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悪ガキ5人組結成!

 ガオが頭に怪我をした日から、この辺りでガオママを見掛けた人は居ない。

 後で知ったのだが、ガオパパの所へ弁護士が来て離婚の手続きをして行ったそうな・・・・。

 私の周りで離婚って言葉を聞いた事が無いし、大人たちの口ぶりでもめったに起きない珍しい出来事の様で、離婚に弁護士なんてものを通すのって更に珍しい事らしい。

 でも、ガオママは態々弁護士を寄こしたらしい。

 そのお陰か、2人の離婚はスムーズにいったし、ガオの親権はガオパパ、ヤマさんが貰った。


 ガオパパは離婚から半年もせずに、子連れの未亡人と再婚した。

 サラサラの黒髪をいつも後ろで一つに縛っていた女の人で、ガオと同い年の男の子を連れていた。

 ガオママに比べると全然美人じゃないし、そこら辺にいるおばさんの様で特に目立ったところのない女の人だけど、引越餅は手作りだった。

 プラス3点!


 もちろん味はウチのお父さんには敵わないけどね。

 でも、手作りって所は評価したい訳よ。

 ガオたちは引越して来たわけじゃなく、ガオパパが後妻さんをもらっただけだけど、新しいガオママたちは新しく引っ越して来たから引越餅なんだと。

 お餅は好きだから貰えるなら嬉しい。モグモグ。


 新しいガオのお母さんが連れていた男の子はナルと言い、骨なんかはがっしりしているのだけれど、背はガオの方が高かった。

 ガオがどことなく都会の匂いのする男の子なのに比べ、ナルは坊主頭で野っぱらを駆けずり回っているガキ大将っぽいイメージの子で、実際そんな感じだった。

 一日中、外を駆け回っている様な子。

 親の再婚に伴い12号館に越して来てすぐ、近所の男の子2人と仲良くなった。


 と言うのも、ナルもまだ幼稚園には早いのだが、ガオが毎朝、ウチのお母さんに連れられて幼稚園に通っているので、兄弟で差をつけてはいけないというガオパパの考えからナルも毎朝私たちと一緒に幼稚園に通う様になった。

 人懐っこい性格のナルは幼稚園であっと言う間に友達を作ったのだ。

 ガオとは大違いだ。


 幼稚園と言えば少し今までと変わった事がある。

 今や幼稚園の送り迎えはガオの新しいお母さん、ナミさんが専業主婦なのでやってくれる様になったのだ。

 ウチのお母さんは実はお店の事もあるし、妹のミルの面倒もあるので、この際、ナミさんにお願いしようと言う事になった。


 幼稚園への行き帰り、人見知りの激しいガオは私とだけ手を繋ぐ。

 そうすると、ナルがガオの反対側の手を繋ごうとするんだけど、ガオは嫌がって手を繋がない。

 となると、当然次は空いてる私の左手だ。

 私は手を繋いてもいいんだけれど、ガオが嫌がるから繋がない。

 必然的にナルは自分のお母さんと手を繋いで行くんだけれど、母親がいないガオに気を使ってか、ナルママは私たちの後ろ側を歩き、ナルと手を繋いでいる所をガルに見せない様にしてくれたんだ。

 でもそうなると、ガオや私の目にはナルの姿が入らず、今まで通り二人で幼稚園に通ってる感が強く、いつまでたってもナルとの間の溝は埋まらなかった。


 だからなんだろうなぁ。

 ナルが同じ幼稚園のパフやミソと率先して仲良くなったのは。


 パフには大層綺麗なお姉さんが居るが、パフ自身は愛嬌すらないぶさいく顔。

 髪は金髪で目が赤く、上等な服を着せてもらっているのに、服に着られているとでも言えば良いのか、ちょっと野暮ったいんだよね。

 服が上等なだけに、コレジャナイ感がすごい。

 パフん家は、遠い親戚に思いがけず誰かからの遺産が舞い込み親戚一同に金を配ってくれたらしく、そのお金でガオパパが働いている瓦工場を建てたんだと。

 国の経済が上向き加減で、建材の商いや建築現場で働いている人は結構羽振りが良かったからこの商売を選んだってパフパパが言っていたんだって。

 だからお金は結構あるらしく、他の子に比べ余計に服が上等で、服に着られ・・・・ゲフンゲフン。

 まぁ、外見に関してパフが他人に誇れる所は少ないとだけ言っておこう。


 ミソは弁護士一家の家に生まれパフん家程ではないがそこそこ金持ちだけれど、後で知った事だけど、子供に興味の無い父の元、放置気味に育てられていたらしい。

 弟がいるのだが、母親は弟の世話はしている様だった。

 ミソはガオの向こうを張るくらいの美形だけど、親に恵まれなかったからか、なんかちょっと不良が入ってる感じだ。

 幼稚園児の不良・・・・珍しい!

 やさぐれ幼稚園児だな。あははは。

 黒髪で背はガオ程高くはないが、何でも器用に熟す所はガオと同じだったので、結構女の子の人気はあるみたい。


 ちなみにガオパパに離婚の交渉をしたのは、ミソのパパではない。


 ナルが来る前からミソもパフも同じ地区に住んでいるのでその存在は知っていたが、1学年下の子たちだったので一緒に遊んだ事はなかった。


「なぁ、ガオ、一緒に遊ぼうぜ」とナルがガオを良く誘っていたけれど、基本ガオは私にくっついている。

 お断りしてくれるならまだ良いのだが、無言で無視するガオを見てナルに対して申し訳ない気持ちになるのはいつも私。

「ごめんね、ガオは人見知りだから、もうちょっと慣れたら一緒に遊ぶと思うよ」と気を使って返事をするのも私。

 そんなこんなで私はナルとも当然頻繁に顔を合わせていた。

 でも、ナルは私の弟って感じじゃなかったんだよねぇ。

 恐らくだけれど、私にとってガオは家族だけれど、ナルはまだ他人だったんだと思う。

 まぁ、そういう事だ。


 ナルといつも一緒にいたパフやミソも、ガルを遊びに誘う時に顔を合わせる事が多くなり、私たちが段々口を利くのが当たり前になった頃、「タマちゃん、ガオとナルが仲良くなる様におじさんお願いしたんだがいいかな?」とガオパパに頼まれた。

 頼りにされると自分に力があると大人に認められた気になるのが子供と言うもの。

 私ははりきってガオを彼らにくっつけるように努力した。

 そして私たちは仲良し5人組となった。


 悪ガキ5人組。

 ふふふ、私は所謂紅一点だ。

 ただ一番のガキ大将は私で、全然女の子らしさはなかったけどね。がははは。

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