第94話 シュトラウス伯爵家の謎
たくさんある作品の中から
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僕たちは、アイビス独立国首都イーグルの町で、古書店を片っ端から見て回った。
そして、スワロー共和国の歴史書や500年前の地図などを多数購入する。
その後僕とリゼとエルで、ひたすら読みまくり既に1週間が経過していた。
現在、夕食前に休憩を取っている。
「いやー、まいったね。多数の書籍を購入できて、解決した気になっていたけど、蓋を開けてみれば、シュトラウス伯爵家の情報がほとんど無いなんて」
僕は両腕を横に広げて、ヤレヤレといった感じのポーズを取る。
「お兄様、購入した複数の地図にも、シュトラウス伯爵領は見つかりませんでしたね」
リゼが珍しく溜め息をついて、がっかりしている。
「クリス君、これまでに分かった事を、一旦まとめてみるのはどうかしら?」
エルも大分疲れているはずだが、弱音を吐かずに頑張ってくれている。
「そうだね。頭の中がゴチャゴチャしているから、一旦まとめて整理するのは良いかもしれない」
僕は、簡単に年表みたくまとめてみた。
「ざっくりとまとめてみた年表は、こんな感じかな」
【年表】
500年前……周辺の大国に対抗するため、10の独立国が同盟しスワロー共和国が誕生する。この頃にリーゼロッテも誕生したのではないか。
100年前……400年に及ぶ戦国時代が終わり、スワロー共和国が分裂して10の独立国に戻る。
80年前……激しい戦争が起こり10の独立国同士が争う。
20年前……60年に及ぶ戦争が終わり、現在の5つの独立国になった。
現在……20年間戦争は無く、世界中で平和が続いている。
「お兄様、こうして見るとリーゼロッテ様が生まれた地域は、戦争ばかりだったのですね」
「うん。平和な時代に生まれた僕たちには、その苦労が分からないよね」
「現在シュトラウス伯爵家が存在しないので、この年表中のどこかで、滅亡しているはずなのだわ」
「それがわかれば、重要な手掛かりになるのだけどね」
僕とリゼとエルの3人が同時に溜め息をつく。
「あらら、珍しいっすね皆で溜め息なんて。疲れた頭には、甘いものが必要っすね。特製のケーキセットを作ったので、これを食べて元気になってくださいっす」
カルラは、少し小さめのケーキが沢山のった皿をテーブルに置いた。
そして、アイスティーを用意してくれる。
「ありがとうカルラ、丁度甘いものが食べたくてね」
「凄く美味しそう! でも夕食前なのに良いのかしら?」
「リゼ、今日は何でもありのパーティーにしてしまえば良いのだわ」
「エル、名案っすね。クリスっち、どうっすか?」
「良いと思うよ。今日はパーティーにして、好きなものを好きなだけ食べて、疲れを癒そう!」
「「「「賛成!」」」」
いつの間にかクラウも近くに居たようで、女性陣全員が賛成のようだ。
「さあ、皆の大好きな焼肉もあるっすよー。希望の肉があれば、自分に言ってくださいっす」
「「「「はーい!」」」」
僕たちは、シュトラウス伯爵家の謎解きを一旦置いて、カルラ特製の料理に舌鼓を打つ。
悩める僕たちに必要だったのは、気分転換だったのかもしれない。
カルラの機転に感謝したいと思う。
「お兄様! パスタは食べたくありませんか? 元気になったので、私が作りますよ」
リゼが満面の笑みで恐ろしいことを言う。
リゼが作るということは、激辛が確定しているのだ。
僕が助けを求めて周囲を見ると、皆が僕と目を合わせようとしない。
ぐぬぬぬ……せっかくリゼが張りきっているのに、いらないとは言えないよ。
「リゼ、辛いのと普通のと2種類作ってくれるかな。リゼが辛い方で、僕は普通の方でお願い」
「了解です、お兄様」
リゼがカルラと一緒にキッチンへ向かった。
ふー、これで大丈夫だろうか?
いや、食べる瞬間まで気は抜けないな。
リゼの中で普通の基準が、僕と違う可能性があるからだ。
リゼが超激辛で僕のが激辛ってパターンも充分あり得る。
「クリスもエルも大変だな。1週間もずっと本とにらめっこなんてアタシには無理だ」
クラウが苦笑して僕とエルを見ている。
「クラウディア、私を癒して欲しいのだわ」
エルがクラウに甘えると、クラウがソファーから立ち上がった。
そして、ソファーに座っているエルを軽々と抱き上げる。
いわゆるお姫様抱っこだ。
「ありがとう! クラウディア、大好きなのだわ」
エルがクラウの首にギュッと抱きついて離さない。
クラウが苦しそうにしている。いつもの光景だ。
「ケホッ、ケホッ……エル、息が出来ないから首を絞めるのはやめてくれ」
「あああ、ごめんなさいクラウ」
幼少期から仲の良い幼馴染、昔からこんな感じだったのかな。
僕に幼馴染はいないけど、5年以上ずっと一緒のリゼが居る。
すると、キッチンからリゼとカルラが戻って来た。
「お兄様、お待たせしました。こちらが普通に味付けしたパスタになります」
リゼが微笑んで僕を見ている。
僕は覚悟を決めてフォークを手に取った。
そして、一口食べてみる。
「ん? なにこれ凄く美味しい!」
僕が味見を済ませると、一斉にエルとクラウも食べ始める。
「「美味しい!」」
「でしょ? カルラに教わった通りに作ってみました」
リゼが楽しそうに笑みを零す。
僕はリゼの幸せそうな笑顔を見て、明日こそシュトラウス伯爵家の謎を解くと誓うのだった。




