第83話 剣聖の血
たくさんある作品の中から
見つけてくれて、ありがとうございます♪
僕は、巨大ミーアキャットのステータスを見ながら、討伐する作戦を考えている。
【巨大ミーアキャット】
魔物 5歳 オス
知力 25/30
武力 85/90
魅力 25/25
特徴……名前にキャットとあるが、猫ではない。マングースの仲間であり、『グワッグワッ』とアヒルのように鳴く。巨大サソリの毒に免疫があり、まるで効かない。巨大サソリにとっては天敵であり、まさに砂漠のギャングである。滅多に巨大化して魔物になることはないが、魔物になってしまうとあまりの無敵ぶりに、巨大サソリがスタンピードを起こすことがあるので注意が必要。手の鋭い爪と何でも噛み砕く歯が武器。肉は美味とはいえず、食用には向かない。ただし、鋭い爪と歯は貴重な素材となる。
特に弱点が無いのか……証拠として国王陛下に見せたいので、なるべくこのまま収納ボックスに入れて持ち帰りたい。
ただ倒すだけなら、スタンピードのときと同様に僕の爆炎を使うけど、おそらく跡形も無く消滅するだろう。
うーん……
「なあ、クリス」
「ん? レオナどうしたのかな?」
「クリスは教会の神官みたく、鑑定もできるのだな」
レオナが微笑みながら僕を見ている。
あ、つい流れでレオナにも『可能性は無限大』の鑑定能力を見せてしまった。
まあ、右側の数値が素質だと、気づかなければ問題はない。
「うん、僕には神官みたいな能力があってね」
「妾が教会で見た鑑定は、各項目に数値が一つだけだったのじゃ。なぜクリスの鑑定には、数値が二つもあるのじゃ?」
う、しっかり見られていたか。
さすがレオナ、知力が高いだけあって、見逃してくれないようだ。
参ったな……エルに相談してみるか。
『エル、どうしようか』
『クリス君、右側の素質を非表示に出来ないのかしら』
『やったことないね、試してみるか……ダメだね、どうしても素質が表示される』
まあ、女神パラスの作ったチート能力だ。表示、非表示の切り替えなんて、気の利いたものは無いのだろう。
『仕方ない、レオナに誰にも言わないと約束してもらった上で、本当のことを話しても良いかな?』
『そうね、仕方ないのだわ。でも、レオナは信用できると思うけれど』
『うん、僕もそう思う』
「やあ、レオナ。待たせてゴメンね」
「うむ。軍師との相談は、終わったのかや」
レオナがニヤリと笑う。
「まあね。レオナを信用して、僕の秘密を打ち明けようと思う」
「クリスの秘密を妾に!? そうか、妾クリスに信用されておったのじゃな。絶対誰にも言わないと、約束するのじゃ」
レオナが熱い眼差しで、僕を見つめている。
僕はレオナに、女神パラスからもらった『可能性は無限大』の鑑定能力についてのみ説明した。
「なるほどのう。左が実力で、右が素質であったか。妾の素質も見たいのじゃが」
「分かった。巨大ミーアキャットを討伐した後でも良いかな?」
「勿論なのじゃ!」
レオナが満面の笑みで、喜びを爆発させている。
「さてと、リゼ。砂漠のギャングは、どうしているかな?」
「お兄様、あの後さらに2頭の巨大サソリが捕食されました。早く討伐しないと、また巨大サソリのスタンピードが起きるかもしれません」
リゼが心配そうに僕を見つめた。
「クリス、妾からも頼むのじゃ。トリック独立国にとって巨大サソリは、貴重な資源。この国には海が無いゆえ、エビのような味がする巨大サソリの肉は、国民の宝なのじゃ」
レオナの言葉にクラウが共感して、うんうんと頷いている。
「それに毒針付きの尻尾は、素材として高く売れる。巨大サソリは、トリック独立国の財政も支えておるのじゃ」
「分かった。今、作戦を考えているから、もう少し待ってね」
「クリス! アタシに討伐させて欲しい」
僕が、どうしようか悩んでいると、クラウが討伐隊に立候補した。
「ここはデス砂漠の中央付近だ。クリスが戦って魔力切れを起こしたら、全員の命が危なくなる。それにアタシは、武力を99にしたい。エルのように最後のトドメを刺すと、能力が上がりやすいのだろ?」
「それはそうだけど、勝算はあるのかな?」
「問題ない。巨大ミーアキャットがずっと立っているなら、頭を狙うのに5メートル以上風魔法で跳躍が必要だが、相手は戦うとき4本足なので、頭部への打撃が狙える」
おお、クラウが冷静な分析で、勝利までの道のりを計算している。
今のクラウは、クールビューティーモードのようだ。
「分かった。クラウに任せるよ」
「ああ、任せておけ」
クラウが微笑みながら僕を見つめる。
「じゃあ、いつも通り僕が魔物の動きを封じるね」
「よろしく頼む」
僕は新風力車を地上に着陸させて、クラウと一緒に砂漠に降り立つ。
「リゼ、念のため結界を二重に張ってくれるかな」
「了解! 二人とも気をつけて」
僕とクラウは頷いて、新風力車から離れて巨大ミーアキャットの近くまで来た。
「クラウ、準備は良いかな?」
「ああ、いつでも大丈夫だ」
「いくよー、レストリクション!」
僕は、土魔法で複数の輪を作り、巨大ミーアキャットを拘束する。
「グワッ、グワッ!」
突然拘束され、巨大ミーアキャットが怒声を発した。
「ナイスだ、クリス。……参る!」
クラウが一直線に巨大ミーアキャットへ向かう。
しかしその瞬間、拘束していた土魔法の輪が、巨大ミーアキャットの尻尾で破壊される。
「クラウ! 気をつけて!」
マジか……初めて土魔法の拘束を破られた。
今までの魔物とは、比べ物にならないくらい強いのかもしれない。
クラウが巨大ミーアキャットの顔目掛けて一直線に進み攻撃態勢に入ると、右手の爪、左手の爪、尻尾と三方向から相手の攻撃が飛んでくる。
たまらずクラウが防御にまわった。
相手の連撃が止まらず、クラウは防戦一方だ。
さすがにこれはマズイのでは?
「クラウ!」
「大丈夫だ! もうコイツの攻撃は見切った」
そう言って、クラウが巨大ミーアキャットの右手の爪攻撃に突っ込み、ギリギリのところで爪を回避する。
そして、そのまま前進して相手の右肩を袈裟切りにした。
「グワッ!」
巨大ミーアキャットが悲鳴をあげる。
そして、相手の右腕がダラリと地面に落ちた。
どうやら右腕に力が入らないらしい。
クラウは攻撃の手を緩めずに次は、巨大ミーアキャットの左肩を袈裟切りにした。
「グワー!」
巨大ミーアキャットが大きな声で吠える。
まるで自分に気合を入れ直すように。
だが、左腕に力が入らず、左腕はブラブラと揺れている。
巨大ミーアキャットは、残った歯と尻尾で必死に攻撃するが、最初の頃のキレがまるで無い。
動きを完全に見切ったクラウが相手の尻尾攻撃を避けると、カウンターで巨大ミーアキャットの頭部を袈裟切りにする。
「グ……ワ……」
その言葉を最後に、巨大ミーアキャットは地面に倒れ、力尽きたのだった。




