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チート能力「可能性は無限大」が人生を変える~超絶美少女な妹は第三皇子の僕が守ります~  作者: 愛輝磨生
第3章 成長期編

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第20話 違和感

たくさんある作品の中から

見つけてくれて、ありがとうございます♪


今回から通常どおり、クリストハルトの視点で物語が進行します。

【クリストハルト視点】



「う、重い……」


 僕は、胸を押し潰される苦しさに気付き目が覚めた。

 前世で味わったことのある、金縛りの症状に似ている。

 昨日の救助活動で、上級風魔法を複数同時に使い、大量の魔力を消費したのが原因かもしれない。


「えへへ、お兄様……」


 リゼの寝言が聞こえてきたので、僕はリゼを探した。

 だが、いつも僕の左側に寝ているはずのリゼが見当たらない。

 もしかして、今日は右側で寝ているとか?

 僕が右側を確認すると、やはりいない……。

 そのとき、僕のお腹の上で何かが動いた。

 とても柔らかなものが二つ、フニフニとした感触を僕の腹部に伝えてくる。

 今日は剣聖様の剣術訓練も無く、準備のため早起きする必要がない。

 僕は、この極上な時間を、ギリギリまで堪能することに決めた。

 しかし、そんな僕の気持ちに何の配慮もなく、玄関のベルが鳴る。

 朝食が届いてしまったようだ……。


「リゼ、朝食の時間だよ」

「ふあい、お兄様……。おやすみなさい……」


 リゼも昨日のエリアハイヒールの影響で、精神的な疲れがあるのかもしれない。

 僕の胸に顔をうずめて眠り、控えめな双丘を僕の腹部に押し付けている。

 僕はリゼを優しくどけて、ベッドに残すと玄関へ向かった。

 そして、メイドから朝食を受け取るために、ドアを開ける。


「やあ、お待たせしたね」

「お、おはようございます、殿下。ちょっ、朝食をお持ちしました」


 少しみながらメイドが答えた。

 ん? いつもの女性とは違うようだ。

 後ろに控えている、もう一人のメイドも見たことがないな。


「いつもの人と違うようだけど?」

「は、はい。前任者が一週間の休暇を取っておりまして、その間私が担当させていただきます。申し遅れました、カロリーネ・フォン・ヘルターと申します」

「そう、よろしく頼むね、カロリーネ嬢」

「は、はい! それでは失礼いたします」


 大分緊張していたようだけど、大丈夫だろうか。

 そんな心配をしながら僕は、朝食を食堂のテーブルに運んだ。

 僕の部屋に戻ると、ベッドの上でリゼが爆睡している。


「リゼ、朝食の準備ができているよ」


 僕は、リゼの頬に優しくキスをした。


「んん、お兄様?」


 リゼが寝ぼけながら、目元をこすっている。


「朝食が冷めてしまうといけないから、早くおいで」

「うう、体がダルくて動けません……。あっ、これはもう、お姫様抱っこをするしかないですね!」


 リゼが瞳をキラキラとさせている。

 昨日、魔術訓練場から旧館に帰るまでお姫様抱っこをしたが、大分お気に入りのようだ。


「はいはい、じゃあいくよ」


 僕はリゼを抱き上げて、お姫様抱っこをした。


「えへへ、お兄様大好き」


 リゼが僕の首に手をまわして、頬にキスをしてきた。


「僕もリゼが大好きだよ」


 僕がそう返事をすると、リゼは満足そうに微笑み抱きついてきたのだった。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 食堂に到着しリゼを椅子に座らせると、僕も隣の席につく。

 最近は、お互いのステータスを確認しやすいように、隣で食事をする回数が増えた。


「わあ、美味しそう。いただきます」


 お腹を空かせていたリゼは、スープをさじですくうと口へ運んだ。

 僕は、いつものように鑑定魔法を使って、食材の安全を確かめた。

 宮廷料理人が調理しているので、間違えて毒キノコが混入することもない。

 だがファルケ帝国は、温暖で気温が高い日が多いため、食材が傷みやすいのだ。

 念のため料理が腐っていないか、毎日確認を欠かしたことはない。

 いつものように料理を鑑定すると、スープにだけ見慣れない表示が赤く点滅している。


 ディアンフィディア(猛毒、遅効性)


「リゼ! 食べちゃダメ!」


 僕は慌てて、匙を持ったリゼの手首を掴んだ。


「痛いです、お兄様」

「ああ、ゴメンね。」


 僕は、リゼの手首を掴む力を緩めた。


「お兄様、どうしたのですか?」

「スープに毒が入ってる」

「ええ!?」

「大丈夫? 食べてないよね?!」

「はい、ギリギリでしたが……」

「よかった……」


 僕は、リゼをギュッと抱きしめた。


「お兄様……」

「ごめんね、もっと早く調べていれば……」

「いいえ、私が急いで食べようとしたからです」

「本当に無事でよかった……」


 僕は、もう一度リゼを抱きしめた。


「しかし、こんなことは初めてだね」

「一体誰がこんなヒドイことを……」


 僕たちに殺意をもっている人物……。

 僕とリゼを邪魔だと思っている人……。

 一人しか思い至らないな。


「皇后様しか考えられないね。証拠は不十分だけど」

「なぜ、皇后さまがお兄様と私を?」


 リゼが困惑しながら僕を見ている。


「僕については、昨日の救助活動が原因だと思う。もうすぐ皇太子を決める時期だからね」

「私は、なぜ狙われたのでしょうか?」

「リゼは、昨日のエリアハイヒールだろうね」

「それが原因ですか!?」


 リゼが驚愕している。


「エリアハイヒールは、光魔法の適性がSでないと使えないでしょ?」

「そうですね」

「皇后様は自分と同じ光魔法Sのリゼを、帝国筆頭聖女のライバルと認識したのだと思う」

「私が皇后様のライバル……」

「皇后様は自分が帝国の筆頭聖女であることに、固執しているからね」

「なるほど。でも、これからどうしましょうか、お兄様」


 リゼが不安げな表情で僕を見ている。

 おそらく、前任のメイドが一週間の休暇を取ったというのは、嘘だろう。

 取ったのではなく、皇后様に取らされたに違いない。

 そしてこれ以降、僕とリゼの食事には毎回毒が盛られるはず……。

 この旧館には、食材の備蓄もないし、そもそも僕とリゼは料理ができない。

 食事の度に食べたふりをして、空になった食器を返すことは可能だけど、僕とリゼが飢え死にしてしまう。

 それに、毒の効果が思わしくないと判断すれば、直接的な攻撃に出てくるかもしれない。

 リゼを守り切れるだろうか……。

 もはや一刻の猶予も許されないな。


「リゼ、落ちついて聞いて欲しい」

「はい、お兄様」

「この城を出よう」


 リゼが驚いて、目を見開いている。


「帝城を出て、どこで暮らすのですか?」

「旅に出ようと思う」

「旅?」

「うん、リゼの光魔法が2年間Sのままだよね?」

「はい、なかなかSSには上がらないですね」


 リゼが悔しそうに下を向いた。


「リゼの経験値が足りないか、まだ発動できていないS級の光魔法があるのか、どちらかだと思う」

「そうですね」

「僕は、後者だと予想している」

「ファルケ帝国に伝わっていない光魔法があると?」

「うん。帝城にある、伝説の大聖女リーゼロッテ様の絵本や、光魔法の文献は全て目を通した。おそらく帝国にいる限り、リゼの光魔法はSSにならない可能性が高い」

「そんな……」


 リゼが愕然としている。


「僕は、北を目指そうと考えている」

「北?」

「帝城の書庫にあった文献によると、かつて大聖女リーゼロッテ様が暮らしていたとされる国が、北方にあったらしい」

「そうなのですね」

「すでに亡国となっていて、現在のどの国に含まれているのか不明なんだよ。なにしろ数百年前のことらしいから」

「そんなに大昔の話だったのですね」

「だからその手掛かりを探すためにも、僕とリゼは北を目指すべきだと思う」

「はい、私もそう思います。それに、私はお兄様と一緒ならどこへだって行きますよ」


 リゼが微笑んで僕を見つめている。


「リゼ……」


 僕はリゼを抱き寄せ、しっかりと抱擁した。


「まずは、父上に相談しよう」

「そうですね」

「帝城へ行って父上を連れてくるから、リゼは持っていくものをまとめておいて」


 僕は、急いで父上の執務室を目指した。


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