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10 カオリの謎

光夫がカフェカレンジュラに通うようになってはや半年になる頃、相変わらずカオリは指名もしないのに光夫につきっきりであったが、奇妙なことに話をしていると必ずと言っていいほど彼の属するセクションの話になった。


特に3人の美女たちのことを執拗に聞いてくるのが、光夫にとってはいつも自分についてくれることと並んで不思議なことであった。


最近はだいぶ打ち解けてきたこともあって男としての悩みも話すようになっていて、そんな話をする度にカオリは可愛らしい声で笑っていた。


「ここに来るようになってから会社での悩みもある意味解消されてきている感じがあってカオリちゃんには感謝してるんだ。」


「感謝なんて、こちらこそこんなに足繁く通ってくれてしかもあなたのお話、とっても面白くて楽しいわ。ところであなたの正面に座ってるっていう、純情な感じの女の子の話、もっとしてちょうだい。」


光夫は最近その女の子、つまり北条瑠璃の自分に対する様子がおかしいことなどを事細かに話した。その話を聞いている時、カオリの瞳が不気味に光ったことに光夫は気づかなかった。


 翌日の午前中、光夫は資料のコピーを北条さんに頼んだが、その時に彼女は

「今社長に呼ばれたのでコピーはその後にするのでちょっと遅れますがいいですか?」

と慌てて行った。


「了解です。よろしくお願いします。」

しばらくすると北条さんが戻ってきたが、そのまま自分の席に座ると伏せって急に泣き出した。隣に座っていた平賀がどうしたのか聞いて宥め始めた。


午後になっていつもの平賀亜紀との出張ドライブ中に光夫は

「午前中に北条さんが社長に呼ばれたらしいんだけど、戻ってきて泣いてたのはどうしてなのかな。ちょっと心配だよね。」


「それがね、社長からはプロジェクトチームAへの異動の話をされたっていうの。あのチームは私たちの社内では一番の花形だし、給料もグッと上がるからみんなの憧れだっていうのにあの子ったら行きたくないんだって泣いてるのよ。信じられない。


でもとにかく社長命令だから、明日からはここにはいなくなるのよ。」

「へえ、随分急な話だね。それにちょっと寂しいね。誰か代わりは来るの?」

「今のところ特に予定はないみたいよ。」

「えっ、それじゃ仕事キツくなるね。参ったな。」

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