22/100
アナタが嫌い。だけど、それ以上に大好きよ。
「アナタなんて大嫌いっ」
彼と彼女はある日喧嘩をした。
原因は本人達にもわからない。
そんな些細なこと。
ちっぽけなことで喧嘩をした。
二人は違う方向を向く。
お互いの顔を見ないように。
心の中では思っている。
自分が悪いかもしれない。
自分は何をしてしまったのだろうか。
自分から謝ったほうがいいかもしれない。
だけどお互いに素直になれずにそっぽを向いている。
一時間、二時間、……一日、二日……一週間。
彼女が彼の方を見る。
「仲直りしない?」
だけど彼は素直になれず。
「キミが謝ったら許してあげる」
彼のそんな答えに彼女はそっぽを向く。
彼はそんなことを言うつもりはなかったと後悔をする。
一週間、二週間、……一ヶ月。
再び彼女は彼の方を見る。
「アナタなんて嫌い。だけど離れたくないわ」
そう言って彼女は彼に抱きついた。
彼は彼女を抱き寄せた。
彼女の耳元でこう囁く。
「素直じゃなくてごめん」
「私こそ」




