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私のとっておきを見せてあげる

 平々凡々な日常。

 どこにでもある平和。

 二人のカップルは川原の堤防に腰を下ろしています。

「平和だねぇ……」

「そうだねぇ……」

 二人は何かするわけでもなく空を眺めています。

 今日も、明日も、明後日も……

 彼らは別れる日がくるまでそうしていようと約束しました。

 いつまでも彼女の隣にいるだけで彼は幸せでした。

 いつまでも彼の隣にいるだけでは物足りなくなってきました。

「今日も平和だねぇ……」

「平和だけど……それだけじゃつまらないわ」

 彼は驚くように彼女を見つめます。

 いつもの答えが返ってくると思っていたから。

「いつもと同じも大切だけど、たまには変わらないと」

 そういうと彼女は立ち上がって尻の砂を払いました。

「な、何をするんだい?」

「フフッ。私のとっておきの変化を見せてあげるわ」

 彼女は川にある桟橋の方に歩いていきました。

 彼は何も出来ずにただ彼女を見つめるだけでした。

 次の瞬間、彼女は桟橋から踏み切り川の中に吸い込まれていきました。

 彼は慌てて桟橋の方に走りました。

 少しすると彼女は浮いてきました。

 彼は彼女を引き上げるために手を差し出しました。

 彼女はその手を掴んで彼を水の中に引っ張りました。

 彼は水の中に落ちていきました。

「どう?こんな日々も楽しいでしょ?」

「……そうだね」

 その日から彼らは川原にあまり来なくなりました。

 他の場所で彼らを見かけることが多くなりました。

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