第32話 役割
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ニックネームの件でカルラが落ち込んでいるけど、次は報酬の話なので元気になって欲しい。
「次は報酬について」
「報酬?」
お、カルラが反応したぞ。
「冒険者ギルドで依頼を達成したときの成功報酬については、各自1割を支給して、残りの5割はパーティーの活動資金にします」
「どういうことっすか?」
「つまり依頼の成功報酬が金貨10枚だった場合、皆で金貨1枚ずつ分けて、残りの金貨5枚はパーティーの活動資金にするってこと」
「戦えない自分も皆と同じ金額でいいんすか?」
「カルラ、人はそれぞれ得意なことが違うでしょ?」
「そうっすね」
「僕が得意なのは魔法、リゼは聖女の力、エルは頭脳、クラウは剣術、そしてカルラは料理。そこに優劣なんてないんだよ。どれが欠けてもインフィニティは成り立たない」
「クリスっち……」
「それにね、この5人の中でカルラほど上手に料理を作れる人はいない。カルラがいないと、皆が飢え死にしてしまうよ」
「なるほどっす! 自分、責任重大っすね。皆のために毎日美味しい料理を作るっす!」
「うん、よろしくね、カルラ」
「了解っす!」
カルラがやる気に満ちた顔をしている。
良かった、元気になってくれて。
「それと、半年ごとにインフィニティの活動実績を分析して、活動資金の残金に余裕があるときは、ボーナスを支給します」
「まじっすか! 年2回ボーナスがもらえるんすね」
「あくまでも活動成績が良かったときだけね。赤字のときや、活動資金の残金に余裕がないときは、支給できないよ」
「そうなんすね……」
「まだ手探り状態なので、今決めた割合とかも変動するかもしれないけど、そのときは皆で話し合って、決めていきたいと思う」
「良いと思うのだわ」
「アタシも賛成だ。理にかなっていると思う」
エルとクラウも賛成のようだ。
「では、次の議題に移ります。今回の旅は、国家プロジェクトとして、皇帝陛下から金貨500枚の予算がついています」
「すごいのだわ!」
「そんなにあるのか!」
「うっひょ~!」
すごい金額だもんね、皆驚くのは当り前か。
「それと、これから話すことは国家機密にあたるので、絶対秘密にして欲しいのだけど、大丈夫だろうか」
「秘密は守るのだわ」
「問題ない」
「ちょっ、国家機密って平民の自分が聞いても大丈夫なんすか!?」
カルラが驚いて僕を見ている。
「僕とリゼに関わることなので、これから行動を共にするインフィニティのメンバーには、知っておいて欲しい」
「了解っす! 絶対誰にも言わないっすよ」
僕は、エルとクラウとカルラに、リゼが大聖女の卵であることを話す。
そして、僕の女神パラスからもらった『可能性は無限大』について、さらに今回旅に出ることになった経緯などを話した。
「……と、いうわけなんだ」
「リゼが大聖女の卵だったなんて、驚きなのだわ」
「可能性は無限大……やはりすごい能力だな。さすが私の旦那様」
「皇后様って、ひどいことするっすね。『クリスっち』と『リゼたん』が可哀そうっす」
エル、クラウ、カルラの順に僕とリゼの秘密について感想を述べている。
しかしカルラよ、『リゼたん』て……ありだな、可愛いじゃないか! 僕は、恥ずかしくて呼べないが。
「そんな訳で、今回の旅の目的は『リゼを大聖女に至らせる』ことです」
「理解したのだわ」
「アタシは、リゼの護衛を精一杯務める所存だ」
「リゼたんが大聖女、萌え萌えっす!」
テンションの高さに違いはあれど、皆で旅の目的を共有できたようだ。
「なお、旅の期間は3年間を予定しています。これより合宿終了後、帝国領を北上し大陸の北方にあるとされる、かつて大聖女リーゼロッテ様が暮らしていた亡国を、探し当て目指す予定です」
「壮大な旅になりそうなのだわ」
「3年間も旦那様と旅ができるのか、夢のようだな」
「大聖女リゼたん、わっしょい、わっしょいっす!」
そろそろ軌道修正が必要だろうか。おかしいのが2人に増えているな。
「国家プロジェクトに同行する、エルとクラウとカルラの仕事内容について確認します」
おっ、3人の顔つきが変わった。皆、仕事に関してはマジメなようだ。
「まずは、エル。僕とリゼが旅の間、貴族学校へ通えないので、家庭教師としていろいろ教えてください」
「任せて欲しいのだわ」
エルが心得たとばかり胸を張る。
おお、Hカップが微かに揺れた。
「次に、クラウ。リゼだけでなくエルとカルラを含めて3人の護衛をお願いします」
「承知した」
クールビューティーなクラウを、エルが隣でうっとりと見つめている。
「最後に、カルラ。皆に美味しい料理をよろしくね」
「了解っす!」
カルラが微笑みながら敬礼をした。
茶髪のサイドテールが、とても似合っている。
黙っていたら、かなりの美少女なのだけど……。
「それから、予算の金貨500枚は、皆の食費や雑費に当てたいと思う。もちろん仕事なので、毎月給料を支給します」
「あら、それは嬉しいのだわ」
「ありがたい。これは結婚資金として貯めておこう」
「助かるっす!」
きちんと対価は払わないとね。
3年分の予算と考えると、奮発はできないけど……。
「旅の期間を3年とみているので、それほど多くは払えないけど、足りない分は、インフィニティの活動で稼ぎたいかな」
皆が僕の方をじっと見つめて、頷いてくれた。
「エル、クラウ、カルラ皆同じ金額で月に金貨3枚を支給します」
「ありがとうなのだわ」
「ありがたいが、無理はしないでくれ」
「まじっすか! 自分、給料2倍になったっす!」
カルラが両手を高々とあげて、バンザイをしている。
おお、Gカップが滅茶苦茶揺れた。
「カルラ、喜んでもらえたのは良いのだけど、城での仕事より大変だと思うよ」
「なぜっすか?」
「城では、休みの日もあったでしょ?」
「そうっすね」
「でも、ここではカルラしか料理できないので、休みがないかもしれない。それを考えての金額かな」
「大丈夫っすよ、自分若いすっから」
「まあ、作り置きしたり工夫して、少しでもカルラの負担が減るようになればいいかな」
「はいっす」
「よろしくね、料理長」
「了解っす!」
この後、親睦会を兼ねて庭でバーベキュー大会となった。
帝城から食料をたくさん分けてもらったので、当分は問題ない。
それと、カルラに実験用として生肉を、少し取っておくと伝えた。
収納ボックスの中で、保存状態がどう変化するかを、調べるためである。
腐ったりしなければ、超優秀なのだが果たしてどうなるか。
「もう、お腹一杯なのだわ」
「さすがのアタシもこれ以上は無理だな」
「いや~、食った食ったっす」
エル、クラウ、カルラとも満足したようだ。
肉が腐ったら勿体ないので、皆で食べまくった。
一番食べたのはリゼで、皆がビックリしている。
まあ、僕には見慣れた光景なのだけど。
後は寝るだけなので、風呂にしようと思ったら、リゼが皆の前に歩み出た。
「それでは女性陣の皆さん、水着は忘れずに持ってきましたか?」
「「「は~い」」」
ん? 何が始まるのだろうか……。
「部屋で水着に着替えたら、浴場に集合してください。お兄様のシャワー魔法を堪能してもらいます」
「「「は~い」」」
皆の家を出発するときに、リゼが耳打ちしていたのは、水着だったのか。
これから庭でプールも作るだろうし、確かにあった方が良い。
それと5つある個室は、それぞれ好きに選んでもらった。
僕も自分の部屋で水着に着替えて、浴場へ向かう。
そして、浴場のドアを開けるとそこは、パラダイスだった。




