライラして思わず荒ぶってしまった。
いかんいかん。
時計の針は10時15分を少し過ぎたところ。
僕は15分前にここに着き、良太が15分強遅れてきたため、結果僕は15分以上もここに立っていることとなった。
僕と良太はどちらからともなく歩き出す。
自然と、体が並ぶ。
「こうしてると私達、愛人関係みたいね」
「せめて恋人と言ってほしい」
もちろん願い下げだがな。
先ほどの良太とはうって変わり、いつもの良太だ。
少し、ホッとする。
「ふふ。夜にこうして二人きりって危険なカンジね。体が疼いてたまらない」
「周りにたくさん人いるから二人きりじゃないからな。あと、自分の声を忘れないでほしい」
結構な時間だが、まだ駅前は昼間ほどではないが活気がそこそこある。
なので、道行く人は皆、ピンク髪ロリータ美少女から野太い男の声が出ているのでギョッとしてこちらを見ながら通り過ぎていく。
「それで?言うべきことは?」
さっきまでのことがなかったようにいつもどおりの良太はいつまで経っても話を切り出さないので僕から話を振る。
「ん?何のことかしら」
とぼける良太。
「ふざけるな。さっきの店内での態度についてだ」
若干イライラして言う僕。
「さっきの・・・・?ああアレね」
思い出したように手を叩く良太。そして、あろうことかいきなり僕の首に腕を回し、抱きついてきた。
「私も愛するダーリンにあんな連れない態度をとるのは気が進まないというかもう耐え難い拷問に近いものだったのだけどね」
「うん、わかった、改めて訊こう。僕たちは一応悪だけど友達だよね?とりあえず離せ気持ち悪い。歩きづらい。あとダーリンはやめろ」
そのまま耳元でささやくように話をする良太を引き剥がす。
耳元で良太の野太い声は見かけとのギャップも相まって中々キツイものがある。
周りからの見ないフリをしながらもチラチラと飛んでくる視線も痛い。
「でもね、ご主人様。仕事に少しでも私情を持ってくるとあのババァがうるさいから・・・」
それでもめげず、今度は僕の腕に自分の腕を絡めてくる良太。
「ご主人様は本当にやめろ。僕はその呼び名は二次元でしか許さない。あと腕も鬱陶しいからやめろ。」
本当にコイツは何を目指しているんだ。そして僕に何を目指させたいんだ。
一回注意したらやめてくれたし、もう今更どうこう言うのもアレなので会話を続ける。
「で、仕事?生徒会をたまに休むのもその理由?」
「んー、まあそんなとこね」
「でも、何で働いているんだ?それに何故あの店をチョイス?」
それを尋ねると良太は黙った。
そのまま、てくてくと道を歩く。
しばらく歩いてから。
「あ、じゃあ私家こっちだから。海斗はあっちよね?」
そう言って横道に入っていった。
ううむ・・・・。
確かに良太の家はあっちだが。
狙ったような、というか狙っていたな。
アイツは、絶対何かを隠している。
アイツは僕のことをさっき“海斗”と呼んだ。
かなり余裕がない証拠だ。
やっぱり何かあるな。
というか結局僕は何の為に10時過ぎまで待ってアイツと帰ったんだ。
はあ、時間を無駄にした・・・。
などと考えながら僕は家路に着く。
遅くなったけど、来夢・・・怒ってるかな・・・・。
言い回しがくどくてすみません・・・・。