第56話 巨大蛙の呪い
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巨大蛙を討伐した翌日の夕方、カルラが珍味とされる巨大蛙の肝を料理しようとしている。
この肝は、昨日の討伐後に自分たちの体を洗浄してから、僕が風魔法で取り出し、洗濯魔法で奇麗に洗ったものだ。
冒険者ギルドで討伐証明としても使え、巨大蛙の肝が大活躍である。
まあクラウが超クサイので、受付嬢に討伐したことを簡単に納得してもらえたが。
隔離されたクラウは、何度も風呂に入ったそうだが、エルが確認したところニオイに変化はないそうだ。
仕方がないので、一人で剣術の稽古や風魔法の訓練をして過ごしているらしい。
「皆、肝の串焼きが出来たっすよ」
「私も作ってみました!」
カルラとリゼが、肝の串焼きに挑戦したようだ。
「珍味らしいが、どんな味がするのか食べてみようかな」
僕とエルでカルラの作った串焼きを食べてみる。
「焼いてもクサイね、味もあまり好きじゃないかも」
「クサイのは嫌だし、味も微妙なのだわ」
僕とエルには、不評だった。
「確かに臭みが残って、不味いっすね」
作ったカルラでさえダメみたい。
「あ、私が作ったのは、美味しいですよ」
リゼが美味しそうに珍味を堪能している。
僕とエルとカルラも、リゼが作った串焼きを食べてみたいのだが、激辛が確定しているので躊躇してしまう。
「はい、お兄様、あーん」
リゼが僕に『あーん』をして、食べさせてくれるようだ。
くっ、これでは断れないじゃないか……僕は覚悟を決めて一口食べてみた。
「……あれ? 美味いよこれ!」
「だから私が、美味しいって言ったじゃないですか」
リゼがニッコリと僕に微笑む。
「私も食べてみたいのだわ」
「自分にもくださいっす」
エルとカルラが、リゼの作った肝の串焼きを口に運ぶ。
「臭みがなくて、美味しいのだわ」
「なるほど、激辛香辛料が臭みを消して、肉の旨味を引き出したんすね。リゼたんは、肝料理の天才っすね!」
「そうかな? えへへ」
エルとカルラが絶賛すると、リゼが嬉しそうに照れている。
ああ、今日のリゼも超絶可愛い!
「カルラはこの後、夕食の準備だよね?」
「そうっすね」
「じゃあ、リゼとエルは串焼きを食べ終わったら、僕と一緒にクラウの所へ行ってくれるかな?」
リゼとエルが頷いてくれたので、3人でクラウの隔離されている平家へ向かう。
「リゼは、クラウにキュア、ヒール、ハイヒール、エクストラヒールの順に光魔法を使って欲しい」
「それは構いませんが、何をするつもりですか?」
リゼが首を傾げて僕を見ている。
「巨大蛙の超クサイ臭いが、光魔法で緩和できないかと思ってね」
「あー、確かに試してみる価値はありますね」
「私は、何をすればよいのかしら?」
「エルは、リゼが光魔法を使った後、クラウの臭いを確かめてもらいたい」
「うっ、クサイのは嫌だけど、仕方がないのだわ」
エルがため息をつきながら答えた。
クラウが大好きなエルからしたら、やっぱり放っておけないのだろう。
隣接するクラウの住む平家へ到着した僕たちは、玄関のドアをノックした。
「はーい、誰かな?」
ドアを開けたクラウと僕の目が合う。
「やっと会えた、旦那様ー!」
クラウが抱きつこうとしたので、僕は土魔法で壁を作る。
ドアを開けた瞬間、超クサイ臭いがしたのだ。
「うう、なんてヒドイ仕打ち」
土魔法で出来た壁に阻まれて、クラウが不満そうである。
「仕方がないだろ、超クサイのだから」
「ぐぬぬぬ、巨大蛙め今度遭遇したらタダじゃおかないぞ」
「いや、また同じ運命になるぞ。今度は僕が離れた所から、魔法でトドメを刺すので、手を出したらダメだからね」
「うう、わかった……我慢する」
クラウが珍しく殊勝な態度をとると、エルが瞳をキラキラとさせてクラウを見つめている。
まあ確かに今の弱ったクラウは、レアなのかもしれない。
幼馴染のエルでさえ、滅多に見れない表情なのだろう。
「クラウ、光魔法でニオイが取れるか実験してみよう」
「そんなことができるのか! 是非やってくれ!」
クラウが笑顔で、実験への参加を表明する。
僕は、収納ボックスから魔法の杖を取り出して、リゼに渡した。
「リゼ、キュアからお願い」
「はい、お兄様。クラウ、いきますよーキュア!」
リゼが、いつものキメポーズで魔法の杖を高く掲げている。
「じゃあ、エル。クラウのニオイを確認してくれるかな」
「少し待ってね……超クサイのだわ」
「ううう、エルー。さすがのアタシも超クサイと言われるのは、傷つくぞ。せめて普通のクサイにしてくれないか」
「実験結果に忖度したらダメでしょ。諦めるのだわ」
クラウは、がっくりと肩を落として、黙り込んでしまった。
その後も実験を繰り返したが、ヒール、ハイヒール、エクストラヒールの全ての光魔法が効かない。
「エクストラヒールでもダメかー」
「上級光魔法が効かないなんて、巨大蛙の呪いは恐ろしいですね」
僕とリゼは期待を裏切られて落胆した。
「クラウ、残念だがこれ以上、手の施しようがない」
「私も最善を尽くしたのですが……無念です」
僕とリゼが諦めて、クラウの平家を離れようとする。
「ちょっ、待ってくれ! まるでアタシが、助からない命みたいな言い方やめて!」
クラウが必死になって、僕とリゼを呼びとめた。
「食事は、エルが運んでくれるから大丈夫だよ。おそらく一週間くらいで、ニオイが消えるはずだから、このまま我慢してね」
「うう、わかった……」
その後、エルの報告では、翌日から3日目までは超クサイ状態が続いたそうだ。
4日目から徐々に改善して、結局8日目の朝、完全にニオイが消えたらしい。
僕たちインフィニティは、今後『巨大蜂』と『巨大蛙』の討伐依頼は、よほどのことがない限り、受けないと決めたのだった。




