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チート能力「可能性は無限大」が人生を変える~超絶美少女な妹は第三皇子の僕が守ります~  作者: 愛輝磨生
第3章 成長期編

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第76話 スタンピード

たくさんある作品の中から

見つけてくれて、ありがとうございます♪

 一日だけで見ると、今までの人生で一番魔力を消費していることに気付いた僕は、魔力切れを心配した。


 そういえば検問所を出て、100メートルくらい離れた最前線に移動する間も、不吉なことが起きている。

 まずは検問所を出た所で、僕の目の前を黒猫が横切った。

 まあ、これは前世でも迷信とされていたから、そこまで気にすることもないのだが。


 でもその後、トリック独立国の兵士たちの会話が聞こえてきて『俺、このスタンピードが解決したら、彼女に求婚しようと思う』と盛大に死亡フラグを立てていたのだ。


「まあ、全力を尽くすしかないのだけど」


 僕は、正面を見て現実を受け入れる。

 予想の100頭を遥かに超える200頭くらいの巨大サソリが、スタンピードを起こして僕の前方約100メートルまで迫っていた。


 僕の後方には、10メートルくらい離れた所に、トリック独立国の歩兵隊約千人が控えている。

 丁度本隊が地方遠征に出ており、手薄なタイミングだったらしく守る人数が不足ぎみだ。

 尻尾に猛毒の針を持っているため、巨大サソリ1頭に歩兵20人で対処するのが普通らしいが、200頭に増えたことを考えると心もとない。


 それと2人の歩兵が僕の専属になっている。

 不測の事態が起きたときに、僕を抱えて退避するらしいのだが、出来ればお世話になりたくないものだ。

 

 ちなみに巨大サソリの足は、それほど速くない。

 一般人がするジョギング程度の速度だが、人が歩くよりは速いので油断大敵だ。

 そろそろ攻撃を始めないと、僕が大群に飲み込まれてしまう。


 あともう少し、50メートルくらいの距離なら、巨大サソリの弱点である頭部を、複合魔法の爆炎で狙い打てる。

 とにかくムダな魔力を消費しないように注意して、魔力切れを回避したい。


 まあ、心配しすぎなのかもしれないが。

 今まで僕は、魔力切れを起こしたことがないのだから、きっと今回も大丈夫なはずだ。


 あと70メートル……60メートル……50メートル、今だ!


「爆炎!」


 僕が右手を前に突き出すと、直径1メートルの円がビームのように発射された。

 自分から見て一番左側の先頭から、爆炎を当てていく。

 そして、徐々に右側へスライドさせていくと、爆炎に触れた巨大サソリがどんどん消滅している。


「よし、いける!」


 やっと半分くらい討伐しただろうか、残りあと100頭くらいだ。

 大群の前列中央付近まで爆炎のビームが当たっている。


 前列との距離は、あと40メートルくらいあるので良いペースだ。

 僕は、そのまま攻撃を続けようとしたのだが、突然目の前がチカチカする。


「なんだろうこれ?」


 まるで前世のときに経験した、貧血の症状みたいだ。

 ……もしかして、これが魔力切れの兆候なのか!?


 念のため、急がないといけないね。

 僕は慌てて右腕をスライドさせて、ビームの横移動を速くする。

 これで前列は全て消滅した……終わったか?


 視線を中央に戻して戦況を確認すると、右後方にまだ50頭ほど残っている。

 ビームの横移動が速すぎて、後方まで届かなかったようだ。

 でも前方部分を討伐したことにより、僕との距離は再び60メートル以上ある。

 

「う、視界がぼんやりしてきた」


 僕は、フラついてしまい地面に右膝をつく。

 少し呼吸も苦しくなってきたようだ。

 あ、視界がグルグルと回っている。

 うう、気持ち悪くなってきた……


 あれ? 僕は何をしていたのだろうか……思い出せないや……とりあえず横になろう……もう眠りたい……


「おに……」


 ん? 何か聴こえる……


「おに……」


 誰? もう眠らせて欲しい……


「お兄様ーーー!!」


 リゼ!? あれ? 僕は、なぜ地面に右膝をついているのかな? ん? 何か来る……巨大サソリ!


 そうか、僕は気を失いかけていたのだな。

 リゼの声が聞こえなかったら、危なかった。

 しかし、リゼとは100メートル以上離れているはずだけど、なぜ声が聞こえたのだろうか……いや、後で確認しよう。

 こうしている間にも残った約50頭の巨大サソリが、どんどん近づいてくる。


 距離は……あと50メートルくらいか。

 気持ち悪いのは変わりないが、視界はグルグル回っていない。

 視界がチカチカしてぼんやりするが、あと一発だけなら撃てるかもしれない。


「クリス殿! これ以上は危険です。事前の打ち合わせ通り退避します」


 ああ、お迎えが来てしまったようだ。

 でも、国王陛下とレオナに1頭でも多く討伐して欲しいと、お願いされている。

 まだ50頭くらいいるのだ、このまま僕が退避すると、歩兵隊に多数の死者が出るかもしれない。


「あと一発だけ撃てるかも……」

「……わかりました。こちらで危険と判断したら、即刻退避しますので」


 前列との距離は、30メートルくらい。

 視界は、ひどくチカチカして、ぼんやりしているけど、目は回っていない。


 目が回る前に早く撃たないと……僕は、一度深呼吸をした。

 よし、行ける!


「爆炎!」


 右側に残った巨大サソリの前列左側から炎のビームを当てていく。

 持ってくれよ僕の魔力!

 突き出した腕を右にスライドさせていくと、ビームに触れた巨大サソリが次々に消滅している。


 よし、あと半分だ!

 そう思ったときに、突然視界がグニャリと歪む。

 そして目が回るような予感がした。


 仕方ない……僕は最後の力を振り絞って、前に突き出した腕を右に素早くスライドする。

 その瞬間に目の前がグルグルと回り、僕は意識を手放した。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 あれ……?


 何だろうか……?


 ポカポカと暖かい感じがする……


 僕が目を開けたら、リゼと目が合った。


「お兄様!」


 リゼが寝ている僕の胸に飛び込んでくる。


「ぐはっ!」


 まるでプロレス技のように、リゼの全体重が僕の胸にのしかかって、一瞬息ができなかった。


「あああ、お兄様ごめんなさい! 嬉しくてつい、飛び込んでしまいました」


 リゼが瞳に涙を浮かべて、僕を見つめている。

 そして僕の頬に、優しくキスをしてくれるのだった。


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