第40話 巨大蜂
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冒険者ギルドの解体所にカルラを迎えに行って、インフィニティ全員で昼食をとった後、僕、リゼ、エル、クラウの4名は巨大蜂の討伐へ向かった。
カルラはギルドに残って豚肉に引き続き、鶏肉の解体作業に参加するらしい。
僕たち4人は、いつものように風力車で、巨大蜂が生息する森へと向かった。
それと、ギルドからの討伐依頼書に注意書きがあり、通常10匹前後、多いと20匹前後になるので、事前に入念な準備をするよう記載されている。
なお水が弱点で、最初の1匹がやられると、群れで攻撃してくるらしい。
僕は皆に伝えて、注意書きの内容を4人で共有し、作戦を立てた。
今回の作戦は、とりあえず1匹倒して群れを迎え撃ち、僕とクラウとエルの3人で攻撃。
リゼは、皆の退避場所として結界を張っておく、という感じだ。
森に到着してしばらく歩くと、それらしい個体を発見する。
黄色と黒のツートーンカラーで、体調は50センチメートルくらいある。
今までの魔物では、一番小さい。
花の群生地をブンブン音を立てて飛んでいる。
「クリス、あれで間違いないよな」
「クラウ、ちょっと待ってね、鑑定するから」
【巨大蜂】
魔物 4歳 メス
知力 40/45
武力 70/75
魅力 25/25
特徴……
「間違いない、巨大蜂だ」
僕は、とりあえず名称だけ確認して、クラウに告げた。
「よし、いつも通りいくぞ、参る!」
「あっ、クラウちょっと待って。まだ特徴とか見てないから!」
止めたのだが間に合わず、クラウは先行して走り出した。
「もう、しょうがないな。レストリクション!」
仕方なく土魔法で巨大蜂を拘束する。
拘束されて飛べなくなった巨大蜂が地面にポトリと落ちた。
「もらった~!」
クラウが剣を振りかぶり、止めを刺す準備に入ったようだ。
僕は先ほど見れなかった、特徴の部分を確認する。
【巨大蜂】
魔物 4歳 メス
知力 40/45
武力 70/75
魅力 25/25
特徴……仲間が倒されると、巣にいる全ての蜂が総攻撃を仕掛けてくる。通常は10匹前後で群れをなすが、多いときは20匹前後になることがある。水を苦手としており、羽が大量に濡れると飛べなくなる。水魔法を使える魔術師がいるときに戦うと有利に戦いを進められる。決して迂闊に手を出してはならない。群れの総数を把握し、討伐するなら一気に倒す準備をしておいた方がよい。毒針を持ち、何度も刺されると危険。なお、極稀に群れと群れが合わさり数百匹になることがあるが、こうなってしまったときは速やかに軍隊の出動を要請すべきである。
やばい、迂闊に手を出した剣士が、まさに今剣を振り下ろそうとしている。
「クラウ! 倒しちゃダメ!」
僕のセリフと同時に、クラウの袈裟切りが巨大蜂に襲い掛かる。
刹那、巨大蜂は真っ二つに分かれた。
「クリス、やったぞ!」
クラウが剣を高々と掲げて、得意気にしている。
すると、遠くから大量の羽音が聞こえてきた。
「さあ、10匹でも20匹でもアタシが相手をしてやろう」
クラウが宣言したその瞬間に、大量の巨大蜂が物凄い速さで近づいてくる。
その数100、200、いや300匹くらいか。
「ちょ、何これ!?」
「クラウ! 早くこっちまで逃げて!」
「うへえ」
クラウが必死の形相で、僕たちのいるリゼの結界を目指し、全力で疾走している。
でも巨大蜂の方が速く、クラウが攻撃を受けたようだ。
そして、なんとかリゼの結界内にクラウが転がり込み、そして倒れる。
「イテテテ、いくつか刺されてしまったな」
クラウの手足が赤く腫れている。
「うっ、息が……苦しい……」
アナフィラキシーショックか!
「リゼ! 結界を二重にできる?」
「今、終わったところです!」
さすがリゼ、判断が早いな。
今までリゼの結界が破られたことはないが、あれだけの数を防げるか定かでない。
万が一に備えておいた方が良いからね。
「了解! 結界を維持したまま、クラウにキュアをかけて!」
「はい!」
うずくまって苦しそうにしているクラウに、リゼが近寄りキュアをかけている。
だが、戦況は最悪だ。
このわずかな時間のうちに巨大蜂の群れが到達し、リゼの外側の結界に食いついている。
半径5メートルくらいの半球状に張られた結界の周りは、巨大蜂で覆いつくされてしまった。
先ほどまで明るかった結界内は、薄暗い空間へと変貌している。
「クリス! クラウのキュアが終わりました!」
クラウを見ると、刺されたケガは治っていないが、息苦しさからは解放されたようだ。
「リゼ! そのままクラウにエクストラヒールをお願い!」
「はい!」
リゼの光魔法が薄暗い空間を照らし淡く光ると、クラウが無事に回復したようで立ち上がる。
「ありがとう、リゼ。助かったよ」
クラウがリゼにお礼を言うのと同時に、リゼの外側の結界が破壊された。
「リゼの結界を破るなんて、信じられないのだわ」
エルが大分動揺しているようだ。
あらかじめ二重にしておいて、正解だったな。
「リゼ! 内側に結界を張り直せる?」
「はい!」
「張り直したら、そのまま二重結界を維持して、以後外側の結界が破壊されたら、順次内側に新しい結界を補充して!」
「了解!」
リゼにはこの後、二重結界の維持に集中してもらおう。
リゼの結界が僕らの生命線だ。
魔力切れを起こしたことがないとはいえ、これだけ大技を連発させたら、どうなるか予測できない。
時間的な猶予はないので、勝負をかけて一気に殲滅するべきだ。
「皆、リゼの結界がいつまで持つかわからない。こちらも覚悟を決めて総攻撃に移る。出し惜しみは無しだ!」
「はい!」
「任せてなのだわ」
「全力でいく!」
リゼ、エル、クラウともに気合十分なようだ。
「エル! クラウ! リゼの結界内から攻撃しても、結界に傷はつかないから安心して!」
「「了解!」」
以前旧館で訓練中に、疑問に思って試したことがある。
物理でも魔法でもリゼの結界に影響は無く、さすが大聖女の卵と驚かされた。
「エル! 巨大蜂は水が苦手だ。水魔法で貫くか、羽を濡らして!」
「任せてなのだわ」
エルが水魔法で攻撃を始めた。
「クラウ! 結界から外に出ないように注意しながら、剣で攻撃して!」
「了解!」
返事と同時にクラウが、巨大蜂に攻撃を開始した。
「さっきは、よくもやってくれたな! アタシの怒りを思い知れ!」
丁度クラウの目の前にいた巨大蜂が、胴体から真っ二つに切り裂かれて絶命した。
本当にその個体がクラウに毒針を刺したのだろうか?
まあ、丁度良いところにいたのだろうな。南無……。
しかし、かなりクラウは怒っているな。まあ自分が殺されかけたのだから当然か。
そして僕も水魔法で、結界に張り付いている個体を、次々に撃ち落とした。
だが、倒しても倒しても、入れ替わるように別の個体が結界に張り付いてくる。
そんなとき、エルが突然しゃがみこんだ。
「エル! 大丈夫?」
「ごめんなさい、目眩がして……」
魔力切れの兆候か……慣れない水魔法を連発させたからな。
「魔力切れが近いのかもしれない。無理しないで、そのまま座って待機していて」
「了解なのだわ……」
リゼは大丈夫だろうか?
額の汗を拭いながら、必死に持ちこたえているな。
クラウを見ると最初の頃の勢いがなくなり、肩で息をしている。
かなりの数を倒してくれたが、巨大蜂の周りが固くて、苦労しているように感じた。
このままじゃ、ダメだ……。
僕は深呼吸をして気持ちを落ち着かせ、起死回生の作戦はないか、思考を巡らせるのだった。




