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合コン、なにそれ、おいしいの?

「タマ、私のタオル知らない?オレンジ色でアキ様の絵が入ったやつ。昨日洗濯して干しておいたんだけど、どこへいっちゃったのか見つからないの」

「え?見てないよ。もう一回洋服の棚を見て見た方が良いよ。服の間に挟まってるかもよ?」

「う~ん、もう2回は見たから無いと思う・・・・。アキ様は『秋色ワルツ』でも断トツ人気だから中々手に入らないのにぃ」

 キクは漫画を描くのが趣味で、入口右のスペースが彼女のスペース。

 色んな持ち物が漫画に関係していて、彼女が推すアキ様とは漫画の主人公だ。


 勉強よりも漫画を描いている時間の方が長くて、床などにはスクリーンの切れ端が結構散らばっている。

 サークル活動はもちろん漫研だ。

 大きい物なら別に問題ないんだけれど、節約して使っているので、切れ端がほんの数ミリと言うものも多く、気を抜くとこっちの洋服とかにペタンと付いちゃっている事もある。


 だから余計に綺麗好きのマチはキクにトーン貼りは部屋でするなと五月蠅く言ってる。

 マチのベッドは私の向かい、窓側の左側だ。

 

 文学部のマチは、実はワル会長の従妹らしい。

 私が放送研究会に入ってるって自己紹介したら、「ウチの従兄、モテてるでしょう」って悪い笑顔を浮かべていた。


 マチは赤縁眼鏡で、眼鏡を掛けてますって強調している癖に、本人はコンタクトレンズにしたいそうだ。

 すれば良いのにと言ったら、「眉毛とまつ毛がほとんど無いので汗が目に入るから、コンタクトレンズは無理!」だそうだ。

 別にまつ毛は薄いとは思わないけれど短いかもしれない。

 そして確かに眉毛は薄い。

 高校生の時、眉墨を使って眉を描いていたらしいけれど、毎日左右不対象の眉になるので、最近では描かなくなったらしい。


「私が描いてあげようか?」とキクが言うけど、今の所描いてもらっている様子は無い。


 2浪してまでこの大学に入って来たカオは、頗る大人びた美人さんなんだけれど、ちょっと不愛想。

 挨拶くらいはしてくれるけれど、それも気分の良い時くらい。

 2浪した事がコンプレックスらしく、年の話なんかはウチの部屋ではNGなのだ。


「ねぇねぇ、今日夜、外で一緒に食べない?ウチの従兄とかが友達と一緒に行く店があるから、そっちで待ち合わせようって言ってるの」

 マチが従兄って事は、ワル会長だな。

「あ、別に変な友達とか連れて来ないと思うから、そこは安心して」

「う~ん、どうしようかなぁ。恰好良い人来る?」

「うん。ってか、ウチの従兄が既にカッコいいよ。ね?タマ。放送研究会でもウチの従兄、モテてるよね?」

「うん、モテてるねぇ。モテモテだよ」

「なら、漫画の参考になるから行く~」

「タマは?」

「みんなが行くなら私も行くよ」

 でも、カオは返事すらしない。

 

 これもいつもの事なので、別段騒ぐでもなく、私たち3人で大学近くのブルックリン・ダンスと言う店に行った。

 ワル先輩だけでなく、他にも4人男子が居て、「おお!やっと来たか。これが俺の従妹、こっちがウチのサークルの後輩。で、そっちの子は?」とワル先輩、こういう会には慣れているらしく、ちゃっちゃと垣根を取り払ってくれた。

「あ、キクです。よろしく」

 男子側もそれぞれが自己紹介をして、さぁ、みんなで食べて飲むぞと言う時に、見てはいけないものが見えてしまった。


 たった今ドアを潜ってウチの幼馴染3人組が入って来たのだ。

 それも偶然同じ店って言うわけじゃなく、どうやら私が来るのを知っていた感じだ。


「タァ~マ、こういう店来るの?」

「え?ここは今日が初めてだけど?」

「ふ~ん。来年はアパートだね」

 ぐはぁぁ。ガオは言い出したら聞かないからなぁ。

 来年はアパート暮らしと言うのが決定した瞬間だった。


「お前らもその辺適当に座ってくれ。後で、別の女の子のグループも来るから。で、ガオは知ってるけどそっちの2人は?」とワル先輩が男女が適当に散らばる様に座らせながらも、それぞれの自己紹介を促す。

 10分もしない内に、2年生か3年生か分からないけれど女子学生が4人来た。


「ああ、こっちこっち。先に食べ物は頼んでるから、自分の飲みたい物頼んで」とワル先輩がメニューを渡す。

 はっと気づけば、私の両脇と真向かいはウチの幼馴染3人衆。

 しかもテーブルの端っこ。

 これだといつもの面子で面白くないじゃないか。


 でも、それを口に出せる雰囲気じゃないんだよね。

 3人が3人共、せっせと私のお皿に料理を載せる。

「タマ、お前これ好きだろう?」とイカが載せられ、「タァ~マ、はい」と海老が載せられる。

「お前それ、アルコール入ってないだろうな」とミソに睨まれ、アルコールの入ったコップをパッと取られて普通の炭酸飲料水を勝手に注文される。


 おいおいおいおい!

 私の『君に囁きたい』ライフはどこへ行った?

 あれは寮で暮らすだけが目的じゃぁないんだぜ。

 いろんな友達を作り、今回の様な合コンっぽい集まりにも出て、格好良い男子と恋愛をするのが目的なのじゃぁぁぁ。

 なのに、なのに、幼馴染3人のせいで、私の大学生ライフは味気ない。

 泣くぞぉぉ。


 結局、会がお開きになるまで、私が会話したのは幼馴染だけ。

 しかも女子寮まで見送り付き。

 キクとマチも一緒だけれど、「ウチのタマをよろしくお願いします」とか色っぽい雰囲気ゼロ。

 マチたちも呆れていたよ。

 もうねぇ、お前たちは私の保護者かっ!!

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