第63話 砂漠の生活
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エルに着替えを勧められたカルラが、しばらくすると戻ってきた。
白の半袖ワンピースから濃い緑色のワンピースに着替えている。
うーん、鉄壁の守りだな……これで汗だくになっても透けることは無いだろう……サヨナラ僕の心のオアシス。
「そういえば、クリスっちに聞きたいことがあるっす」
「ん? 何かなカルラ」
「平家の周り全部に壁を作った瞬間は真っ暗だったのに、なんで平家の中に入ったら明るいのかなって」
「あー、この平家は複合魔法で出来ている。おそらく火、水、風、土、光と五つの魔法を複合してね。魔法はイメージが一番大事なんだ。どこにどんな部屋を作るとか、天井が少し光るようにしたいとか、それを明確に頭の中に想像すると、この平家が完成する感じかな」
「ひょえー、この光ってる天井って、なんかすごい高度な魔法なんすね」
カルラが驚嘆しながら天井を見ている。
「さすがお兄様です」
「これだけ高度な魔法が使えるのは、帝国中……いいえ、世界中でもきっとクリス君だけなのだわ」
「旦那様とだったらアタシは、部屋の明かりを消さなくても平気だ」
リゼ、エル、クラウの順に各々が意見を述べた。
一人だけ妄想にふけっている者がいるが、とりあえずそっとしておこう。
「それと、もう一つ聞きたいんすけど、なぜデス砂漠に行くんすか?」
カルラが、首を傾げて僕を見ている。
「ああ、ゴメンゴメン。カルラとクラウに伝えていなかったね。実は、メーベルト劇場で写した5冊の本に、大聖女リーゼロッテがデス砂漠のオアシスに住んでいた記述があってね」
「ほえー、そうだったんすか」
「でも、いざ来てみたら、想像以上に過酷な所だけどね」
皆が苦笑している。
「そろそろお昼にするっすけど、何かリクエストあるっすか?」
カルラの質問に皆がしばし考えている。
「うーん、こう暑いと何か冷たいものが食べたいかも」
「私もお兄様と同じ意見ですね」
「冷たい麺類とかが良いのだわ」
僕、リゼ、エルの順に答えた。
「了解っす。素麺と野菜サラダを作るっすよ」
「じゃあ僕は、複合魔法で氷を作るね」
「お兄様、味付けは私に任せてください!」
リゼ以外の全員に緊張が走る。
「ちょっ、リゼたんはエルと一緒に野菜を切ってくださいっす」
「はーい!」
リゼ以外の皆が激辛回避に安堵した。
「じゃあ、野菜を切ったらドレッシングを作りますね!」
リゼの宣言に再び緊張が走る。
そして僕とカルラがエルに視線を送った……『最後の激辛香辛料を阻止せよ!』と。
エルがうんうんと頷く。
ふう、エルに任せておけば、大丈夫だろう。
「クリスっち、砂漠で料理するなら水魔法は必須っすね」
「そうだね」
インフィニティには、僕とエルとカルラの3人の水魔法使いがいる。
砂漠で水を確保するのは困難なので、3人いると安心だ。
「それだけじゃないっすよ、砂漠で氷とかあり得ないっすから」
「確かにね。そういえば帝城の倉庫から、フルーツシロップを持ってきてたよね?」
「あー、何種類かあった気がするっすね」
「食後のデザートは、かき氷でどうかな?」
「最高じゃないっすか! もしかしたらインフィニティが、砂漠で最初にかき氷を食べた人類かもしれないっすよ」
カルラが料理をしながら楽しそうに笑う。
その笑顔の可愛さに、僕は少しドキっとしてしまった。
さすがメーベルト劇場で、お嫁さんにしたいキャスト1位に輝いただけはある。
まあ、裸エプロンには驚いたけど、今となっては良い思い出だ。
「クラウ、テーブルの上を拭いて、食器を並べてくれる?」
「承知した」
ようやくクラウが、妄想の世界から現実世界に帰ってきたらしい。
リゼとエルの方を見ると、丁度ドレッシングを作り終えたらしく、エルがホッと胸をなでおろしていた。
「よし、出来たっすよ。クリスっち、氷よろしくっす」
「了解」
僕が魔法で氷を沢山作って、カルラが麺を冷やすと、昼食の出来上がりである。
「お兄様、砂漠で冷えた素麺なんて、普通はできないですよね」
「そうだね、水が貴重だし氷も手に入りづらいかも」
リゼが美味しそうに素麺を食べている。超絶美少女は、食べる姿も超絶可愛い!
それにしてもこの世界は、前世の日本と似ている部分が多い。
食べ物は、ほとんど一緒だし、言語も日本語だ。まあ言語に関しては、転生前に僕が女神パラスにお願いしていたのだけれど。
以前エルに確認したところ、無いものといえば電気・ガス・水道などのインフラ関係かな。魔道具で代用しているが、平民への普及率は低いようだ。
「リゼたんの野菜サラダ、めっちゃ美味いっすよ」
「本当!? もっと辛くした方が美味しいけど、エルがこのくらいで良いって」
「僕も辛いよりは、このくらいの方が好きかな」
「お兄様もですか? うーん、これからは2種類作るようにしますね」
うんうん、激辛回避大成功である。
その後、僕が複合魔法で氷を大量に作り、風魔法で削るとかき氷が完成した。
各々が好きなフルーツシロップをかけて、砂漠でかき氷を堪能する。
「じゃあ午後は、各自室内で自由に過ごしてね。僕は、砂漠用の風力車を作るから」
僕は、そう言い残すと部屋を複合魔法でリフォームして、作業部屋を完成させた。
二つの部屋の間仕切りを壊して、一つの広い部屋にしたのだ。
庭は猛暑で作業が出来ないので、僕はこの作業部屋で新しい砂漠用風力車を考案する。
そして、夜になると今度は凄く寒くなった。
お風呂に大きな浴槽を一つ作って、熱めのお湯をはり水着を着用し皆で入る。
僕の掌からお湯が出るシャワー魔法も、いつもはぬるめの温度設定だが、今日は熱めにしたら皆に喜ばれた。
寝るときも、今までに感じたことのない寒さだったが、いつものように隣同士でくっついて眠る。
エルがクラウに抱きついて笑顔で眠り、クラウが苦しそうに呻く。
寒いからか、リゼは僕の左腕ではなく、僕自身を抱きしめるように眠っていた。
寝るときはブラをはずしているらしく、今日もAカップがフニフニと当たっている。
カルラもリゼと同じように僕を抱きしめるように眠り、二人の美少女に密着されて幸せな僕は、砂漠で暮らすのも悪くないと思うのだった。




