サイレントノイズ
街の喧騒に嫌気がさして、引きこもりたいと思ったから
とりあえず僕は、大好きな騒音を耳にかざす。
いくらかましだろうと感じて、音量を上げて掻き消した
街の声は、束の間の絶滅。
心地よい爆音に身を委ね、別の世界へ飛び込むと、
置き去りにした世界が視界をうろちょろ。
好きでもないハイボールの香りがどこからか侵入して、
僕の世界を亡き者にしようと必死になっている。
そんなに僕が好きなのか?
僕は嫌いだよ。
見たくないもの、嫌いなにおい、邪魔な味、不快な感触、
そして何より
無意味にけたたましい騒音を
好きなもので覆いかぶせたい。
要らない世界を滅ぼして、このうるさい静寂に浸らせて。