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たった1年の勉強期間って何だったの?

 しっかし、この3人、モテる、モテる。

 でも絶対彼女を作らないんだよね。

 パフなら速攻作ってる気がする。

 そんでもって即裏切られるところまでがワンセットの様な・・・・。

 いやいや、パフも良いところはあるんだよ。どことは言えないけどね。

 うん、きっとある。

 

 私たち4人が高校生になってからは、パフとは中々時間が合わない。

 しっかり勉強してもらわないと萬髭には入れないと思うのだけれど、中学より高校の方が授業もクラブ活動も遅い時間に終わるし、何より家からの距離がある。

 だから、私たちが団地に着く頃には、既に夕飯の時間に近い。

 パフのために勉強会を開くのが時間的に厳しいのだ。

 

 ナルやガオなら同じ建物なので夜中まで一緒にいるのなんて毎日の事だけれど、一人だけちょっと離れた所に住んでいるパフは尚の事、顔を見る機会が無い。

 ちゃんと勉強してるのかな?


 週末になったら4人でパフの家へ押し掛ける。

 顔を見た瞬間は嬉しそうな笑顔になるのだが、勉強を強要されると思うのか、すぐに暗い顔つきになる。

 おいおい、漸く顔を見れたんだから、もう少し嬉しそうな顔をしようね。


 段々とパフは週末も出かけて、私たちがパフの家に行っても会えない事が増えて来た。

「なぁ、ミソ。パフがそんなに勉強が嫌なら、強要するのはやめた方がいいんじゃないか?」

「でも、ナル。お前だって5人で同じ学校へ通いたいだろう?」

「それはそうだけれど・・・・。本人が嫌がっているなら強制はできないよ」

「・・・・」


 ミソは最後まで抵抗していたが、3週続けてパフが週末家を空けているのを見て、渋々勉強を強要しないと4人の意見が固まった。

 でもね、パフ。

 あんただけじゃないんだよ。

 私も週末、ガオの猛特訓が待っているんだよ。

 赤点イヤイヤ大作戦っていう勉強会がっ。


『君に囁きたい』ライフのためには仕方がない。

「たった3年の事だから。本当に大学に入ったらもっと自由になるから」と言うガオの言葉に踊らされる私。


 はっきり言おう、夏休みもずーっと、ずーっと、勉強だったよ。

 プールへ行ったのは2回だけ。

 

 サニちゃんと一緒に買いに行った水着、初ビキニにしたんだけど、4人共が怒っちゃって直ぐにプールを切り上げ、その足で近くのモールに連れて行かれワンピースタイプを買わされた。

 買わされたと言うのは、私のお小遣いが減ったと同義だ。

 ビキニを買った時もお小遣いだったのに、もう一着とかどんな贅沢?

 そんなお金があったら以前から買いたかった漫画全巻大人買いしたかったっ!


 最初からワンピースを買っていたサニちゃんにはクスクスと笑われ、「愛されてるね」って、どういう意味じゃぁぁ!?

「で、タマちゃんはどの人が好きなの?」

「ん?どの人?」

「だからぁ、ガオ君?ナル君?ミソ君?それともパフ君だっけ?」

「ええええ!?ガオとナルは弟だし、ミソやパフは幼馴染だからね」

「え?でもガオ君やナル君とは血が繋がってなかったよね?」

「うん。でも家族なの」

「それってあっちはそう思ってないのでは?」

「むぅ、サニちゃんでもそんな事言ったら怒るよ。ウチは特別な家族なの」

「ふぅ~ん。怒られるのは嫌だからもう何も言わないけど・・・・」

「うん!じゃあ、泳ご!」

 泳ごうと言っても私は泳げないんだけどね。ニヒヒヒ。


 今日のサニちゃんは結構しつこく4人の事聞いて来たな。

 もしかして4人の中に好きな人でもいるんじゃないかな?

 そんな事、サニちゃんに聞いたら怒られるかな

 でも、憧れなんだよねぇ。女子の恋バナ。


 その日は何も聞かずにサニちゃんとはプール前で別れたけど、改めて4人の顔を見て、ないわぁ~と思ってしまった。

 サニちゃんはあの小さなスケッチブックにパフ以外の3人については良くスケッチしているんだけれど、取り立てて一人だけ多く描いてるとかないし・・・・特に好きって感じじゃないのかな?

 まぁ、いつも関係ないのに周りをウロチョロし、隙さえあれば3人に紹介してって言う女子学生とサニちゃんは違うからね。

 もし、サニちゃんが誰かを好きになったら、私、応援するよ。


 そして、プール以外の日はそれはそれは厳しいガオ先生の授業が延々と続く。

 お陰様で赤点を取る事はなかったけれど、D組から上に上がる事もなさそうだった。


 夏休みも何事もなく終わり、冬休みが来て、パフの受験の日、まずは商業高校。

 これは私たちの時と同じ。

 そして試験当日、なんとパフは萬髭じゃなく瑞穂を受けたんだよ!!!

 どうして事前に教えてくれなかったのかなぁ。

 一緒に通えないよぉぉ。


「俺は萬髭は絶望的だったから、商業高校へ行きたいのでなければ瑞穂だけが候補だしね。瑞穂へ行っても大学へ上がる人は結構いるから、同じ大学でなくても首都にはもう一つ大学があるし、まぁ、みんなからあまり離れない様にするよ」


 パフめぇぇ。

 そんなにあっさり諦めて良いのか?

 

 ミソもがっくり来てるじゃないか。

 どうするのよ、これ。

 幼馴染5人で揃って高校へ通いたかったよ。

 でも勉強しろと五月蠅く言わない様にするって言う事は、こういう事なんだよね。

 仕方が無い。


 新学期、私たちの高校より遠くにある瑞穂へ通う為、パフが家を出るのは私たちより30分早い。

 クラブ活動が終って団地に到着するのも30分遅い。

 下手をするとバレー部に入ったパフは土日もクラブ活動で練習試合などがあり、週末もなかなか会えない。

 高校になってから私たちはパフを見かける回数が極端に減った。

 何かとっても寂しい・・・・。

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