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私の事を私より知る奴

 パフがいない学生生活。

 代わりと言って良いのか分からないけど、サニちゃんが居てくれたので寂しさが少し緩和された気がした。

 私にとって初めての同性の友達だしね。

 でも、サニちゃんは私よりも先輩で先に卒業しちゃうんだよね。

 ところでサニちゃんは大学へ進学するつもりなのかな?


「私?美大に行くつもり」

「美大?」

「うん、美術を専門に教える大学があって、実は彫刻とかの方が活発な活動があるんだけれど、絵画も選べるから、そっちへ行こうと思うだ。タマちゃんも将来は美大どう?」

「う~ん。美大、すんごく興味はあるんだけれど、私実は暁空大学へ行きたいと思ってこの学校へ入学したんだぁ」

「ああ、幼馴染たちと同じ大学に入学したいのね」

「いや、みんなが同じ大学になるかどうかは分からないんだけどね、私は『君に囁きたい』の様な学生ライフを送りたくって、暁空大学に憧れているの」

「『君に囁きたい』って何?」


 えええええ!!!

「サニちゃん『君に囁きたい』を知らないの?」

「うん、知らない」

「テレビドラマだよ」

「ああ、私あんまりテレビ見ないから・・・・」

「えっ!?テレビを見ない人って初めて見たよ」

「そう?私の家族とか親戚にはテレビ嫌いな人が多いから、私も見る習慣がないんだぁ」

「なんかカルチャーショックだよ」

「そう?結構学者系の家では見ない家多いよ」

「というと、サニちゃん家って学者さんなの?」

「言ってなかったっけ?父も兄も学者だよ」

「うぉぉぉ」

「あはははは。タマちゃん、女の子捨ててる叫び声は止めた方がいいよ」

「うっ!吐血」

「あはははは」


 そうかサニちゃんは美大か。

 進学校に通っているのに美大受ける子っているんだぁ。

 しかも家族に学者がいるのに美大を許してもらえるもんなのかなぁ?

 美大は国内に2校しかないんだって。

 首都とウチの国にある大きな島にあるのとで2校。

「私は首都の方を狙ってるんだ。タマちゃんが暁空へ行くなら、あっちでまた一緒に遊べるね」

 そうか同じ大学でなくても同じ町なら遊べるもんね。


「で、タマちゃんところの幼馴染君たちはどこの大学を狙っているの?」

「そう言えば、大学についてはまだはっきり話した事なかったなぁ」

「賭けても良いけど、みんなタマちゃんと同じ大学にすると思うよ」

「え?なんで?」

「いや、こっちがえっ?だよ。高校まで一緒のにしたんだから、当然大学も一緒でしょ?」

「でも、私一人頭も成績も悪いから、みんなと同じ大学へ入れるとは限らないんだよね」

「タマちゃん、大学には学部ってのがあるって知ってる?」

「もちろん!」

「同じ大学でも学部によって偏差値が違うのよ。だから成績が振るわなくても自分の実力にあった学部を選べば、同じキャンパスで学べるし、お昼だって同じ学食で食べる事が出来るんだよ」

「おおおお!何か今日、初めてソニちゃんが先輩だって実感したよ」

 ソニちゃんはほっぺを可愛らしくぷくっと膨らませた。

「何かタマちゃん、酷~い」

「えへへへ」


 ソニちゃんのこのすごい情報にウキウキした私は、その日の帰宅時、3人に向かってこの情報を教えた。

 すると3人が3人ともきょとんとした顔をした。

「えっへん!どう?私のこの情報収集能力」と若干胸を張った。

 ナルが「ぷぷぷぷっ」と噴き出したのを皮切りに、3人が大笑いした。

 何で?


「何でじゃないよ。そんな事みんな最初っから知っているよ。だからガオもタマに暁空大学って言う人参をぶら下げたんじゃないか」

「ええええ!何かミソが変な事言っている」

「いや、タァ~マ、ミソが言ってるのは当たり前の事だよ」

「ええええ!」

「オレたちはみんなタマと同じ大学へ行くつもりだけれど、それは暁空大が国内でも多くの学部を抱えている大学だってのもあるし、ガオやミソに比べたら少し学力の下がるオレでも通えそうな学部があるからなんだ。まぁ、タマの場合は通えそうな学部を探すのが大変そうだけどね」

「だからってタァ~マは下手に安心して勉強しなくなっちゃダメだよ」

 むむむ。

 みんな学部別偏差値って言うのを知ってたのかっ!


 後は私でも通えそうな学部がどれかを調べないとだねと思っていたら、ガオが「教育学部とか都市デザイン学部なんてのが狙い目だと思う」とスラスラと諳んじた。

 むむむ。

 私の事なのに何故かガオが一歩先を行っているのが納得いかない!


「タマはそういうのはガオに任せておいた方がいいと思うぞ」

 なんかナルがとても失礼な事を言っている気がする。

 私は自分の将来の事を自分では決めるだけの能力が無いって言われてる気がする。

 それに教育学部って将来先生になるための学部っぽいし、都市デザインなんて何をどうするのか全然想像できないよ。


「選んだ学部に因んだ仕事に就く事が多いのも事実だけれど、学問と仕事は別って考え方もあるから、タァ~マはあんまり深刻に考えず、大学のキャンパスライフを楽しむくらいの気持ちでいた方が良いよ」

 むむむ。

「だって『君に囁きたい』ライフを送りたいんでしょ?」

「う、うん・・・・」

「ほら、やっぱりガオの方がしっかりタマのやりたい事を把握しているんだよ」

 いつもの様にガオに言いくるめられている私を見てナルが笑う。

 むぅぅぅ。

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