第39話 確信
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昨日は、インフィニティにとって記念すべき日となった。
初めての依頼として巨大牛を討伐し、金貨20枚と大量の牛肉を入手する。
先に貰ってきた牛肉で、久しぶりの焼肉パーティーを開き、女性陣も大満足していた。
現在は、シーガルの町近郊にある草原に、合宿のときと同じ平家を複合魔法で作り、朝食を終えたところだ。
「皆、昨日はお疲れ様。今日も魔物討伐の依頼を受けようと思うが、巨大豚、巨大鶏、巨大蜂、巨大蛙の依頼でどれが良いかな?」
「「「「豚肉!」」」」
女性陣4人の声がハモった。
「あ~はいはい、巨大豚に決定ということで、早速冒険者ギルドに行こうか」
僕たちは、午前中の早い時間に到着すると、ギルドの解体所で昨日頼んでおいた牛肉を引き取る。
大量の牛肉のため、ギルドで買取の打診を受けたが、女性陣の反対もあり丁重にお断りした。
収納ボックスに大量の牛肉を入れて、僕たちは受付へ移動する。
「あら、インフィニティの皆さん、おはようございます。今日も依頼を受けてくれるのかしら?」
昨日と同じ受付嬢のヘルマが、声をかけてくれた。
「おはようございます。今日も魔物討伐の依頼を受けたいと思います」
「助かります。巨大豚、巨大鶏、巨大蜂、巨大蛙の中でどれにしますか?」
「「「「豚肉!」」」」
女性陣の声が揃った。
「え~と、巨大豚ですね。こちらが依頼書になります」
受付嬢が苦笑しながら書類をくれた。
僕たちは、巨大豚が住み着いている森へ、昨日と同じような手段で向かう。
そして、同じ作戦で戦ったのだが、なんと同じ結果になったのだ。
僕が土魔法で拘束して、クラウが風魔法で高く跳躍し袈裟切りすると、あっさり巨大豚は絶命する。
「あれ? もしかして、Bランク依頼の魔物って弱いのかな? それとも、僕とクラウの攻撃力が高すぎるのか……」
「間違いなく後者なのだわ。実力のある冒険者が挑んでも、死者がでるような魔物が、弱いわけがないもの」
僕の疑問にエルが簡潔に答えてくれた。
ふむ、確かめてみるか。
僕たちは、速攻で冒険者ギルドに戻り、討伐報告を済ませ豚肉の解体をギルドに頼んだ。
まだ昼食には早すぎる時間なので、さらに巨大鶏の討伐依頼を受けて移動を開始する。
ちなみにカルラは、魔物の解体を学びたいとのことで、ギルドの解体場で研修中だ。
僕たち4人は、巨大鶏が住み着いている森へ、先ほどと同じような手段で向かう。
そして、再び同じ作戦で戦ったのだが、やはり同じ結果になった。
僕が土魔法で拘束して、クラウが風魔法で高く跳躍し袈裟切りすると、あっさり巨大鶏は事切れる。
この瞬間、僕の中で自信が確信に変わった。
僕とクラウは強いのだと。
でもこの強さは、生まれつき持っていたものではない。
7歳のころからリゼと一緒に暮らした5年間、ひたすら魔法の鍛錬を続けたのだ。
クラウにしても幼少期からずっと剣を振り続け、剣聖様の厳しい特訓に耐えてきたはず。
お互い弛まぬ努力の結果なのだ。
僕たち4人は冒険者ギルドへ戻ると、報告書を出しに受付へ向かう。
「ただいま戻りました。巨大鶏の討伐報告書です」
受付嬢のヘルマが顔をヒクつかせている。
「本当にやってのけるなんて……。討伐証明は、解体場で確認すればよいですか?」
「はい、鶏肉の解体をお願いします」
さすがに3回目の討伐報告なので、僕も大分慣れてきた。
必要な生肉も手に入ったし、旅本来の目的である大聖女の情報集めに時間を使いたい。
「かしこまりました。それから、おめでとうございます。今回の依頼達成により、インフィニティはBランクに昇格いたしました」
おお、確かにめでたいが、僕らは冒険者として成り上がるために、依頼を達成したわけではない。
切実に焼肉が食べたかった。ただそれだけなのだ。
しかも国家プロジェクトの遂行中で、本来の目的は別にある。
冒険者のパーティーランクを上げるためではないのだ。
「ああ、それはどうも」
「薄っす、反応薄すぎじゃない?」
受付嬢が、座っていた椅子から立ち上がった。
まあ普通の冒険者なら、テンション爆上がりして大喜びするのかもしれないけど、僕たちは……。
「ああ、ごめんね。嬉しくないわけじゃないんだ。僕たちは先を急いでいてね、明日にはこの町を出ようと思う」
「え、え~と、こちらこそ取り乱してしまい、申し訳ございません」
受付嬢がペコリと頭を下げた。
「問題ないよ。では、豚肉と鶏肉は、いつ頃受け取りにくればいいのかな?」
「まだ時間も早いので、今日の夕方にお渡しできると思います」
「わかった。では、後ほど」
僕は、受付カウンターを離れようとしたが、誰かが上着の袖を掴んで離してくれない。
「え~と、まだ何か?」
僕が振り返ると、受付嬢が瞳を潤ませて僕を見つめる。
「明日の出発までに、残りの魔物も討伐してもらえないでしょうか?」
「へ?」
「どちらか一つでも構いませんので、助けると思ってお願いします」
リゼとエルとクラウを見ると、3人とも表情が冴えない。
「ちなみに巨大蜂と巨大蛙って食べられますか?」
「巨大蜂は食べられません。巨大蛙は人によって珍味だと喜ばれますが」
僕の質問に受付嬢から残念な答えが返ってきた。
「美味しくないのは、いらないですね」
「全く興味がないのだわ」
「珍味とか怪しいのは遠慮したいな」
リゼ、エル、クラウ共に不評なようだ。
仕方がないよね。僕たちは、受付カウンターを離れて移動を始めた。
「お待ちください!」
受付嬢が僕たちを引き留めようと必死なようだ。
「巨大蜂は食べられませんが、討伐後に巣から極上のハチミツが大量にとれます!」
受付嬢のその一言に、女性陣の歩みが止まる。
「極上のハチミツとは、見逃せませんね」
「丁度美味しいデザートを、食べたいと思っていたのだわ」
「アタシの体に極上のハチミツをかけたら、ご主人様が食べてくれるかもしれないな」
リゼ、エル、クラウが順番に答え、巨大蜂への評価を見直したようだ。
一人だけ訳の分からないことを言っているが、本当にやりそうで心配だな。
まあ、受付嬢の粘り勝ちで、僕たちは巨大蜂の討伐依頼を受けることにした。




