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落ちる瞬間

「あ。鈴ちゃんだ。今日も口説きに…」


渚はいつも通り鈴を口説きに行っていたが、沢田と鈴が仲良く話しているを見つける。


「…?」


渚は沢田といるのを見て少し心臓がズキっと痛む。分かっている。鈴だって友達付き合いがあるのだろう。

それでも複雑な気持ちになってしまう。

友達が増えて祝う気持ちと自分のことをもう少し見て欲しい気持ちが戦っているのだ。


「別にいいんだ。俺は違う人の方行けばいいし…」


それでも、意思とは違い体は動かず、鈴から目が離せない。

見たくないのに。苦しいのに、笑っている姿を見るとドキドキする。

こっちを見ないかな。

近寄られると話しかけてくれると心臓が熱の時のようにうるさくなるのだ。

来ないで欲しいと思うのに、話したい。

もっとずっと近くでいたい。


「見過ぎだよな…。早く行かないと… 」


モヤモヤしながらも違う女性の方へ行く。

いつもなら言葉出てくるのに、話しかけに行くこともできない。体が動かなかった。


そんな中、珍しく女性の方から話しかけられる。なのに、鈴を考えてしまって何も楽しく感じられなかった。

「お姉さんみたい美人な人に話しかけられて嬉しー。俺とカフェとか映画とか行くか?

お姉さんとならきっと何でも楽しいよ。」

「もー。褒め過ぎよ

じゃあ、映画とか行きましょう。」


何でだろう。俺がモテたいって望んだのに全く嬉しくない。それでも、違う人の方に視線を向けないと嫉妬してしまう。

俺、こんなに想いを伝えるの苦手だったけ…


「何してるのよ。渚。また、女性誑かしてるのね…」

「あ…」

また鈴に見つかった。

目が合わせられない。視界にいるだけでも鼓動が速くなる。

そんな目で見ないでくれ。触れないでくれ。

俺の感情をかき乱さないでくれ。

このままじゃ、本当に気持ちが抑えられなくなる。

「ほら。渚、帰るわよ。」

「え、えー。なら、俺と遊ぶ?お姉さんの代わりにさー。」

「遊ばないわよ…」

鈴が渚の手を掴み、連れて帰る。

その瞬間渚は鼓動が恐ろしい程速くなる。

いつもの調子でいられているだろうか。

明日から抑えられる気がしない…。

「…鈴ちゃんは俺がナンパとかやめたら一緒にいてくれるようになる?」

「ええ。ナンパをやめたらね。」

沼やん。鈴ちゃん

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