第80話 対等
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スタンピードの原因を調査するため、僕たちはデス砂漠へ行く準備に取りかかる。
レオナは、明日の朝迎えに行くと言ったら、僕と絶対に離れたくないと駄々をこねて、今夜からインフィニティに合流することになった。
僕たちは街へ行き、不足している物資を調達した後、再び王宮へ戻り準備を整えたレオナと合流する。
「お待たせなのじゃ!」
元気一杯のレオナが沢山の荷物を抱えていたので、とりあえず収納ボックスへ入れた。
「おお、ありがとうなのじゃ。しかし本当に便利なものよ、いつか妾も収納ボックスが欲しいのじゃ」
終始ご機嫌のレオナを連れて僕たちは、城から少し離れた草原で立ち止まる。
「さてと、この辺でいいかな」
「クリストハルト殿、どうしたのじゃ?」
レオナが首を傾げて僕を見ている。
「今日は、ここに泊まろうと思ってね」
「野宿か!? 妾、野宿初めてだから楽しみなのじゃ!」
レオナが嬉しそうに笑みを零す。
「レオナ嬢、危ないから少し離れていてね」
僕は、いつものように複合魔法で平家を作った。
「おお、家が出てきたのじゃ! クリストハルト殿、これも魔法かの?」
「うん、土魔法や光魔法などを組み合わせた魔法で、僕は複合魔法って呼んでいる」
「複合魔法……妾も火魔法と水魔法で複合魔法ができるかの?」
「うーん、訓練次第じゃないかな。今度一緒にやってみようか」
「よろしくなのじゃ!」
レオナ含め女性陣が家の中に入っていくと、リゼだけが戻って来た。
「お兄様、結界と認識阻害は、どうしますか?」
「あー、念のためお願いしてもいいかな?」
「はい!」
リゼもすっかり慣れたもので、あっという間に作業を終えたようだ。
そして、僕の左腕に抱きついてきた。
「お兄様、もう無茶なことは、しないでください。どうしても無理をする必要があるときは、私も一緒に連れて行って欲しいです。私が、お兄様を支えますので」
リゼが真剣な表情で僕を見ている。
「分かった。リゼも無理はしないでね。どうしてもってときは、隣で僕が支えるから」
リゼは黙って頷くと、僕の胸に飛び込んできた。
僕がリゼをギュッと抱きしめると、リゼも僕を抱きしめ返してくる。
しばらく抱き合っていると、何か視線を感じた。
僕が玄関の方を見ると、エル、クラウ、カルラ、レオナの4人が、顔だけ出してこちらを見ている。
「あっ」
「やっと気づいたようじゃな。しかし仲の良い兄妹なのじゃ。まるで恋人同士のようであったぞ」
レオナがこちらを見ながら苦笑している。
僕がリゼとの抱擁を解くと、リゼの様子がおかしい。
『私とお兄様が恋人同士……えへへ……』
リゼの声が小さくてよく聞こえないが、楽しそうだから気にしないことにした。
「リゼ、皆が待ってるから行くよー」
「ふええ、待ってくださいお兄様」
僕たちは全員で平家に入ると、リビングのソファーに座ってフルーツジュースを飲む。
「くー、冷えてて美味しいのじゃ! クリストハルト殿は、氷も出せるのじゃな」
カルラの作った新鮮なフルーツジュースを飲みながら、レオナが満足そうに笑っている。
「さてレオナ嬢に、僕とリゼ以外のインフィニティのメンバーを紹介したいと思う」
「ふむ、よろしくなのじゃ!」
「では、軍師のエルからお願い」
「はい。というか、いつの間にか軍師になっているのだわ」
エルが苦笑して僕を見ている。
「レオナ殿下、私はリートベルク侯爵家長女エルネスタ・フォン・リートベルクと申します」
「リートベルク侯爵家……たしか国境を守っておるのじゃったか。そなたの父は、帝国の魔術師団長だったはずじゃ」
「その通りでございます。よくご存じですね」
エルが驚嘆している。
「妾、勉強熱心じゃからの! しかし、軍師の正体は、魔術師団長の娘であったか。納得なのじゃ」
「では、次は護衛役のクラウお願い」
「承知した」
クールビューティーモードのクラウが、僕を見て微笑んでいる。
「レオナ殿下、私はオルレアン伯爵家長女クラウディア・フォン・オルレアンにございます」
「オルレアン伯爵家……そこも国境を守っておるのじゃったか。そなたの父は、帝国の剣聖だったはずじゃ」
「その通りでございます。よくご存じですね」
クラウが驚愕している。
「妾、天才じゃからの! そうか、護衛役は剣聖の娘か……鉄壁の守りではないか」
「では、最後にインフィニティの料理長、カルラお願い」
「かしこまりました」
あ、カルラが猫をかぶっているな。
「レオナ殿下、私はカルラ・ミュラーと申します」
「ん? 貴族名でないということは、おぬし平民か?」
「はい。私の父は、帝城で料理長を務めております」
「ほー、王宮料理長の娘か。これは夕食に期待が持てるのじゃ」
レオナが楽しそうに笑みを零す。
「はい、ご期待くださいませ。レオナ殿下のお好きなものは、何でしょうか?」
「肉なのじゃ!」
「かしこまりました。夕食は、焼肉料理にいたしましょう」
カルラがレオナに微笑んでいる。
「さて、自己紹介も終わったことだし、レオナ嬢にはインフィニティのルールを説明しておくね」
「ルール?」
レオナが不思議そうに僕を見ている。
「インフィニティに同行している間は、レオナ嬢にもルールを守ってもらいたい」
「ふむ、郷に入っては郷に従えというやつじゃな」
「そういうこと。ルールを説明するね」
「うむ」
「インフィニティのルールその1、パーティーメンバーは対等の立場とします」
「対等の立場?」
「うん、対等つまり身分の差は無いということ。王女であるレオナも、平民であるカルラも対等で、同じチームの仲間ってことだね。対等なので、話すときもタメ口でよろしく」
「仲間……何か楽しそうじゃの! 了解なのじゃ」
レオナが満面の笑みで僕を見ている。
「インフィニティのルールその2、パーティーメンバーは、ニックネームで呼び合うこと。ただし、3文字以下の名前の人は、自分の名前をそのまま使う。つまり、レオナ嬢はレオナということになる」
「ふむ、了解なのじゃ。それで、皆のことは何と呼べばよいのじゃ?」
「僕はクリス、妹はリゼ、エルネスタはエル、クラウディアはクラウ、カルラはカルラでよろしくね」
「うむ、皆よろしくなのじゃ!」
こうしてレオナが臨時的に仲間になる。
そして皆が汗だくだったので、夕食前に風呂に入ることにした。
「リゼに言われた通り、セパレートタイプの水着に着替えたのじゃ」
僕が水着に着替えて浴場で待っていると、一番乗りはレオナである。
「クリス、どうじゃ妾の水着は?」
「うん、とっても可愛いよ」
紫色の三角ビキニがとても似合っている。
レオナはAAカップだろうから、胸に装飾のある水着を選ぶと思ったが、直球勝負のようだ。
「しかし、インフィニティのルール、皆が対等というのは良いな。妾も楽しくやれそうじゃ」
「でしょ?」
「うむ」
レオナが無い胸を張っている。
すると、残りの4人の女性陣が、水着を着て続々と浴場に現れた。
「ちょっ、何これ!? 巨乳ばかりなのじゃが!」
レオナが驚嘆している。
するとリゼが後ろの方から出てきて、レオナの手を取った。
「レオナ、大丈夫ですよ。私がいますから」
「うう、リゼー」
レオナがリゼに抱きついて、慰めてもらっている。
「ん? 年下のリゼの方が、妾より大きいのじゃけど……全然対等では、ないのじゃー!」
浴場にレオナの魂の叫びが、木霊したのだった。




