祝!小学校入学
ガオたちより私の方が一才年上なので、当然の事だが5人の中で最初に7歳になり、当然小学校へ上がるのも私が先だった。
普段、無口なガオが、お母さんとお父さんが用意してくれていた小学校の鞄や連絡帳をぐちゃぐちゃにしてしまった。
「なんで!?なんでなの?これ大事な物って知ってるよね?」とガオに詰めよっても、「うわぁ~ん」と大声で泣くだけで、どうしてそんないたずらをしたのかは説明してくれない。
「明日初めての小学校なのにっ。もう、ガオなんて知らないっ!」と言うと、ガオの泣き声が更に大きくなった。
その夜、ガオパパが何時もの様に家で夕飯を食べたガオを上に連れて行こうとしたけれど、ガオは泣きながら私のパジャマの裾を握って離さない。
そう、新しいお母さんが来たのに、ガオは未だほぼ毎日ウチで夕飯を食べるのだ。
「ガオちゃんはウチをもう一つの家族と思ってくれている様なので、ウチで食べてもらうのは全然構わないんだけど、ナミさんに申し訳なくて・・・・」
ウチのお父さんがそう言ったので、一時はガオを上で食べさせ様と言う事になったんだけれど、ガオが一切料理に手を付けない事が続くと、ガオが慣れのるまでナルママとナルの方がウチの食堂で一緒に夕食を食べることになった。けど、夕食時はオジサン率が高い時間帯なのでナルママはどうにも落ち着かない様だった。
そこで自然とガオだけが私たちと一緒に夕食を摂る様になり、ナルとナルママ、ガオパパは2階の自分たちの家で夕食を食べる様になっていった。
だから夜になってもガオが私の部屋に居る事に関しては誰も違和感を持っていない。
でも、大人しいガオが私の小学校の御道具をグチャグチャにした事には違和感ありありなんだけどね。
だってガオは私の嫌がる事はあまりしないしね。
「しょうがないわねぇ。ガオちゃん、今夜はタマと一緒におねんねする?」
「うん!」
お母さんがそう誘導するとさっきまで大声で泣いていたガオがニパっと笑顔を見せ、結局その晩はウチにお泊りした。
「お姉ちゃんが一人で小学校へ行ってしまうのが不安だったのでしょうね」とウチのお母さんがガオパパに言ってたけれど、これってそういうことなの?
小学校へ入学してから2週間もするとガオも落ち着いて来て私の後を追いかけ回すのを止め、普通に幼稚園に行くし、朝もぐずらなくなった。
それどころか小学校での話を強請る様になった。
「どんな建物なの?」
「どんな友達が出来た?」
「今日は何を勉強した?」
本当に根ほり葉ほり聞いてくる。
そして私が宿題をする時には決まって横に座って、一生懸命私の宿題や教科書を見ているのだ。
ガオは頭が良いらしく、私が四苦八苦して覚えた文字を結構すんなりと覚えた。
計算も早くて正確だ。
これはお姉ちゃんとして負けられん!と私も一生懸命に勉強するけど、ガオの吸収力はすごかった。
周りの大人も「神童だ」なんてガオを褒める事が多かった。
ふん!私だってガオ程じゃないけど、ちゃんと勉強できるんだからねと意気込んでみても、ガオが凄すぎて誰も褒めてくれない。
そうこうする内に1年が過ぎ、ガオたちが小学校へ入学して来た。
何と、此奴はすぐに飛び級で2年生になった。
むむむむ。
神童というのは伊達ではないな。
恐らく私の宿題を見ながら、独学したのでは?
残念ながら学年は同じでもクラスは隣のクラスで、授業は別々に受けた。
一つ年下にも関らず、ガオはクラスで人気者になったし、学年一番の秀才と呼ばれている。
事実、学年一位なのだ。くそう!
ウチと学校の間の登下校、私はお姉ちゃんだからいつもガオと一緒だ。
もちろんナルやパフ、ミソもね。
もう、ナルママもウチのお母さんも同行はせず、同じ地区の小学生が上から下までの学年全員で集まって集団登校するのだ。
そんな中、私は紅一点でガオたちと一塊になって登校する。
しかし、隣の建物に住んでいるマリとハナちゃんはガオと一緒に登校したくてシツコク寄って来るのだが、肝心のガオが嫌がるのでみんなで彼女たちをブロックしガオを守っていた。
そうなると当然、マリちゃんたちはガオの傍にいる唯一の女の子、私に対してイケズな事をしてくる。
彼女たちだけでなく学校の女子が、ガオや顔の良いミソの傍にいる私に対して不満をぶつけてくる。
小さな時からガオのお陰で私は何度陰湿ないじめに合った事か・・・・。
今はそれにもう一人のイケメン、ミソのファンも加わっているのだ。
不思議な事にナルにもファンがいるんだよね。
パフ?パフはパフだね。深く追求しちゃダメだ。
3人のファンの女の子たちにいじめられ、私には4人以外の友達が出来なかった。
1年生の時に出来たたった1人の友達は、お父さんの仕事のせいでお引越ししちゃってもうウチの小学校には通ってないしね。
でも、いつも一緒に遊ぶのは悪ガキ4人なので、女の子の友達が居なくても平気なのだ。
教科書を捨てられたり、破かれたりした時はクラスの違うガオから教科書を借り、水をぶっかけられたらまずは自分の体操服、それでも更にゴミや水をぶっ掛けられたら4人の誰かの体操服を借りる。
女子の体操服は臙脂色で、男子の体操服は紺色だから、4人の誰かの体操服を着ると直ぐに私のでは無い事が分かってしまう。
でも、何度もいじめに合っている事を知っている先生方は、私が男子の体操服を着ていても何も言わない。
いじめって普通にある事だし、クラスルームの時に先生が注意するくらいしか学校側としては手を出せないみたい。
まぁ、先生に叱られても隠れていじめてくる様な子は、その後もいじめをやめる事はないよね。