Jリーグと私
30年前 開幕したJリーグ
大ブームに乗って ただの興味本位で
観に行っただけの 大学生の私
選手の気迫に ゴールの爽快感に圧倒され
ブームとともに去った 友達と別れても
ひとりで通い詰めた
スタジアムで出会った 初めての彼氏は
今では私のだんな様
一緒にスタジアムで 熱狂する息子は
あの時の私の 年齢を追い越しました
息子達に誘われて 50歳を過ぎての初観戦
定年後の趣味が見つかったと 喜ぶ主人
家庭を築いた息子達が 地元を離れても
ふたりで通い詰めた
主人は病に倒れ
クラブの来季を心配しながら
天国に旅立つ
でも 80歳を過ぎた私にはサッカー仲間がいる
そしてスタジアムには スタジアムにだけは
主人がまだ生きている
華やかな舞台に踊る 選手達を見て
俺の人生も 希望に満ちていると
信じて疑わなかったあの日
不況の煽りで ひとつのクラブが消滅した頃
俺の就職内定は 突然取り消された
長い氷河期の中 どうにか食いつなぎ
社会から見下されながら それでも
スタジアムに通い詰めた
サッカーには 現実の厳しさが凝縮されている
去年のキャプテンも
新監督の好みに合わなければ 戦力外
貧しくても 報われなくても
俺には サッカーを見続ける理由がある
俺が 心の底から共感出来るのは
サッカー選手しかいない
Jリーグがなかったら 何も掴めませんでした
サッカーなしの 人生なんてありません