第79話 レオナ・デザート・トリックの魅力
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僕たちは、国王陛下に王宮の書庫へ入室する許可をもらった。
レオナが案内してくれるそうで、張りきって先頭を歩いている。
「ここじゃ、好きなだけ見ていくと良いのじゃ」
レオナが満面の笑みで僕を見た。
「ありがとう、レオナ嬢」
「うむ。それと、探している本があるなら、司書に聞いた方が早いぞ」
レオナの助言を受けて王宮書庫の女性司書に、大聖女リーゼロッテと光魔法に関連する本を探してもらう。
しばらくすると、3冊の本を司書が持ってきてくれた。
「お兄様、どうですか?」
「うん。大聖女の伝記、大聖女の絵本、光魔法の魔術書が1冊ずつだね」
「新しい情報は、ありそうですか?」
「読んでみないとわからないけど、重複する本はなさそうだから、期待できるかもね」
リゼが安心したように笑みを零す。
それと念のため、闇魔法の魔術書を司書に探してもらったら、なんと1冊見つかったのだ。
さすが王宮書庫である。
これで、闇魔法を習得できるかもしれない。
「じゃあ、早速コピー魔法で写そうか」
「コピー魔法?」
レオナが首を傾げて、不思議そうに僕を見ている。
「魔法で本の内容をそっくりそのまま写して、もう1冊別の本を作るのさ」
「そんなことができるのか!?」
「まあ、説明するより見た方が早いから、見学していてね」
僕たちは、いつものようにコピーを開始する。
4冊の本を女性陣がそれぞれ1冊ずつ持って、1ページずつ開いてくれた。
僕は収納ボックスから紙と黒インクを出して、順番に複合魔法でコピーする。
黒インクが宙を舞い紙に付着すると、瞬時に風魔法で乾燥されていく。
全てのページをコピーしたら、風魔法で糸を縫い付けて、コピー本の完成である。
「おお、凄いのじゃ! 普通なら何日もかけて写本するものを、わずか1時間で終えるとは」
レオナが驚嘆していた。
「さて、まだ午後も早い時間だし、冒険者ギルドへ依頼の報告に行こうか」
「そう言えば、まだでしたね。お兄様が倒れてしまい、それどころではなかったですから」
「面白そうじゃな、妾も一緒に行くぞ」
レオナが楽しそうに笑っている。
「第一王女が勝手に城を出て大丈夫なの?」
「クリストハルト殿、心配はいらぬのじゃ。妾、強いからの」
そうだった。火魔法Aに水魔法Aのレオナに勝てる人は、なかなか居ないだろう。
「それに、いざとなったらクリストハルト殿が、妾を守ってくれるのじゃろ?」
レオナが弾けるような笑顔で、僕を見つめている。
う、今の笑顔はヤバイな。
黒髪ストレートロングに姫カットの美少女という、転生してから出会ったことのないタイプである。
天真爛漫な愛されキャラで、王宮のアイドル的存在なだけでなく、民を守るために自ら戦いの最前線へ赴く行動力。
もし僕がリゼと出会っていなければ、あっさり恋に落ちていたかもしれない。
「勿論守るけど、インフィニティは僕以外も皆優秀だから安心してね」
「うむ、任せたのじゃ。おっと、ドレスのままじゃった。ちと着替えてくるから、迎賓館の個室で待っていてくれ」
そう言い残して、レオナがあっという間に居なくなる。
とりあえず僕たちも迎賓館に戻り、外出の準備をすることにした。
そして、しばらくすると着替えを済ませたレオナがやって来る。
「お待たせなのじゃ」
レオナは紫色のドレスから、エメラルドグリーンの半袖ミニワンピに着替えていた。
今は夏なので、デス砂漠ほどではないが日中は暑い。
インフィニティの女性陣も皆、半袖のワンピースを着ているくらいだ。
さすがにスカートの丈は、短くても膝上5センチメートルくらいだけど。
「どうじゃ? 妾のミニスカートで、クリストハルト殿を悩殺なのじゃ」
レオナが一生懸命ミニスカートの裾を上に持ち上げて、僕に太ももを見せてくる。
うーん、とても可愛らしくはあるのだけど、悩殺は無理じゃないかな。
エルのHカップとセットなら、百発百中で男を悩殺できるだろうが。
レオナのAAカップでは、難易度が高すぎるだろう。
「レオナ嬢、紫だけでなくエメラルドグリーンも良く似合っていて可愛いね。あなたの美脚が眩しすぎて、目のやり場に困ってしまうよ」
「本当か!? やったのじゃ! 妾、完全勝利」
レオナが満足そうに破顔した。
この後レオナの案内で、国王陛下に外出することを伝え挨拶し、冒険者ギルドへ向かう。
城から出て街に来ると、レオナにほとんどの民が声をかけてきた。
『レオナ様ー』とか『殿下ー』とか『姫ー』など呼び方は様々だが、レオナはその全てに笑顔で手を振り答えていく。
「レオナ様、凄い人気ですね」
リゼが驚いてレオナに話しかけた。
「そうじゃろ、妾人気者だからな。こうやって民が笑顔で居られるよう、妾たち王族が守ってやらねばならぬ。だから妾は、もっと強くなるのじゃ。クリストハルト殿のようにな」
レオナが微笑んでリゼを見ている。
ふむ、レオナは信用できる人物だな。
今後もトリック独立国とは、良い関係でありたいものだ。
そして、冒険者ギルドへ到着すると、僕たちはギルド長の部屋へ案内された。
「レオナ殿下、ようこそお越しくださいました。私はギルド長のロルフ・クライバーと申します」
「うむ、よろしくなのじゃロルフよ。妾は、ただの見学ゆえ、クリストハルト殿と話を進めて欲しいのじゃ」
「承知しました」
ロルフさんは、先にレオナをソファーに案内すると、その後僕たちにも座るように促した。
「よう、リーダー。体調は大丈夫なのか?」
「はい、お陰様で何とか回復しました」
「それは良かった。おっと、自己紹介がまだだったな。俺はギルド長のロルフ・クライバーだ。よろしくな」
「僕は、Aランク冒険者パーティー『インフィニティ』のリーダーでクリスと申します。こちらこそ、よろしくお願いします」
僕は、ロルフさんと握手した。
黒髪で黒眼、身長は170センチメートルくらいの筋肉質で、日焼けした肌のガッチリした体型だ。
せっかくだから、ステータスを確認しておくか。
【ロルフ・クライバー】
トリック独立国 平民 冒険者ギルドストーク本部ギルド長 36歳 男
知力 73/75
武力 87/89
魅力 90/90
剣術 A/A
槍術 A/A
弓術 F/F
馬術 B/B
水魔法 A/A
話術 C/C
算術 C/C
芸術 F/F
料理 E/D
砂漠に有効な水魔法使いで、剣と槍の扱いも上手いようだ。
「クリス、201頭もいた巨大サソリのスタンピードを止めてくれて感謝する。本当に助かった」
「どういたしまして」
「それと報酬だが、インフィニティの取り分は金貨150枚になる。後で受付へ移動したら受け取ってくれ」
「はい、ありがとうございます」
「よし、スタンピードの件は、これで一件落着っと。後は、その原因の調査だな。国王陛下から追加の依頼が来ている。しかもインフィニティを直接御指名だ。報酬は金貨100枚、原因となる魔物を突き止め討伐すれば追加で金貨100枚だ。受けてくれるか?」
うーん、これは受けるしかないよね。
国王陛下からもレオナを一緒に連れて行くように言われているし。
それに、スタンピードの原因が僕じゃないことの証明にもなる。
絶対に原因となる魔物を突き止めるのだ! というか、お願いだから存在していて欲しい。
「はい、依頼を受けます」
「よし、後は頼んだぞ。ふー、やっとこれで落ち着ける。スタンピードなんて滅多にないから焦ったぜ」
こうして僕たちは新しい依頼を受けて、レオナと一緒に王宮へ帰る。
そして国王陛下に挨拶し、すぐにデス砂漠へ行く準備に取りかかるのだった。




