ビバ!夏休み☀
夏休みもいつもメンバーで遊ぶ。
恐らく金持ちのパフの家ならバケーションでどこかへ旅行へ行く可能性はあるが、放置されているミソや親しく訪ねるべき親戚のいないガオやナルはどこへも行く予定が無い。
私も父方も母方も遠い親戚なら残っているが、祖父母はもう居ないので、夏休みのおばあちゃんの家なんて体験は一度もした事が無い。
従っていつもの様に5人で集まっていつもの様に遊ぶ夏休み。
みんなで勉強カードを作って種類を増やした。
国語のカードは主な作品の著者名、主な内容を、理科は教科書に出ていた虫や植物、火山の成り立ちなんかを抜粋してその名前や特徴を、数学に関しては他の教科とは違いA4サイズの紙に問題を書いて掲示板に見立てた板に張り付けておく。
これは直ぐに回答しなくて良いのだけれど、一番最初に正解した人には缶入りドロップをお父さんたちが進呈してくれるのだ。
大きい缶じゃなく小さい缶の方だったけど、もらえれば中に10粒は入っているので、みんな真剣だ。
最初は小学生チームは中々正解しなかったが、元々勉強が出来るミソは直ぐに、次いでナルも着々と実力をつけて正解数を稼ぐ様になった。
パフは数学は苦手だけれど歴史なら私たちの中で一番正解率が高い。
そして徐々に私が最下位っぽい立ち位置になってるんですけどぉ!?
プンスカ。
まぁ、そうは言ってもこの次の試験で赤点を取る事は無いと思うくらいには学力が付いて来た。
いや、多分、きっと・・・・。
そんなこんなで夏休みも中頃になると、私たちの中で一番のお金持ちパフが家族旅行で2週間不在になった。
なんと!南国の島へ行くんだと。
なんだっけ?リ・リモート?いやいや、リゾット?あ、えっとリゾートだ。
何でも綺麗な砂浜のある青い海を堪能するのだとパフママは大張り切りなんだと。
私たちはかの南国の島で有名なチョコレートを一人一箱買って来る様にという密命を出し、パフは自分がいない間、4人だけで遊ぶのを悔しがる様にして連れて行かれてしまった。
「パフは一番勉強が出来なかったのに、勉強カードで遊ぶ回数が下がると余計に引き離されるね。イッヒッヒッヒ」と意地悪な魔女の様な笑いを浮かべていた私に、「パフはタァ~マより1才下なんだから出来なくて当たり前だよ」と言われてしまった。
が~~~ん!
そうだった、1学年下だったんだよ。
うっかり忘れていたよ。
私は夏休みの宿題は最後の1日でやるタイプなんだけれども、そこはほれ、ガオがべったり一緒だから、夏休みの半ば、パフがいないタイミングで4人で角突き合わせて宿題の会を開かれちゃったよ。
でもお陰で宿題は余裕を持って終わらせる事が出来た。
これで思いっきり遊べるねと言う事で、近所の市民プールへ。
学校にはプールなんて無いから、当然スクール水着なんて無い。
雑誌なんかには都会のお嬢様学校なんかにプールがあってスクール水着なるものが存在するのは知っていたが、学校にプールがなければ水着も無い。
お父さんが11号館の古着屋ではなく、下着なんかを買う時に連れて行ってくれる第二の都市にある大型商業施設へ連れて行ってくれた。
ナルもガオも一緒だよ。
この大型商業施設はお母さんたちが事故に遭った時に行こうとした所ではなく、そこよりはウチから離れた所にある施設なんだ。
ウチではあれからあの商業施設へは行かない事が不文律となっているからね。
3人で好きな水着を選びなさいっと言って連れて行ってくれたのは、売り場の半分が特設水着売り場になっている所だった。
大人のおねいさんたちが着るビキニなんていう下着そっくりの水着があって、3人してドギマギしながら、恥ずかしいから急いで子供用の水着売り場へ走って行ったりと、水着一つ買うのでも子供には荷が重たいよ。
ガオは深い紺色に黄色の横文字が左裾に入ったシンプルなもの。
ナルはアニメのロボの絵が入った派手な奴。
私はガオが是非コレ!と持って来たオレンジの水着。
これ、腰の所からスカートみたいなのが付いていてちょっとカワイイんだよね。
流石ガオだよ。
服のセンスは抜群!
3人で共有する浮き輪1つとビーチボール1つも買ってもらって、ウキウキしながら家に帰った。
ビーチサンダル?
そんな贅沢なモノ、子供に買ってくれるわけないじゃん。
私たちが行くのは市民プールで、砂浜じゃぁないしね。
そしてパフ抜きで4人でプールへ。
ウチのお父さんは水着を買いに行く時、放置されているミソにも声を掛けたんだけど、既に持っているという回答だったから、どうやってか水着は手に入れたんだろうねと思っていたら、結構お高そうな真っ赤な海パン。
そして子供用プールではなく、大人も泳ぐ大きい方のプールへ。
ミソとナルは準備体操が終るとすぐに駆け出し、「ざっぶ~ん」とプールへ飛び込み、監視員に叱られた。
私も一緒に走り出そうとしたんだけど、ガオに右手をギュっと掴まれて飛び込めなかったんだよね。
だから首の皮一枚で叱られずに済んだよ。
子供だけだとついつい長く水に浸かっちゃって唇が紫なっちゃったりするんだけれど、これがまた面白いんだよね。
お互いの唇の色を指さし、笑い合う。
次いで1本10円の原色アイスを食べ、舌ベロをべぇ~と出して、それぞれの舌の色を見て笑う。
私たちがプールを満喫した頃、パフ一家が南国の島から戻って来た。
パフは律儀にみんなに一箱ずつチョコレートを配ってくれた。
更に、男の子にはみんなの上半身くらいはありそうな素朴な木彫りのお面と、私には原色に白で描かれた花模様のムームーもくれた。
パフ、お前良い奴だな。




