第15話 リゼの気持ち
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リゼと一緒に暮らし始めて、一週間が経過する。
朝食後、僕はリゼと今後の訓練内容を決めるため、各自のステータスを確認していた。
【リゼット・ブレイズ・ファルケ】
ファルケ帝国 第1皇女 6歳 女
知力 63/95 (61から63へ上昇)
武力 18/29 (15から18へ上昇)
魅力 100/100
剣術 G/F
槍術 G/F
弓術 G/F
馬術 G/F
光魔法 E/SS (FからEへ上昇)
話術 C/S (DからCへ上昇)
算術 D/S
芸術 C/S
料理 G/C
「お兄様! 光魔法がEに上がっています!」
「よかったね、リゼ」
「はい!」
「知力も2上がっているし、武力なんて3も上昇しているよ」
「私、がんばりました!」
リゼが訓練の成果を見て、満足そうに顔をほころばせている。
ちなみにリゼは、あまり走ったりしていない。
プールでバタ足をするくらいだったが、それでも武力が3上昇したので、低い数値ほど上がりやすいのかもしれないな。
それに対して知力の上昇は2にとどまっている。
かなり多くの時間を魔術書の読書に費やしていたが、数値が高くなるに連れて上昇幅は小さくなりそうだ。
「お兄様の方は、どうですか?」
「僕のは、こんな感じ」
【クリストハルト・ブレイズ・ファルケ】
ファルケ帝国 第3皇子 7歳 男
知力 75/100 (73から75へ上昇)
武力 28/80 (23から28へ上昇)
魅力 99/99
剣術 G/S
槍術 G/S
弓術 G/S
馬術 G/S
火魔法 D/S (EからDへ上昇)
水魔法 E/S (FからEへ上昇)
風魔法 D/S (EからDへ上昇)
土魔法 D/S (EからDへ上昇)
光魔法 E/S
闇魔法 G/S
話術 B/S
算術 D/S
芸術 F/S
料理 G/S
「すごいですお兄様、武力が5も上がってますよ!」
「おお、本当だ! 頑張って走った甲斐があったね」
「今後の訓練内容は、どうしますか?」
「このままで良いと思うよ。二人とも知力と武力、それに魔法適性も順調に上昇しているし」
そこまで話したところで、玄関の方からベルの音が聞こえた。
「もう午前中のおやつみたいだね。洗濯物を出しながら、もらってくるよ」
僕は、昨日着ていた二人の衣類が入ったカゴを、メイドに渡すために玄関へ移動した。
そういえば、一週間経っても同じ服を見たことがないな。
何着でローテーションするのだろうか?
僕とリゼの二人暮らしで、特に来客があるわけでもないし、5着もあれば充分な気がするけど。
一応メイドに確認してみるか……。
「殿下、こちら午前中のおやつになります」
「ありがとう。ところで、一つ聞きたいことがあるのだけど」
「なんでございましょうか?」
「僕たちが着た服って、どうなっているのかな? 毎日新しい服が届くから、不思議に思ってね」
僕は、カゴに入った衣類を見せながらメイドに質問した。
「皇后陛下のご指示で、廃棄するように仰せつかっております」
「え? 全部?」
「はい、衣類全部でございます」
マジか……。リゼの呪われた子疑惑が、帝城内ではまだ継続中のようだ。
しかし、生地も良いものを使っているようだし、これが毎日捨てられるとなると、勿体ないな。
というか、税金の無駄遣いだよね……。
「今日から衣類の回収は、しなくていいよ」
「と、いいますと?」
「僕が洗濯に挑戦してみようと思ってね」
「殿下がですか?」
「うん、後で洗濯道具一式を届けてもらえるかな」
「それは構いませんが……」
メイドが困惑した顔で僕を見ている。
「じゃあ、よろしくね。おやつ、ありがとう」
「はい、では後ほど。失礼いたします、殿下」
その後、リゼとおやつを食べ終えたころに、洗濯道具一式が旧館に届けられた。
「お兄様、これは何ですか?」
「洗濯道具だよ」
「洗濯?」
リゼが小首をかしげて、不思議そうに僕を見ている。
「僕とリゼが着た服を洗えば、また着られるでしょ?」
「そうですね」
「城で服をたくさん用意しようとしていたから、税金の無駄になるし、僕が洗濯してみようと思って」
「お兄様は、洗濯をしたことがあるのですか?」
「ないよ」
僕が笑顔で答えると、リゼが心配そうに僕を見ている。
「大丈夫だよ、魔法を使って洗濯するから」
「ああ、魔法を使えば、お兄様なら心配いらないですね」
「いやあ、成功するかどうかは、やってみないとわからないけど」
「頑張ってください、お兄様!」
リゼの応援でやる気が出たので、早速洗濯魔法に挑戦してみようと思う。
イメージするのは、前世の洗濯乾燥機だ。
まずは、水魔法で大量の水を作り出し、風魔法で空中に浮かせる。
さらに風魔法で水の中に洗濯物と洗剤を入れて、10分くらいかき回す。
その後、別に用意しておいた水の中で5分くらいすすぐ。
ここまでは、水魔法と風魔法しか使っていない。
「さあリゼ、仕上げだよ」
僕は、興味津々に洗濯魔法の様子を眺めていたリゼに告げた。
最後は、風魔法と火魔法を使って乾燥だ。
空中で僕とリゼの衣類がくるくると回りながら、一定範囲内を飛んでいる。
「わあ、なんか鳥みたいですね」
リゼが乾燥魔法を楽しそうに見つめている。
「さあ、できたよ。仕上がりはどうかな……」
僕は、乾燥が終わった自分の上着を手に取り、ニオイを嗅いでみた。
「うん、問題ないね。石鹸の良い香りがする」
「お兄様、私にも見せてください」
リゼが僕の上着を手に取り、手触りを確かめている。
「ふっくらしていて、石鹸の良い香りがしますね」
「でしょ」
「大成功ですね、お兄様」
リゼも仕上がりに満足したようだ。
後は念のため、下着も確認してみるか。
ちなみに前世の僕は、トランクス派だったのだけど、この世界には存在していない。
いつか作れるようになったら、是非トランクスをまた着用したいものだ。
「えーと、僕の下着は……あった」
手に取り高く掲げてみると、キラキラと白く輝いていた。
「でも、少し縮んだかな? なんか、ひとまわり小さくなった気がするね」
「あっ、お兄様、それは……」
「ん? リゼどうしたの?」
リゼが顔を真っ赤にして慌てている。
「それ、私の下着です……」
「えええ! ごめんねリゼ! 僕のと勘違いしていたよ」
僕は、持っていた下着を慌ててリゼに返した。
「ええと、もう一度洗うね。僕が触ってしまったし……」
「大丈夫ですよ、お兄様。問題ありません」
「そう?」
「はい!」
良かった、どうやらリゼは気にしていないようだ。
もしリゼに『私の衣類をお兄様のと一緒に洗わないで』とか言われたら、ショックで丸一日寝込む自信がある。
「私は、お兄様に何をされても大丈夫ですので!」
リゼが自信満々に言い切った。
何をされてもって、僕がリゼに好きなことをしていいのかな?
いやいや、きっと僕のことを兄として信頼しているってことだよね。
なら僕も、リゼを妹として信じていることを、伝えないといけないな。
「僕もリゼにだったら、何をされても大丈夫だよ!」
「本当ですか!?」
「うん」
リゼが目をキラキラとさせて、僕に飛び込んでくる。
そして、頬にキスをされた。
「えーと、これは?」
「私のお兄様への気持ちです!」
「気持ち?」
「はい、今までは朝お兄様が起きるまでの時間しかできませんでしたが、お兄様のお許しも出たのでこれからは、いつでも好きなときにしちゃいますね!」
あれ? どこで間違えたのだろうか……。
でも、リゼが楽しそうにしているからいいかな。
最初のころは、会話も成立しなかったことを考えると、この短期間で仲良くなれたことを喜ぶべきだよね。
これからも兄としてリゼを守り抜くと、固く決意したのだった。




