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今日も世界は進んでいく
彼女が突然死んでしまった。
何が起きたかわからない。
頭の中が真っ白になった。
泣くことも出来ない。
叫ぶことも出来ない。
ただ、冷たくなった彼女を見つめるだけ。
だんだん頭の中が戻ってきた。
だんだん涙が浮かんできた。
だんだん叫びたくなってきた。
誰が彼女を殺したのだ。
それは僕のせいだった。
交通事故で逝ってしまった。
運転していたのは僕だった。
涙が次から流れていく。
叫んで声が枯れていく。
どんなに僕が嘆いても。
どんなに僕が叫んでも。
それでも世界は回っている。
僕をそこに取り残して。
時間はどんどん進んでいく。
僕が命の砂時計を止めたとしても。
それでも世界は回っている。
時間をずっと刻みながら。
だから僕は生きていこう。
彼女が楽しめなかった分まで。
彼女の壊れた砂時計の砂を。
僕がそれをかき集め。
一緒に時間を刻もう。
今日も世界は進んでいく。
僕と彼女と一緒に。




