女好きと来ないモテ期
クスッと笑ってしまった。
女好きイケメン渚
「hey…君可愛いね。鈴ちゃん。…僕とお茶しない?」
渚がウィンクしながら甘い声をかけると、鈴は一瞬ポカンとした後、そっと後ずさった。
「…え、いや、結構です」
「ちょっ…待ってよ!そんなに警戒しないで!」
必死に追いすがる渚だったが、相手は足早に去ってしまった。
「おかしいな…今日の決め台詞、完璧だったはずなのに…」
渚は髪をかき上げて溜息をつく。
確かに顔は整っている。鏡に映る自分を見ても、悪くないはずだ。むしろ、イケてる。なのに――
「なぜか毎回引かれるんだよなぁ…」
試しに友人に相談すると、呆れた顔で即答された。
「お前、最初から飛ばしすぎなんだよ。カッコつけてるつもりかもしれないけど、キモいんだよ」
「キモい!?」
渚は衝撃を受けた。
「この顔で!?俺のこの完璧なフェイスで!?」
「顔はいいんだけどな。中身が終わってる」
「うそだろ…?」
ショックで肩を落とす渚。
しかし、めげないのが彼の長所(?)だった。
「まぁ、愛を学ぶには試行錯誤が必要だからな…!」
そう言いながら、また別の女子に声をかけに行く。
「君、瞳が綺麗だね…まるで深海のようだ…溺れてもいいかな?」
「無理です」
開始3秒で撃沈。
それでも、渚は決して諦めない。
今日もどこかで、彼の迷走は続いている。
「渚。私までナンパするのやめてよ。」
「…君は俺から逃げないじゃないかー。かけさせてくれよ…な。鈴ちゃんー」
「何をしているんだい。渚。この僕がモテテク教えてやってもいいぞ…!この美の化身たる僕がね!」
「お前は残念な所以上に顔が良すぎるからだろ!?俺は鈴ちゃんに聞いてるんだよ!?」
鈴は少し黙ってから
「麗は努力してるので…スキンケアとかもちゃんとしてるからモテ要素はあるわ。」
顔はいいんだけどな…この人…
一方鈴は諦めていた。