第75話 国王との謁見
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僕たちは、トリック独立国首都ストークの冒険者ギルドで、スタンピードを起こしている巨大サソリ討伐の緊急依頼を受けた。
「ギルド長、僕たちインフィニティは、何から始めればよいですか?」
「まずは検問所に行って、国王陛下に冒険者ギルドの緊急依頼を受けた事を伝えて、直接指示をもらってくれ。この依頼は、国王陛下から直接受けた依頼だからな」
「了解です」
僕たちは、ギルド長から緊急依頼書を受け取ると、検問所へ移動した。
すると、先行していた巨大サソリが3頭いたようで、すでに討伐されて地面に横たわっている。
しかし被害もかなり出ているようで、城壁が2か所壊れており、ケガ人も多数いるようだ。
僕が検問所の警備兵へ緊急依頼書を見せると、すぐに国王陛下の元に通される。
そこは、臨時に設置された作戦本部のようだ。
陣幕で囲われており、まるで前世の戦国時代にあった本陣のようである。
「お前たちが冒険者ギルドから派遣された、Aランク冒険者パーティー、インフィニティか?」
「はい、陛下。私はAランク冒険者パーティー、インフィニティのリーダーでクリスと申します」
僕は、片膝をついて丁寧に国王陛下に挨拶をした。
陛下は、黒髪のショートヘアで黒眼、身長170センチメートルくらいで、少し日焼けした細身のインテリ風なイケメンだ。
とりあえず、ステータスを確認しておくか。
【バルナバス・デザート・トリック】
トリック独立国 国王 32歳 男
知力 96/97
武力 64/65
魅力 92/92
剣術 B/B
槍術 G/D
弓術 G/C
馬術 C/C
水魔法 S/S
話術 S/S
算術 S/S
芸術 A/A
料理 F/D
知力が高く、優秀な水魔法使いだ。
国土の半分がデス砂漠なので、貴重な水を生み出せる水魔法は、国王として必須なのかもしれない。
「クリスか、随分と若いが年はいくつになる?」
「はい陛下、12歳でございます」
「12歳? その若さでAランク冒険者パーティーのリーダーが務まるのか?」
普通なら無理だよね。
でも、ここでチート能力『可能性は無限大』の説明をする訳にもいかないし、さてどうしたものか。
「父上、妾も12歳じゃが、最前線で戦っておる。能力さえあれば、年齢など関係ないじゃろ」
可愛らしい少女の声である。
声の主を確認すると、僕から少し離れた右側にその人がいた。
黒髪ストレートロングの姫カット美少女、黒眼で身長150センチメートルくらい、色白で体型は普通、胸は……控えめなAAカップだろうか。
僕は、ステータスを確認してみた。
【レオナ・デザート・トリック】
トリック独立国 第一王女 12歳 女
知力 85/94
武力 45/51
魅力 94/94
剣術 F/F
槍術 G/F
弓術 G/E
馬術 D/D
火魔法 A/S
水魔法 A/A
話術 A/A
算術 A/S
芸術 A/S
料理 F/C
知力の素質が高く、火魔法の素質もSで水魔法Aの二属性持ちと、かなり優秀だ。
「そうだな、レオナの言う通りだ。クリスも優秀だからリーダーを務めておるのだろうしな」
「それよりも父上、巨大サソリに有効な火魔法使いが、居るかどうかの方が重要なのじゃ」
ふむ、レオナは戦況を冷静に分析できている。
巨大サソリには、距離を取って火魔法を使うのが一番効率が良い。
「インフィニティのメンバーで、火魔法の適性がB以上の者は挙手せよ」
皇帝陛下の言葉に僕が手を挙げる。
「クリスよ、火魔法の適性を申告せよ」
「Sです」
一瞬その場が静寂に包まれた。
「はあ!? 妾の火魔法Aよりも上だと申すか」
レオナが驚いて目を見開いている。
「はい、一応は」
「複雑な心境じゃが今は緊急時、むしろ助かるというもの。そなた、巨大サソリの討伐経験は?」
「はい、30頭くらいでしょうか」
「30じゃと!」
レオナが驚愕している。
そして、僕の近くまで移動してきた。
「妾でさえ、10頭くらいじゃというのに……まあよい。父上、妾は先程先行してきた3頭との戦闘で、魔力切れの兆候が出ておる」
「なんだと! トリック独立国で一番の火魔法使いであるレオナが戦えないとは、一大事ではないか!」
「すまぬのじゃ父上……クリスよ、そういうわけじゃから、そなたに頼るほかない。1頭でも多く討伐して欲しいのじゃ。残りは、我が国の兵で死ぬ気で頑張るゆえ」
魔力切れが近いのか、レオナがフラつく。
僕は、咄嗟にレオナを支えた。
「おお、すまんな。妾としたことが、この緊急時に魔力切れ寸前とは情けない」
レオナの顔色が、どんどん悪くなっている。
「そんなことないですよ。殿下は、獰猛な巨大サソリを3頭も討伐したのでしょう? 賞賛されるべきことです。魔力切れ寸前まで精一杯戦った殿下を、悪く言う人などいませんよ」
「そうだと良いのじゃが……」
「とりあえず気休めですが、ヒールをかけておきますね」
僕は、レオナにヒールをかけた。
「ふう、少し気分が楽になったのじゃ」
「では、殿下は安静にしていてください。後は、私にお任せを」
僕は、国王陛下にレオナを預ける。
「おお、クリスよ助かるぞ。お前は光魔法も使えるのだな」
「はい。ところで陛下、巨大サソリの総数は、いかほどでしょうか?」
「偵察兵の話では、100頭を超えると聞いている」
そんなに多いのか! ……先程のように上空から1頭ずつ狙撃という訳にはいかないな。倒しきれなかった巨大サソリが、城壁を突破してなだれ込み、首都の住民が襲われてしまう。
「陛下、巨大サソリは素材として価値があると聞きましたが、本当でしょうか?」
「うむ、かなり良い値がつくな」
「素材として残すことを考えながら戦うと、討伐できる数に限りがあります。そうなると残った巨大サソリが、城壁を破壊して首都になだれ込み、住民が襲われてしまうかもしれません」
「それだけは絶対に阻止せねばならん!」
陛下が興奮して大声で叫んだ。
「ですので、素材として利用することを、諦めて頂けますか?」
「勿論だ。この首都ストークが守られるなら、他に何もいらん」
「言質は取りましたよ」
「うむ。しかし本隊が地方遠征に出ており、手薄なタイミングでスタンピードが起こるとはな……。とにかくクリスよ、一頭でも多くの巨大サソリを倒すのだ。残りは我が国の軍隊で何とかする」
「承知いたしました。では、早速準備に入ります」
僕は陛下に一礼して、インフィニティのメンバーと移動する。
「お兄様、作戦は決まったのですか?」
「まあね。エル、スタンピードを起こした巨大サソリの総数が100頭を超えているらしいから、複合魔法の爆炎で一気に殲滅するしか策が無いのだけど、使っても大丈夫だろうか?」
エルが顎に手を当てて考えている。
「大丈夫だと思うのだわ。今は冒険者だし、トリック独立国とファルケ帝国は、仲の悪い国でもないし」
「了解、遠慮なく全力で行くよ」
「えーと、クリス君。なるべく地形を変化させたりしないように、お願いするのだわ」
エルが苦笑して僕を見ている。
「善処するよ。クラウ、女性陣の護衛を頼むね」
「承知した」
僕は一人で最前線へ移動し、迎撃の準備に入った。
前方にまだ巨大サソリの姿は無いが、砂塵が見える。
そして数分経つと、巨大サソリの姿が見えた。
ん? 何か増えてない? 僕が見た感じだと200頭くらいに見えるのだけど!
今まで一度も魔力切れを起こしたことは無いけど、大丈夫だろうか……今日は風魔法でエルをおんぶして、巨大蟻地獄を5頭討伐した。
その後、クラウに頼まれて巨大サソリを20頭ほど討伐して、新風力車で一気にデス砂漠を通過。
……あれ? 一日だけで見ると、今までの人生で一番魔力を消費している。
本当に大丈夫かな……僕は今までにないくらい、死の恐怖を感じたのだった。




