第77話 回復
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頬に優しくキスをされて僕は、自分が生きているのだと実感した。
また、こうしてリゼと一緒に居られることが、嬉しくてたまらない。
それに先日、大聖女リーゼロッテの墓前で誓ったのだ、僕がリゼを守ると。
そう簡単に死ねるものか。
「リゼ、スタンピードはどうなったの?」
リゼが僕の布団の中に入って来て、定位置の左側に移動すると、僕に抱きついてきた。
「お兄様が201頭、全て討伐しました」
リゼが笑顔で僕を見つめる。
「そうか、最後の一撃が届いていたのだね」
「はい。その後、魔力切れで倒れてしまい、王宮に隣接する迎賓館の個室に運ばれました」
「そうか、ここは迎賓館なのだね。ところで僕が倒れてから、どのくらいの時間が経っているのかな?」
「一日ですよ。お兄様が倒れたのが昨日の午後で、今はお昼前です」
ふむ、完全に魔力切れを起こすと、一日近く眠り続けてしまうようだ。
魔力切れの直前に、目がチカチカした段階で安静にした場合と比較して、どちらが効率良く回復できるのだろうか。
今後、検証が必要である。
「そう言えば、お腹が空いたね」
「王宮で用意してくれているので、頼んできましょうか?」
リゼが微笑んで僕を見つめている。
「いや、一緒に行こう。リゼを一人には、できないよ」
「お兄様……」
リゼが再び僕の頬にキスをした。
僕は、リゼの頭を優しく撫でてあげる。
「えへへ……あ、着替えは、どうされますか?」
「収納ボックスにあるから大丈夫だよ」
僕は収納ボックスから服を取り出して、ベッドの上で新しい冒険者用の服に着替えた。
すると個室のドアが開いて、エルとクラウとカルラが入って来る。
「クリス君! 目が覚めたのね」
「うん、心配かけてゴメン」
エルがホッとしたように微笑んでいる。
「旦那様! 生き返って良かった」
「いや、僕死んでないからね!」
クラウが瞳を潤ませて僕を見つめた。
「クリスっち! 頑張ったご褒美に、裸エプロンをしてあげるっすよ」
「へ? ここで!?」
「いやー、さすがにここで裸エプロンは無理っすよ。誰かに見られたら大騒ぎになるっす」
「だよね」
カルラと二人で笑いあう。
とりあえず、女性陣が全員無事で良かった。
「あ、そう言えば何かポカポカと暖かい感じがして、目が覚めたのだけど何だったのかな?」
「あー、それはリゼたんのヒールっすね。リゼたんてば、最初はエクストラヒールを連発して、お兄様が目を覚ますまで続けるって、聞かなかったんすよ」
カルラが苦笑してリゼを見ている。
エクストラヒールは上級光魔法で、光魔法Sでないと発動できない。
当然消費する魔力も多く、普通の聖女が連発したら魔力切れになる可能性が高いのだ。
まあ、魔力量の多いリゼなら大丈夫かもしれないが。
「あうう、あのときは気が動転していたの!」
「止めるのが大変だったっすよ~、今度はリゼたんが魔力切れになるって言い聞かせて」
「でも、エクストラヒールの連発は止めたけど、定期的にヒールをかけるって言って、1時間おきにクリス君にヒールをかけてたのだわ」
リゼの反論にカルラ、エルの順で意見を述べた。
「そうだったのか。リゼ、ありがとう。リゼのヒールのお陰で、僕は目が覚めたよ」
「お兄様……」
リゼが僕をギュッと抱きしめる。
「リゼばっかりズルイぞ。アタシも仲間に入れてくれ」
クラウがベッドの上に飛び乗って、僕の右側に移動して抱きついてきた。
「あ、それと昨日のことなんだけど、僕が魔力切れ寸前のときに、リゼの声が聞こえたんだよ。100メートル以上離れていたはずだから、不思議に思ってね」
「それは、アタシの風魔法だ。リゼが必死に叫んでいたからな。アタシが、リゼの想いをクリスに届けた」
クラウが微笑んで僕を見つめている。
「クラウ、ありがとう。あのときリゼの声が聞こえていなかったら、僕は気を失ってしまい最後の爆炎が撃てなかったかもしれない」
僕は、クラウの頬にキスをした。
「ぬあああ、旦那様がアタシにキスをしてくれるなんて……ムフフフ……エヘヘヘ……ムフフフ……」
あ、クラウが妄想モードに入ってしまったようだ。
僕とリゼはベッドから降りると、エルとカルラにクラウを任せて個室を出る。
「リゼ、女性陣は昼食を済ませたのかな?」
「いいえ、これからですので、個室に5人分の昼食を運んでもらいましょう」
僕は、近くを通ったメイドに昼食の件を伝えて、リゼと一緒に個室へ戻った。
そして昼食を食べ終わると、国王陛下に呼び出される。
大きな扉を開けて入った部屋は、謁見の間だろうか。
両サイドに重臣たちが並び、一番奥の高い位置に国王陛下が座っていた。
僕たちインフィニティのメンバーは、案内され陛下の座る椅子から10メートルくらい離れた場所に、片膝をついて陛下の言葉を待つ。
「コホン、Aランク冒険者パーティー『インフィニティ』よ、巨大サソリのスタンピードを防いでくれて感謝する。トリック独立国の民と歩兵隊に一人の死者も出なかったのは、そちたちのお陰である」
「「「「「ハハッ!」」」」」
僕たちは、声を揃えて返事をすると、陛下に頭を下げた。
「特にリーダーのクリスよ、巨大サソリ201頭を全て討伐した火魔法は見事であった」
「ハハッ!」
「魔力切れになるまで必死に戦う姿、そしてその強さ、ワシはお前が気に入ったぞ」
「ハハッ!」
「娘のレオナもお前が気に入ったらしい、よって特別にレオナとの結婚を許す」
「ハハッ!」
ん? ちょっと待って、何で結婚なの!?
僕は、何かとんでもないことに、巻き込まれたのだった。




