第51話 一難去ってまた一難
たくさんある作品の中から
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僕たちが次回公演の主演を決めてから、忙しい日々が続いた。
公演開始まで残り約3週間しかない。
台本を修正し、残りの配役を劇団メーベルト内のオーディションで選出する。
配役から漏れた劇団員は、裏方に回るそうだ。
チケットの販売、入場管理、グッズ等の販売、日替わりケーキの配膳、掃除係など色々あるらしい。
僕は演技以外で、演出効果なども担当する。
クラウの登場や戦闘シーンで、風魔法を使って飛翔させたり、光魔法を使って劇場内を幻想的な雰囲気にしたりと、思いつく限りのことを試してみた。
そして、あっという間に3週間が経過し、いよいよ明日は公開初日だ。
毎日フランクさんに演技指導をしてもらい、僕たちの芸術適性にも変化が起きているかもしれない。
さらに、シーガルの町で魔物討伐依頼を4回達成したことによる、ステータス上昇も期待できる。
僕たちは、一度成果を確認することにした。
今はシアターの町郊外に僕が作った平家で、夕食後風呂を済ませ寝る準備も整い、ベッドの上に皆座っている。
「皆1か月間、稽古お疲れ様」
「「「「お疲れ様ー」」」」
相変わらずチームワークが良いようで、女性陣の返事がハモった。
「それでは、魔物討伐や演技の稽古での成果を見るために、ステータスを確認したいと思います。まずは、リゼから」
【リゼット・ブレイズ・ファルケ】
ファルケ帝国 第1皇女 11歳 女
知力 88/95 (87から88へ上昇)
武力 29/29
魅力 100/100
剣術 G/F
槍術 G/F
弓術 G/F
馬術 G/F
光魔法 S/SS
話術 S/S (AからSへ上昇)
算術 A/S
芸術 A/S
料理 D/C (EからDへ上昇)
「セリフの練習が多くて大変だったけど、話術がついにSになったね」
「はい、お兄様」
「知力も順調に上がってるし、何気に料理がDに上昇してる」
「また、美味しいパスタをご馳走しますね」
「へ? 作るときは、声をかけて欲しいかな」
激辛になる前に、止めないとね。
「わかりました」
リゼが笑顔で頷く。
毎日演技の稽古で、大聖女のキメポーズができてご満悦のようだ。
「次は、エルいってみよう」
【エルネスタ・フォン・リートベルク】
ファルケ帝国 リートベルク侯爵家長女 15歳 女
知力 96/99
武力 42/53 (41から42へ上昇)
魅力 95/95
剣術 F/F
槍術 G/F
弓術 G/F
馬術 D/D
火魔法 D/D
水魔法 C/S (DからCへ上昇)
話術 S/S
算術 A/S
芸術 S/S (AからSへ上昇)
料理 F/D
「ついに芸術がSになったね。やっぱり予想通り、演技がSだったのか」
「私に演技の才能があったなんてね。今は役を演じるのが面白くて、明日からの公演が楽しみなのだわ」
「水魔法もCになったし、経験値を得るためにも、どんどん水魔法を使った方が良いね」
「ええ、水魔法S目指して頑張るのだわ」
エルが、やる気に満ちた目をしている。
僕もできる限りのことを、してあげたいと思う。
あ、最近演技の稽古ばかりだったので、社交ダンスの練習もお願いしたいな。
「では、次クラウよろしく」
【クラウディア・フォン・オルレアン】
ファルケ帝国 オルレアン伯爵家長女 15歳 女
知力 32/60 (30から32へ上昇)
武力 97/99
魅力 95/95
剣術 S/S
槍術 B/A
弓術 G/B
馬術 B/A
風魔法 D/S (EからDへ上昇)
話術 D/D
算術 E/E
芸術 D/D (EからDへ上昇)
料理 F/D
「知力が2上昇したのは、台本を読んだりして多くの文字に触れたからかな」
「台本読むのは大変だったが、こんな効果があるとはな。頑張って良かった」
「風魔法も順調に上昇してるね」
「ああ、早く風魔法をSにして、クリスにリベンジしてやるさ」
クラウもやる気満々のようだ。
明日からの公演で、活躍してくれるに違いない。
「はい、次カルラお願い」
【カルラ・ミュラー】
ファルケ帝国 平民 15歳 女
知力 65/80 (62から65へ上昇)
武力 51/54 (50から51へ上昇)
魅力 90/90
剣術 G/F
槍術 G/F
弓術 G/F
馬術 D/C
火魔法 E/D
水魔法 E/D
話術 B/A
算術 D/B
芸術 B/A (CからBへ上昇)
料理 B/S
「知力が3上がってる! 台本読みと、たくさんケーキのレシピを書いたからかも」
「ふお! 自分やればできる子っすね」
「芸術の上昇は演技だろうね。このままAに上昇したりして」
「うーん、どうせAに上がるなら、料理にして欲しいっすね。公演中は日替わりケーキで、料理の腕を磨くっすよ!」
カルラの瞳に炎が宿っている。
公演中の日替わりケーキにも期待できそうだ。
「じゃあ、最後は僕」
【クリストハルト・ブレイズ・ファルケ】
ファルケ帝国 第3皇子 12歳 男
知力 96/100
武力 72/80 (71から72へ上昇)
魅力 99/99
剣術 B/S
槍術 G/S
弓術 G/S
馬術 G/S
火魔法 S/S
水魔法 S/S
風魔法 S/S
土魔法 S/S
光魔法 A/S
闇魔法 G/S
話術 S/S
算術 S/S
芸術 A/S (BからAへ上昇)
料理 D/S (EからDへ上昇)
「武力が上がったのは嬉しいな。芸術がAって、僕にも演技の才能があったのか」
「稽古中、どんどん上達しているのを感じたのだわ」
「本当? エルが言うなら間違いないね。カルラの手伝いしかしてないけど、料理も上がった」
「クリスっちは、センスいいっすよ。これからも手伝いよろしくっす」
皆のステータスが上昇していて良かった。
これで、明日からの公演に気持ちよく望める。
僕たちは、いつもの並びで熟睡し、体力の回復に努めた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
翌朝僕たちは、朝食をとり風力車で移動して、今はメーベルト劇場の控室にいる。
フランクさんが出演者たちの前に立ち、初日開演前に一言、スピーチがあるそうだ。
「初日の観客数は、半分に満たない。だが、今日を素晴らしい舞台にすれば、必ず観客は増える。皆がそれぞれの役割を、しっかりこなそう」
「「「「「はい!」」」」」
皆の気持ちが引き締まり、緊張感が漂う。
そして開幕のベルが鳴る。
舞台から観客席を見ると、確かに空席が目立つ。
だが、僕は自分の役割を全うしようと心に誓う。
冒頭、主役のリゼが登場すると観客がざわめく。
僕は、風魔法を使って会話を聞いてみた。
「おい、主役の子すごい可愛いな」
「おお、本当だな。まるで天使のようじゃないか」
うんうん、僕の妹は超絶美少女だからね。
次にエルが登場すると、再び観客がざわつく。
「うお、すごい美人だな」
「胸の迫力がすごいな。一体何カップなんだ」
Hカップだが教えてあげない。
そしてクラウが登場し、大聖女を颯爽と救い出すと、女性の観客から黄色い声があがる。
「きゃー! あの聖騎士様すてき!」
「やーん、私も抱きしめて!」
クラウは若い女性に人気があるよな。エルもクラウが大好きだし。
前半はキャストの魅力で、観客のハートを掴んだ。
休憩に入ると、一斉にカルラの日替わりケーキが観客に振舞われる。
「なにこれ、ウマッ!」
「美味しー! おみやげに売ってないかしら」
皆、大絶賛のようだ。
後半に入ると劇の演出や効果で、観客を魅了する。
僕の風魔法でクラウが宙を舞い、光魔法で劇場内を幻想的な雰囲気にした。
そして最後の見せ場は、リゼの光魔法エリアヒールである。
大聖女のキメポーズを完コピすると、いつものように称賛の声が観客席から聞こえた。
こうして初日は大成功に終わる。
2日目以降、噂が噂を呼び毎日少しずつ観客が増えていった。
そして7日目、ついに満員御礼となる。
夕方、エルが7日目終了時点の売上を集計して、このまま残り23日間が満員だった場合の収支を予測した。
皆が期待に胸を膨らませる中、いよいよエルから収支予想が発表される。
「このまま千秋楽まで満員御礼を続けても、目標額には届きません!」
予想外の事態に皆が混乱する。
どうやら、初日から6日目までの成績が影響したらしく、あと少し目標額に足りないらしい。
僕は、目標額を達成するため、8日目以降の秘策を思案するのだった。




