第62話 心のオアシス
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デス砂漠は、エルの兄が警告するくらい危険な場所らしい。
僕は考えた末に、しっかりとした対策を立てて、準備することにした。
「ベルノルト殿、デス砂漠の気温は、どのように変化しますか?」
「今は夏ですので、日中は40度前後と高温で、夜になると一気に冷え込み7度前後になります」
あまりの過酷な環境に、インフィニティの女性陣が、顔を引きつらせドン引きしている。
「日中は、日焼け対策だけしておけば、問題ないかと」
「殿下、どのように日焼け対策を?」
エルの兄が真剣な顔つきで聞いてきた。
「移動中は、風力車の中だから日は当たらない。暑さ対策として、水と風の複合魔法で氷を作り車内の温度を下げる」
「殿下、風力車とは?」
「ああ、風魔法で空を飛ぶ箱のことだよ。後で見せるね」
ベルノルトさんが、瞳をキラキラと輝かせている。
やはり空を飛ぶのは、ロマンがあるよね。
「殿下、夜の寒さ対策はどうされるおつもりで?」
「魔法で家を作るので大丈夫。砂嵐対策として家の外に土魔法で強固な壁も作る。四方だけでなく天井と地面にもね」
「なるほど……残るは魔物対策ですが、策はあるのですか?」
「何か弱点は、ないのかな?」
「巨大サソリも巨大蟻地獄も火魔法が効果的です」
「なら問題無いかな、僕の火魔法はSだからね」
エルの兄が驚嘆している。
「殿下は火、水、風、土の4属性に適性があるのですか!?」
「うん。火魔法S、水魔法S、風魔法S、土魔法S、あと光魔法Aかな。あ、僕の魔法については、国家機密だから内緒にしてね」
ベルノルトさんが、顔を引きつらせている。
「なるほど、私の父がエルネスタを、殿下の旅にためらいなく同行させた理由が、今わかりました」
「それから妹のリゼットは、光魔法がSだよ」
「リゼット殿下は、聖女でしたか! しかも光魔法Sとは素晴らしい!」
エルの兄に褒められて、リゼが照れ笑いをしている。
「この旅の本当の目的は、妹を大聖女にすることなんだ」
「大聖女とは、あの伝説の?」
「うん。あ、これは国家プロジェクトの話になるから、内密にね」
「決して口外しないと約束しますが、私が聞いてもよいお話なのでしょうか?」
「リートベルク侯爵家の人は、信用できるから問題ないよ」
「殿下に信頼していただけるとは、光栄に存じます」
ベルノルトさんがイケメンスマイルで僕に微笑む。
さすが師匠の息子、笑顔の威力が凄まじい。
そして僕の『可能性は無限大』についても簡単に説明した後、エルの兄を風力車に乗せてあげて、安全であることを体験してもらう。
こうして僕たちは、デス砂漠を目指すことにした。
僕は、別れ際ベルノルトさんに、彼のステータスを紙に写したものを渡す。
エルの兄はすごく喜んでくれて、自分の火魔法をSにすると、張りきっていた。
屋敷に宿泊するよう強く勧められたが、丁寧にお断りしてロビンの町郊外に、複合魔法で平家を作り宿泊する。
そして翌日、ロビンの町で不足しているものを買い準備が整うと、僕たちは風力車に乗りデス砂漠へと向かった。
ロビンの町を北上し森を抜けると、次第に植物が少なくなり、ついには砂しか存在しない場所に出る。
「皆、念のため日焼け止めは塗ったかな?」
インフィニティの女性陣全員が頷くのを確認し、僕は風力車をデス砂漠へと進めた。
女性陣の座る車内は、土魔法で作った大きな容器に、僕が水と風の複合魔法で作った氷を大量に入れておいたので快適だ。
しかし、運転席は外にあるので、僕はデス砂漠の恐ろしさを体験する。
日焼けを防ぐために大きめの屋根を増設したのだが、気温が下がるわけもなく、運転席の気温は40度前後あるようだ。
まるで前世のサウナみたいで、頭がクラクラしてくる。
このまま無理をすると僕が倒れてしまい、インフィニティは全滅するかもしれない。
僕は予定より早く休憩を取ることにした。
少し高い場所に平らな砂地があったので、そこに複合魔法で平家を作り、周囲や地面と天井に土魔法で壁を作る。
これで平家が直方体の壁にすっぽりと入る形になった。
「お兄様、大丈夫ですか?」
リゼが心配そうに僕を見つめ、ヒールをかけてくれる。
「ありがとう、リゼ。しかし、予想以上に過酷な環境だね」
「一旦引き返して、作戦を練り直すのも、ありかもしれないのだわ」
「エルの言う通りだけど、戻ろうと思えば戻れる位置なので、今日はここで試しに宿泊してみよう」
「そうね、これ以上進むと引き返すのが難しくなる。ならばここでデス砂漠の環境に耐えられるか、実験するのは良い案なのだわ」
こうして僕たちは、デス砂漠に少しだけ入った場所で、合宿をすることにした。
「クリスっち、暑いので氷を出して欲しいっす」
「了解、多めに作って部屋中に置いておこうか」
カルラが汗だくになっており、着ている白の半袖ワンピースが、ピッタリと体に張り付いている。
そして目を凝らしてみると、ピンクのブラが透けているのだ。
他の女性陣も確認してみると、リゼとクラウとエルは濃い色のワンピースを着ていてダメだった。
もう一度カルラに視線を戻すと、ピンクのブラに包まれた迫力のGカップが白のワンピースに透けて見える。
灼熱の環境にありながら、僕は心のオアシスを発見したようだ。
「カルラ、ブラが透けているわよ。白いワンピースはやめて、濃い色の服に着替えた方が良いのだわ」
「ええ、本当っすか!? ちょっと着替えてくるっす」
さすがエル、皆が暑さで朦朧とする中、冷静に周囲を観察できている。
僕の心のオアシスは、蜃気楼のように儚く消え去ったのだった。




