第95話 発見
たくさんある作品の中から
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昨夜の何でも好きなものを食べるパーティーで、僕たちは気分転換ができた。
今朝はスッキリとした気分で起きられたし、何か良い方向へ物事が進みそうな気がする。
現在、朝食後にリビングでアイスミルクティーを飲みながら会議中だ。
「アイビス独立国首都イーグルに来てから1週間以上が経過したけど、シュトラウス伯爵家の謎は解けないままである。そこで僕から皆に提案したい。隣国のアルバトロス独立国へ移動するのは、どうだろうか?」
僕の提案にリゼとエルが目をつぶって考えている。
「私は、お兄様に賛成です。これ以上イーグルの町に居ても、新しい情報は得られそうにありませんし」
リゼがハキハキと自分の意見を発表している。
最初の頃は、皆に遠慮して積極的に話すことはなかったが、この旅でどんどん成長しているようだ。
今日のリゼは、美しいサラサラとした銀髪のストレートヘアである。幼少期からの髪型で、親しみがあり凄く落ち着く。
服装はレモンイエローの半袖ワンピースで、スカート丈は膝下10センチメートルくらいだ。
また目の保養に、ミニスカートやホットパンツ姿のリゼを見たいけど、次はいつ頃になるのだろうか。
「私もクリス君の意見に賛成かしら。新風力車もあるし、イーグルの町に戻ってこようと思えば、いつでもできるのだわ」
エルが自信に満ちた表情で、僕を真っすぐに見据えていた。
僕が間違った方向へ進まないように、客観的な視点で冷静に助言をしてくれるので、凄く助かっている。
「では、隣国のアルバトロス独立国首都アウルを目指して北上しよう。すぐに出発するので、皆準備してね」
皆が頷いて、各々荷物をまとめて平家から外に出る。
僕が収納ボックスから新風力車を取り出すと、皆が乗車していく。
「じゃあ、出発するよー」
「「「「はーい」」」」
女性陣の返事を確認して、僕は新風力車を風魔法で浮上させる。
途中で一度休憩を挟み、森しかない所をひたすら北上し、昼前に国境付近と思われる山の手前へ到着した。
地図によると、この山頂付近が国境らしい。
「エル、このまま国境上空を通過しても平気かな?」
「大丈夫じゃないかしら。アイビス独立国とアルバトロス独立国は最近戦争をしていないし、こんな深い森の中に住んでいる人も、国境警備隊もいないと思うのだわ」
「了解、昼食を取ったら一気に国境を越えようと思う。あと2時間くらいで、首都アウルが見えてくるはずだ」
僕たちは昼食後、新風力車を再浮上させ無事に国境を越えて、午後のおやつ前になると大きな町が見えてきた。
「お兄様、あの町が首都アウルでしょうか?」
「おそらくね。皆、検問所から少し離れた所に着陸するから、その後町を見て回るよ」
皆が頷いたので僕は、新風力車を草原に着陸させた。
そして全員が降車すると、新風力車を収納ボックスへ入れる。
徒歩で検問所まで移動し門番に確認すると、間違いなくアルバトロス独立国首都アウルの町であった。
僕たちは、冒険者カードを提示して早速アウルの町に入ると、古書店をひたすら探して回る。
いざ古書店を見つけても、前回イーグルの町で見つけた本と同じものが多かった。
新しく発見できた本は、わずか数冊しかなかったのだ。
「お兄様、同じ本ばかりで新しい本がなかなか見つかりませんね」
「そうだね。イーグルの町で徹底的に調査してしまったから、仕方ないけれど」
僕とリゼが古書店内で、ため息交じりに会話をしていると、エルが息を切らしてやって来た。
「クリス君! リゼ! 光魔法の魔術書を見つけたのだわ!」
僕はエルが探してきた本を確認してみた。
すると未所持のものだったので即決で購入する。
「まだ町の半分くらいしか見ていないけど、今日は切り上げてエルの探してくれた魔術書を確認しよう」
皆が頷いたので、僕たちは急いで町を出て草原に戻った。
そして複合魔法で平家を作ると、全員がダッシュで中に入る。
「早速確認しよう。僕とリゼとエルの3人で、最初のページから『ハイブレス』の呪文を探していこう」
「どうか見つかりますように……」
「ドキドキするのだわ」
僕たちは必死になってハイブレスの呪文を探した。
僕が左のページを読み、エルが右のページを読む。リゼは左右全体を見てハイブレスの記述を探す。
そして魔術書の中盤くらいで僕が『ブレス』の呪文を発見した。
「ブレスの呪文が書いてあって、まだ残りのページが半分くらいある。これは期待できるよね!」
「はい! お兄様、早く次のページが見たいです」
僕は急いでページをめくり、左側のページを読んでいく。
「あった! ありました! お兄様! エル!」
リゼが珍しく大きな声で叫んだ。
「どこ!? どこに書いてあるの!?」
「ここです! ここにハイブレスの呪文が書いてあります!」
リゼが左側のページの最後のほうを指で示している。
「本当なのだわ!」
エルまで珍しく大きな声をあげた。
「リゼ、早速外に出て試してみよう」
「はい!」
僕たちは駆け足で外に出ると、手ごろな植物を探す。
「クリスっち! ここにみかんの木があるっすよ」
カルラが、アイビス独立国で実験したときと同じ種類の木を発見した。
皆が一斉にみかんの木に集合する。
「リゼ、これで全てのピースが揃うかもしれないね」
「はい、インフィニティの皆には感謝しかありません」
リゼが目をウルウルさせている。
「では行きます! 咲き誇れ、世界に大いなる恵みを与えたまえ、ハイブレス!」
リゼが右手を開いて前に出し、ハイブレスの呪文を唱えた。
すると上空からキラキラとした光の粒子が舞い降りて、みかんの木に降り注ぐ。
そして、瞬時にみかんの木に花が咲いた。
「おお! 成功したっすね!」
カルラが感嘆の声をあげた。
「お兄様! 私やりました! 成功しました!」
リゼが目もとを潤ませて、僕の胸に飛び込んでくる。
僕は、リゼをギュッと抱きしめた。
「お兄様! 私のステータスを確認してください!」
いつも冷静なリゼが、興奮を隠しきれない様子だ。
「皆、リゼのステータスを確認するから僕の手に触れて」
僕は緊張からゴクリと唾を飲み込み、リゼのステータスを表示する。
【リゼット・ブレイズ・ファルケ】
ファルケ帝国 第1皇女 11歳 女
知力 91/95
武力 29/29
魅力 100/100
剣術 G/F
槍術 G/F
弓術 G/F
馬術 G/F
光魔法 S/SS
話術 S/S
算術 A/S
芸術 S/S
料理 D/C
「嘘だろ……まだ僕たちが知らない光魔法Sがあるなんて……」
やっとパズルを完成させたと思っていたら、一つだけピースが行方不明になっている……そんな感じだ。
期待が大きかっただけにリゼは、ガックリと地面に膝を落としている。
皆がリゼを心配しているが、何て声を掛けたら良いのかわからない様子だ。
「リゼ、少し休んでからまた考えよう」
僕はリゼをお姫様抱っこすると、平家の中に入りベッドに寝かせた。
やはりシュトラウス伯爵家の情報を探し出して、大聖女リーゼロッテが残した光魔法の魔術書を手に入れる必要がある。
僕は絶対に諦めないと、固く心に誓うのであった。




