1 小豆菓子
杏野光夫は大学を卒業したばかりのお坊ちゃんだ。あるお菓子会社に入社し、商品開発部に配属されるが、そこはなぜか4人のうち光夫以外の3人は社内の美人四天王なのだ。光夫は3人の美女たちの魅力に苦しめられる日々を送っており、その苦悩から逃れるためにふとしたことからカレンジュラという名のカフェに通うようになる。そこには謎の美女がいて、どういうわけかいつも光夫の隣に座って彼の仕事のことをいろいろと聞いてくるのだった。
杏野光夫は22才。光夫が勤務する会社はお菓子の会社で、小豆を使った様々な菓子を作っている。
よく時代劇を見ていると江戸時代とかにお饅頭などを1つもらっただけで大喜びで食べる場面が見られるが、現代は消費者の舌が肥え、好みが多様化しているので、昔のようにただ美味しいあんこを入れただけの饅頭とかだけでは競争に勝ち抜くことはできない。
アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパなど海外に行ってみるとよくわかるが、食事やお菓子の多様性といったら日本はずば抜けている。海外のお菓子はかなり甘すぎるものが多いし種類は日本ほど多くはないし、日本のお菓子は特に現代では本当に様々な工夫がされていて魅力的だ。
光夫は商品開発部のプロジェクトBチームに在籍している。小豆を使った革新的な新時代のお菓子を開発中なのだが、何故か他のチームと違って女性が多いのだ。
4名中3名が、つまり光夫以外の全員が女性なのだ。しかもその3人がなんと社内の美人美人四天王と呼ばれるスーパー美女なのだ。
ちなみに美人四天王のもう一人は美人社長だという噂だ。彼女たちは清楚なお嬢さんタイプからセクシーなタイプまで信じられないほど豪華な面々だ。
というわけで光夫は社内の男性たちから羨望の目で見られているだけでなく大いに妬まれていて、日常的にいろいろと嫌がらせを受けることが多かった。
実はこれは真面目な男をホニャホニャにしてしまいたい美人社長の陰謀だったのだ。彼女は光夫のような真面目を絵に描いたような男を堕としてみたい、それも自分でではなくて他の美女たちに翻弄されてダメになっていくところを見てみたいという強い願望を持っていた。
それは彼女が若い頃、美人であるがためにモテすぎて困っていた頃、彼女に全く興味を示さないある真面目な男に遊び心と好奇心で近づき、食事に誘ったところけんもほろろに断られ、それもかなり屈辱的な拒絶をされたからなのだ。
それはもちろん光夫とは別人なのだが、似たタイプの男なので彼を通して昔の男への意趣返しをしようと思いついたのだ。
3人は別に女社長から彼を誘惑するようになどと命を受けているわけではなかったが、社長は光夫がどんなにお堅い男であってもこれだけ常に美女に囲まれて仕事をしていれば男である以上いつかきっと間違いを犯すに違いない、そしてその時は厳しく処分して昔の憂さを晴らしたいと思っているのだ。