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その眼鏡、割ってもいい?
ある日彼を見ていてムカついた。
眼鏡のイケメン。成績優秀。スポーツ万能。
それに対して私は平凡。
顔は普通。成績平均。スポーツ平均。
経歴に特徴を書くとすれば『特徴がないのが特徴です』。
こんな私を彼は愛してくれている。
だけど私はムカついた。
「その眼鏡、割っていい?」
冗談のつもりで彼に言った。
彼は笑いながら眼鏡を外す。
外した眼鏡を手渡してくる。
言った手前、割らないわけにはいかない。
地面に置いて思い切り踏んだ。
眼鏡は綺麗に割れてしまった。
彼は眼鏡の心配より私の心配をしてくれた。
だから私はこう言った。
「眼鏡を一緒に買いに行こ?」
彼が転ばないように手をつなぐ。
そして一緒に眼鏡を選ぶ。
私が割りたくなくなるように。




