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11 カオリの告白

夜になっていつものようにカフェカレンジュラへ行くといつものように真っ先にカオリが足早にやって来て何と開口一番

「ねえ、いつも光夫さんが話している、正面に座っている女の子、何か言ってた?」


「えっ、いきなりどうしたの?いや、今日は社長さんに呼ばれたって話は聞いたけど、その後は全然会話してないからね。


あっ、そういえば社長室から戻ってきた途端机に伏せって泣いてたよ。彼女を慰めていた平賀さんの話によると、何か昇進の話だったらしいんだけど、どうして泣いてたのかな。どう見ても嬉し泣きには見えなかったけど。」


するとカオリは両手で光夫の手を握りしめ、前のめりになりながら

「ごめんなさい、光夫さん、私、ひどい女なの。」


「えっ、どういうこと?」

「あなたの会社に美人四天王がいてそのうち3人があなたのセクションにいるんでしょ。じゃもう一人は?」


「社長らしいって噂があるけど、私は社長さんは遠目でしか見たことないからね。雲の上の存在っていうか。」


「それ、私なの。」

「えっ、冗談もほどほどにしてよ。社長さんがこんなとこにいるわけないでしょ。」


「私、自分で言うのもなんだけどこの美貌でしょ、若い頃からいつも男性にチヤホヤされてたんだけど、一人だけ私を無視している男がいて、何とこの私をふったのよ。


それも屈辱的な言い方で。私、その男のことが悔しくて許せないっていう気持ちでずっと生きてきたの、そしたらあなたが入社してきたんだけど、タイプがその時の男にそっくりだったの。


そしたらあの時の恨み心がムラムラと生じてきて、あなたは関係ないってことは百も承知の上であなたを翻弄することによってあの時の復讐をしたいという気持ちが抑えられなくなってしまったの。


そこで故意に3人の美女をあなたのセクションにつけてあなたを翻弄し、更に私はこの店のオーナーと知り合いなので頼み込んで光夫さんだけにつく特別な女としてここにいるの。


もちろんこの店の名刺カードをあなたの机上に置いたのは私よ。ここに誘導するためにね。


それは私自身あなたを翻弄したいのと、あなたが昼間どんな風に美女たちに翻弄されて苦しんでいるかをあなたから直接聞きたかったからなの。


だからあなたが3人の美女に苦しめられているという話を聞いて嬉しかったわ。計画通りだと思ったの。ところがここで一つ誤算が生じてしまったの。


私、あなたのお話を聞いているうちにだんだん楽しくなってきて、気がついたらあなたに恋してしまってるらしいの。


それに気づいたのは、北条さんの様子を聞いている時に彼女があなたを好きなんだな、と気づき、その時嫉妬心が生じてきて苦しかったからよ。


そしてこのままでは北条さんとあなたが恋愛関係になってしまうと思ってあなたたち二人を引き離すためにすぐに異動を命じたというわけ。誰もが羨むようなセクションへの昇進だというのに、案の定彼女は嫌だと言って抵抗したわ。


その様子を見て私は彼女があなたに恋していることを確信したの。だから社長命令で無理やり即日異動させたってわけ。やり方が汚いって思ってるんでしょ。そもそも何の関係もないあなたをターゲットにした策略、そして今回の異動といい、ひどい女だと思ってるんでしょうね。」

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