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桜咲く

 満開の桜が咲いちゃいましたよ。

 4人全員萬髭高校へ無事入学ですよ。

 私、出来る子だったんですよ。


 合格発表を見に行った時、私の番号を見つけたガオがその場で崩れ落ちちゃってたからね。

 ナル曰く、あれ程私を萬髭へ入れ様と必死だったガオは心底安心したんだよとのこと。

 まぁ、ガオの努力は認めるよ。

 あの勉強の出来なかった私を、ちゃんと萬髭へ入学させたんだから。


 その足で中学へ行くと、ガオたちの担任から泣きながら感謝の言葉と合格の労いの言葉を頂いた。

 ふぉふぉふぉふぉ。恐れ入ったかぁ。萬髭高校のタマ様だぁぁ。ニヤリ。


 中学からウチへ帰ると、パフが待っていた。

 中学は今日まで授業があったから、一緒に合格発表を見に行けなかったからね。

 心配してくれたんだね。

「お前らすごいなぁ~。来年は俺かよぉ」

「パフ、お前も頑張らないと、離れ離れになるんだぞ。気合入れて行け!」とミソは相変わらずパフの心配だ。

 でも、それ、パフは迷惑そうなんだよね。

 私も何となく分かるよ。

 勉強が出来ないのに、無謀とも思える結果を期待されても重たいんだよね。

 しかも周りは全員勉強が出来ると来た。


 でも、悪いけど、パフよ、私は晴れて萬髭へ入学できたので、これからはめいっぱい楽をさせてもらうよぉ~。

 そう思っていた時が私にもありました。


 進学校が進学校たる所以。

 それは毎日鬼の様に勉強すると言う事。

 受験より入学してからの勉強の方がすごかった。

 いや、辛かった・・・・。


 まずクラス分けが成績順。

 ここでもガオが学年1番。

 どんな頭しとるっちゅうねん。

 ミソもAクラス。

 ナルはBクラス

 私はドベのDクラスだよ。

 はぁ~。

 

 入学してからも勉強、勉強、また勉強。

 もう嫌だ!

 そう叫ぶ度にどこからかガオが現れ、「『君に囁きたい』は?」と囁く。

 私が期待した囁きはそんな囁きじゃあない!

 もっとこう、甘~ずっぱい、青りんごの様な・・・・。

 え?はいはい。勉強しますよ。

 目指せ!暁空大学だもんね。


 クラブ活動は今回もガオとミソはバスケ。

 ナルはサッカー。

 私は悩みに悩んでまた美術部にした。

 いいのよ、美術だと他人に迷惑が掛からないから。


 高校でも3人は女子にきゃぁきゃぁ言われて、行き帰りとランチをいつも一緒にしている私は相変わらず女子の敵。

 でも!高校は違うのですよ。

 お友達、できちゃったんですよ。おほほほ。

 1学年上の先輩なんだけれどサニちゃんって言う美術部の先輩。

 

 サニちゃんは唯一、高校に入ってから3人の事について質問して来なかった子で、元々人付き合いが苦手らしく、私から話し掛けて漸く会話が成立したのだ。

 彼女が持ち歩いている小さなスケッチブックには色んな物がスケッチされていた。

 でも、その殆どが何かの細部だったりする。

 例えば、掃除の時間に生徒が使う箒。

 箒全体をスケッチするんじゃなくって穂先の部分だけクローズアップして描いてあったり、アイスクリームだったらコーンのメーカー名の入ってる部分の凸凹だけをアップしてたりって感じ。

「どうしてモノの一部だけを描くの?」って聞いたら、「そこが一番美しいから」と言う謎の答えを返して来る娘なのだ。


 そんなこんなで仲良くなったサニちゃんを3人に紹介すべく学食へ行ったら、初めて3人を見たのかな?あんぐりと口を開けて固まったサニちゃんが出来上がっちゃった。

 とりあえず席に着かせてお弁当を食べさせたけど、人見知りの部分が強く出ちゃったのか、誰とも話をせずに昼休憩が終ってしまった。


 放課後になって美術室へ行くと、サニちゃんが手ぐすね引いて待っていた。

「タマちゃん、何あれ?全員美形ってどういうこと?」

「え?ガオとミソは美形だけれど、ナルは違うよね?」

「ええええ!?ナル君はスタイル抜群だし、爽やか系のイケメンだよね?」

「ええええ?」と今度はこっちが声を上げてしまった。


「ガオ君は少女漫画のヒーロー系、ミソ君はワイルド系、なんかイケメンの見本市みたいなランチタイムだったよ」

 流石、絵なら漫画までも好きなサニちゃんは言う事が漫画チックだ。

「まぁ、不細工ではないよね」

「ええええ!何言っちゃってるの?全員イケメンでしょう?イ・ケ・メ・ン!」

「はいはい」とまともに取り合わなかったけれど、サニちゃんのスケッチブックには、いつの間にか3人の顔が描かれていたよ。

 あんなに良いモデルはいないとのこと。

 まぁ、しっかり描いてくれたまえ。

 しかしランチタイム中、俯いていた気がするのだが、いつあの3人の顔をスケッチできるまで見ていたんだろう。

 サニちゃん、恐ろしい子。


「タマちゃん家って礫里地区なんだ。ウチは埼玉留地区なの」

 サニちゃんの家は高校から私たちの団地とは反対の方向なので、ランチは一緒になっても登下校は別なんだよねぇ。

 紅一点だといじめられる回数も多かったんだけれど、サニちゃんが混ざると少しいじめが軽減された気がする。

 もちろんゼロじゃないよ。

 でも、どっちかと言うと、遠巻きに見守られてる感が強くなった。

 恐らくだけど、女子学生の間で3人対するファンの相互監視体制みたいなのが出来上がっちゃったんだろうね。

 まぁ、頑張り給えよ。

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