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【6】大切な一線

もうどうにでもなれっ!

「では会長、今日はこれで」

生徒会が終わり、各自解散。

あのメンバーではどうなることかと思ったが、皆意外とするべきところでは真面目なようで、なかなか意義のある話し合いになったと思う。

真っ先に帰っていったのは愛飢男―じゃなかった。ええと、鋼…鋼…なんだっけ。

「では、私達も部活があるのでこれで。お疲れ様でした。」

続いて実結さんと真結さん。

部活やっているんだ。

何の部活だろう。

二人が出ていき、生徒会室内には僕と駿河君の二人が取り残された。

「ふふふ…やっと二人きりになれましたね、会長~」

満面の笑みで言う駿河君。

「教室でのプレイはお好きですか?いやーん会長ったら、ダ・イ・タ・ン♪」

体をかわいくくねらせる駿河君。

はー…

つっこむかわりに溜め息をつき、僕は生徒会室を出た。

もちろん電気は消してドアも閉めた。

「ま、待ってください会長!そんな僕を監禁した上に放置プレイですか!?あ、暗闇に乗じてあんなことやこんなことを…」

「死ねとまでは言わないが僕の視界から消えてくれ」

「ああ、会長…素敵なお言葉ありがとうございます。好きです」

「意味がわからないよ。あとドアはきちんと閉めるように」

ドアを開け放ったまま駆け寄って来た駿河君に注意する。

「はいな!会長からの命令とあればボクは空だって飛びましょう!」

本当かよ。

駿河君は元気に生徒会室まで駆け戻っていく。

このままおいていきたいのは山々なのだがさすがにそれも可哀想なので、待ってやる。

なんて僕は優しいんだ。

扉を閉め終わり、此方へ再び駆け寄って来た駿河君。

「会長!任務完了であります!」

ビシッと僕に敬礼。

「はいはい、行くぞ」

もう色々面倒なので何も言わずに先を促した。


「そういえば駿河君、部活は?」

生徒会室から靴箱までの道はなかなか長い。

ずっと黙っていてもつまらないので何となく駿河君に話しかける。

「はい!ボクには会長だけいればいいので部活など不要です!」

つまり帰宅部か。

「会長は?」

「僕も帰宅部だよ」

「おお!それは奇遇ですね!一緒に帰りましょう!」

一緒に帰るか…どうしようかな。

そもそも駿河君の家はどこら辺なんだ?

それを問うと。

「ボクの家ですか?駅から電車に乗って30分のところですよ」

遠い…。

ただでさえ学校から駅まで徒歩15分くらいかかるというのに。

僕の家は学校から徒歩5分くらいの場所にあるからなあ。

一緒に帰るとしてもすぐに別れちゃうな…ん、待てよ。

駅・・・何か大切なことを忘れているな。

何か大切なこと…。

「で、会長~どうするんですか~?ボクとランランランデブーしないんですか」

「うん。それは間違ってもしない」

などと軽口を叩きながら心は別のことを考える。

ああ、もどかしい。

なんだっけ、なんだっけ。

落ち着け、落ち着け僕!

今朝あったことを片っ端から思い出せ。

えーと、えーと…。

何故だ?記憶が消去されている。

じゃあ昨日は?昨日は何があった?

………………… 。

思い出せない。

おかしい。絶対何かがあった筈なんだ。

とてつもない何かが!

悶々としている内に靴箱に着いた。

靴を履いているといち速く履き終えた駿河君が来た。

「会長ぉ~一緒に帰りましょう?ほら、もう暗いしこの辺狐とかいて怖いじゃないですかぁ~」

狐…?

その言葉に何故か引っかかった。

狐…狐…。

なんだっけ、もう少しで何かが出てきそう。

狐…尻尾…?違う。

狐…黄色…?これも違う。

狐…狐…耳…耳!

狐耳!

思い出した!

そうだ!服!来夢に服を買ってこいって言われてたんだ!

服か。服なら駅前だな。ちょうどいい。

「駿河君!ありがとう!君は僕の恩人だ!」

立ち上がり、思わず駿河君の両肩をガシッとつかむ

「え…会長…?」

流石の駿河君も面食らったようだ。

「僕、今日は丁度駅前に行く用事があったんだ!さあ、一緒に駅まで行こうか!!」

「会長・・・・本当ですか・・・・・・?」

「もちろんさっ!恩人である君の為だ!何なら何でも一つ言うことを訊いてやってもいいよっ!!」

あ。

しまった、と思った。

思い出せた喜びでテンションがおかしくなって変なことを口走ってしまった。

やばいやばいやばいやばい。

これは・・・・・。

案の定駿河君は。

「か、会長っ・・・・!本当ですか!?本当ですね!?ああ・・・・どうしようか、いや待て、落ち着け、ボク!ここはあえて(※著作権に引っかかりそうなので以下略)」

何か思案し始めてしまった。

どうしよう・・・。何かとてつもないことが起こりそうな予感・・・・。

自分で言ってしまったこととはいえ・・・・。

“男に二言はない”がモットーの僕なので今更発言を取り消すこともできない。

そうこうしているうちに駿河君は何かを決めたようだ。

「会長!決めました!」

「い・・・・今かい?」

「今です!今しかありません!」

そう言うと、駿河君はいきなり僕の前にスッと跪いた。

「お願いです、会長。ボクをあなたの下僕にしてください」

いっ・・・・・・!?

今下僕って言ったか?下僕?

「あ・・・ああ、ちょっとそういうのは持たない主義でね・・・・・」

「あ、性奴隷の方がいいですか?会長にならボクの体を捧げてもいいですよ。精一杯ご奉仕しますよ」

そういう問題じゃない。

いやいや。

ちょっと待て。

「会長。会長は言いましたよね。『何でも一つ言うことを訊く』と」

「あ・・・ああ、言ったな・・・・」

今となってはその発言が悔やまれる。

「ボクじゃ足りませんか、会長!一生あなたにお仕えします!お願いです!ボクを貴方の下僕にしてください!ボクを好きにしていいから!」

うーむ・・・・・。

正直そういう趣味はないんだよな・・・。美少女ならまだしも・・・ゲフンゲフン。

まあ、言ってしまった以上は仕方がない。

男に二言はない。

「わかった」

嬉しそうに顔を上げる駿河君。

「会長・・・それでは・・・・」

「ああ。キミは今日から僕のかわいい下僕だ」

「会長っ・・・・いや、ご主人さまっ!」

「いや、会長でいいよ」

さすがにそれはまずい。

「はい!会長!この駿河康助は今日からあなたの下僕です!何なりとお申しつけください!会長の性欲の捌け口にしてくださっても結構です!」

「うん。わかった」

「では、お荷物をお持ちします」

「ああ、うん頼むよ」

なんか・・・・・もういいや・・・・・。

どうやら大事な一線を越えてしまった気がする。


そんなこんなで駅前に着き、駿河君と別れる。

「会長ぉ~それではまた明日ですぅ~」

「ああ、またな」

明日は生徒会ないけどな。

さて、それではどうしようか。

服か・・・どんなのがいいだろう・・・・。

そもそも僕は歩夢と来夢の体のサイズを聞いてない。

来夢のセキュリティが固いので聞いたところで教えてはくれないだろうけど。

となると目分量か・・・・・。

ああ、人目見ただけでその人の体のサイズがわかる能力でも欲しいものだが。

しかし現在、午後6時。こんな時間に女性用の洋品店に男の僕が入るのも抵抗がある。

何よりそんな姿を知り合いに見られると厄介だ。

ましてや来夢なんて見た目は小学三年生くらいだから・・・・・。

子ども洋品店に6時ごろ侵入する男(17)なんて。

あらぬ疑いをかけられそうだ。

どこかにないものか。

9歳くらいから16歳くらいまでの女性服を売っていて人目に付かないお店。

そんなことを考えながら右へ左へと放浪する。

ふと、一瞬ピンク色が目に付いた。

立ち止まると、細い路地裏。

奥は暗闇。どうやら壁があるようだ。

そして、左手に木製の窓。

中に見えるのはピンク色の・・・・服?

路地裏に入る。

木製のドア。

その前に立てかけてある黒板のような板に書かれた文字を読む。

「えーっと・・・・。『SALE中!幼女服から熟女服まで!また、男性のお客様も大満足!あらゆるロリータ、揃えております♪』」

何か・・・・アレっぽいけどでも様々な年齢層の服があるということだろうか。

ちょうど入り口が路地裏側なので人目にも付きにくい。

ここに入ってみるか。

「失礼しまーす」

木製のドアを押す。

ガランガラン♪

ベルが鳴った。

「いらっしゃいませぇっ♪」

店員の声・・・ん?

何だか今の声は凄く聞き覚えがあるような・・・・。

気のせいか。

お店の中は凄かった。

とにかく凄かった。

それしか言い表せない。

ピンクや白のフリフリがとにかく沢山ある。

しかし、お店自体は木造だからか、どこか落ち着いた雰囲気もあり不思議な空間だった。

物珍しそうにキョロキョロしていると。

「どんなものがお好みでしょうか♪」

店員が近づいてきた。

その店員の顔を見た瞬間、僕はぶったまげた。

「りょ、りょりょりょ・・・・良太っ!?」

その店員とは紛れもなく女装癖を持つ僕の幼馴染にして生徒会書記長、沖野良太だった。


いやもうすみません本当。いろいろすみません。アウトですよねもうこれ。

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