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ドm先輩…うわあ…

「倉斗先輩のモチベーション維持方法がヤバすぎる件」


鈴は部室に忘れ物を取りに行こうとしていた。夕暮れ時のグラウンドでは、まだ部活を続ける生徒たちの声が響いている。


「……あれ?」


ふと、遠くから聞こえてきたのは 倉斗先輩の声 だった。


「もっと! もっと罵ってくれッ!!」


鈴は 足を止めた。


(え……? 今、何て言った……?)


恐る恐る声のする方へ向かうと、そこには ノリノリで部員たちに罵倒される倉斗先輩の姿 があった。


「先輩、もっと速く走れませんか? その程度で限界とか情けないっすね!」

「いやー、倉斗先輩って、言うほどすごくないですよね!」


「ははっ! いいねぇ!! その辛辣な言葉、最高だ!!」


全身汗まみれで走りながら、めちゃくちゃ爽やかな笑顔 で 感謝すらしている倉斗。


(な、何してんのこの人……!!)


鈴は遠巻きに見ながら、 頭を抱えた。


倉斗先輩は、部活のモチベーションを保つために あえて後輩たちに罵倒されに行く という 狂気のルーティン を持っていたらしい。


「もっと言ってくれ! 俺はまだまだ追い込まれ足りないッ!!」


「いや、普通に頑張ればいいんじゃないですか……?」


と、部員の一人が若干引いた様子で言うと、倉斗は 爽やかにウインク しながら言い放った。


「何言ってるんだ、努力は “精神” から始まるんだよ!」


「この追い込みこそが、俺を強くするんだ!!!」


そう言いながら、ダッシュを続ける倉斗。その後ろで、部員たちは 微妙な顔 をしながらも、形だけの罵倒を続けている。


「……いやいやいや、何やってんのこの人……。」


物陰でこっそり見ていた鈴は、目を覆いたくなった。


(もうダメだ、この人と普通に会話できる気がしない……!!)


こうして、鈴の中で 「倉斗先輩のドM度は思ってた以上に深刻」 という認識が強まったのだった。



「先輩の変態野郎…」

「うっ…これが一番堪らないな…!」

心の底から興奮していそうな倉斗を見て更に鈴はドン引きしたのだった。

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