第87話 絆
たくさんある作品の中から
見つけてくれて、ありがとうございます♪
2日間ひたすら巨大蟻地獄を討伐し続けて、ついにレオナの火魔法がAからSに上昇した。
現在、新風力車の中で皆がレオナの周りに集まっている。
火魔法Sに感激したレオナが、僕に抱きつきながら泣いていた。
「「「「レオナ、おめでとー!」」」」
リゼ、エル、クラウ、カルラの4人が弾けるような笑顔で祝福してくれる。
「うう、皆ありがとうなのじゃ……特にクリスは猛暑の中、妾に付き合ってくれて感謝なのじゃ」
レオナが泣き続けているので、僕は彼女の頭を優しく撫でた。
「アタシでさえ熱中症になったのに、どうしてクリスとレオナは大丈夫だったの?」
クラウが首を傾げて僕を見つめている。
「あー、それはね風魔法で二人の周囲だけ温度を下げていたからだよ。エルをおんぶしたとき、暑くて大変だったから考えてみた」
「クリスのお陰で、少しだけ暑いくらいで済んだのじゃ」
レオナが瞳に涙を浮かべて、微笑みながらクラウを見ている。
「そんな手があったのか! アタシも風魔法が上達したらやってみたいな」
「そのときは僕に聞いてね」
「ああ、よろしく頼む」
クラウから笑みが零れた。
ふとレオナを見ると、かなり疲労しているように見える。
「リゼ、レオナにエクストラヒールをかけてあげて」
「はい、お兄様」
レオナが体力的にも精神的にも余裕が無いと判断したのか、リゼが杖を使わずに右手を前に出した。
「レオナ、いきますよ。エクストラヒール」
レオナの頭上に、眩い光の粒がキラキラと輝きながら降り注ぐ。
「うう、ありがとうリゼ。何だか体が楽になったのじゃ」
ようやく涙も止まったようで、レオナが僕から離れた。
「汗も凄いし、妾皆とお風呂に入りたい……クリス、最後に妾の髪を洗って欲しいのじゃ」
「最後?」
「だって明日になったら、ストークの町に戻るのじゃろ?」
レオナが、しょんぼりと下を向いてしまった。
「レオナたん、今夜はレオナたんの好きなものを沢山作るっす! どうせ最後なら笑顔で楽しく過ごさないと、後悔するっすよ」
「そうじゃの、カルラの言う通りなのじゃ」
レオナが右腕で、ぐしぐしと目元の涙を拭っている。
「よし、皆で平家に移動して、お風呂に入ろう」
僕は新風力車から出ると、複合魔法で平家を作った。
そして、皆で水着に着替えて浴場へ集まる。
「クリス、リゼにもらった水着を着てみたのじゃが、どうかの?」
レオナがセパレートタイプで、胸部に装飾がある桜色の可愛い水着を着ていた。
去年リゼが着ていた水着かもしれない。
「とても似合っているよ。凄く可愛い」
「えへへ、そうじゃろ。この胸の装飾で、妾の胸が少し大きくなったように見えるのじゃ。帝国の水着は凄いのお、我が国の水着は、シンプルなデザインしかないからの」
レオナが苦笑して僕を見ている。
その後僕は、レオナの髪をいつものように優しく丁寧に洗い、シャワー魔法を体にかけてあげた。
シャワーが背中に当たると気持ち良さそうにしていたが、太ももやオヘソの周辺は、くすぐったいようで爆笑している。
その後、約束していた複合魔法の練習を少しだけしたのだが、火と水の複合魔法でお湯を作るのは、簡単ではないようで失敗に終わった。それでもレオナは、諦めずに訓練を続けるそうだ。
こうして風呂から上がると、次はカルラ特製の夕食だ。
レオナの好きな巨大鶏の胸肉や巨大牛の肉、巨大豚の肉と今夜は焼肉大会である。
食後のデザートは、牛乳とハチミツをふんだんに使ったケーキを皆で堪能した。
そして今は、寝室のベッドで寝る準備をしている。
「クリス君、最後くらいレオナの隣で寝てあげて欲しいのだわ」
「エル、妾クリスの隣で良いのか!?」
レオナがテンション爆上がりで、エルに確認している。
「でも、国王陛下には内緒にするって、約束できるかしら?」
「する! 約束するのじゃ!」
エルが僕を見つめながら、微笑んで頷いた。
「じゃあレオナ、僕とカルラの間においで」
「ひゃっほー!」
レオナがテンションマックスで、僕を飛び越えて僕とカルラの間にダイブするが、勢い余ってカルラに突っ込んだ。
「グヘッ!」
「あああ、カルラすまぬのじゃ」
レオナが申し訳なさそうにオロオロしている。
「大丈夫っすよ、一瞬息ができなかったから焦っただけっす」
「しかし、カルラの胸の弾力はすごいのお。まるでクッションのようじゃった。妾もカルラのように、大きくなると良いのじゃが」
「そんなに良いものでもないっすよ。重くて肩がこるし、自分はもう少し小さい方が良かったくらいっす」
カルラが苦笑してレオナを見ている。
「なんじゃと! いらないなら、妾に少し分けて欲しいのじゃが!」
レオナが涙目でカルラにすがりつく。
「大丈夫、毎日牛乳を飲んで、鶏の胸肉を食べ続ければ、3年後には今より大きくなっているはずっすよ」
「うう、妾頑張るのじゃ」
カルラがレオナの頭を優しく撫でた。
「しかし、リゼは良いのお。毎日クリスに抱きついて寝られるのじゃからな」
レオナがリゼを、羨ましそうに見つめている。
「えへへー、これは妹の特権なのですよ」
リゼが満面の笑みで、レオナを見つめ返した。
「妾もクリスの妹に生まれたかったのじゃー!」
レオナが手足をジタバタさせて叫んだ。
「レオナたん、妹になるとクリスと結婚できないっすけど、いいんすか?」
カルラが、からかうように苦笑した。
「ぐぬぬぬ、そうじゃった……クリス! 妾は3年後、必ず良い女になってみせるのじゃ。15歳の大人になった妾を見て、結婚するかどうか判断して欲しいのじゃ」
レオナが真剣な眼差しで、僕を見つめている。
「分かった。3年後、15歳の大人になったらレオナに会いに行くね」
「約束なのじゃ!」
僕はレオナと、約束の指切りをした。
「あ、そうじゃ。3年後に会ったときに、裸エプロンのことも忘れずに教えて欲しいのお。気になって仕方がないのじゃ」
レオナに笑みが零れる。
うーん、これは逃げられそうにないね。
僕は、思わずレオナに苦笑した。
そしてこの後布団に入ると、横になりながら皆で色々な話をして盛り上がる。
レオナは僕の右腕にギュッとしがみついて話に参加していたが、特訓の疲れがあるようで、いつの間にか静かな寝息をたてていた。
レオナが寝てしまったので、僕たちは話を切り上げて眠ることにする。
僕の左隣では、リゼが僕の左腕に抱きついて、スヤスヤと眠っていた。
僕の右隣では、レオナが僕の右腕にしがみついて、幸せそうな寝顔で熟睡している。
こうして僕たちインフィニティとレオナは、固い絆で結ばれた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
翌朝、レオナと最後の朝食を取り、食後にハチミツ入りのアイスミルクを飲み干す。
終始和やかな雰囲気の中、僕たちは新風力車へ乗り込みデス砂漠に別れを告げる。
何度か休憩を挟みながら進むと、昼前にはトリック独立国首都ストークの町が見えてきた。
いよいよ僕たちインフィニティとレオナの旅が終わる。
僕はレオナが心配になり様子を窺うと、そこには大きく成長し自信に満ちた、トリック独立国第一王女レオナ・デザート・トリックが居たのだった。




