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抱きしめて、離さない

「私の傍にいて」

 彼女からの願いはそれだけだった。

 キレイな服もいらない。

 キレイなアクセサリーもいらない。

 高価な宝石もいらない。

 高い車もいらない。

 豪華な家もいらない。

 ただ貴方の愛だけあればいい。

 たた貴方が傍にいるだけでいい。

 ただ私が貴方を愛せればいい。

 ただ私が貴方の傍にいられればいい。

 彼女のそんな願いをかなえるため。

 僕の腕で彼女を包んで、

 優しく抱きしめる。

「離しちゃ嫌だよ?」

 腕の中でそう呟く。

「もちろん離さないさ」

 彼女の願いが僕の願いでもあるから。

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