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チート能力「可能性は無限大」が人生を変える~超絶美少女な妹は第三皇子の僕が守ります~  作者: 愛輝磨生
第4章 臥竜鳳雛

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第110話 皇后の動向

たくさんある作品の中から

見つけてくれて、ありがとうございます♪

 皇帝陛下である父上に、皇太子になる覚悟を問われた僕は、インフィニティとして活動する許可およびリゼと一緒に居ることを条件に、皇太子になることを約束した。


 そしてその後の旅の説明では、シュトラウス伯爵家の末裔に関することは触れないようにする。

 光魔法に攻撃魔法が存在することは、絶対秘密にすると約束しているので、古書店を回り光魔法の魔術書を買い集めて、解読した苦労話だけを発表した。

 魔物討伐の話もあったし、聞いていた父上も満足そうに微笑んでいた。


「父上、そういえば宮廷料理長が来ていないようですけど」

「ああ、一緒に行こうと誘ったのだが、畏れ多いと辞退されてしまってな」

「そうでしたか、それは残念ですね。ところで父上、僕とリゼットが城を出た後、皇后様の様子はどうでしたか?」


 聞きたくない名前だったようで、父上の顔から笑みが消えた。


「ずっと機嫌が悪いな。毎日イライラしているようで、周囲の者に当たり散らしておるわい」

「まあ、適任者がおらず、追手を放つこともできませんでしたからね。勿論そんなことは、私がさせませんが」


 父上の言葉に師匠がイケメンスマイルで答えた。


「さすがです師匠。他に何か変わったことは、ありませんでしたか?」

「そうですな、殿下たちが城を脱出した数日後、メイドが一人死亡しました。窓掃除中に転落したと報告を受けています」


 師匠が真剣な眼差しで僕を見ている。


「メイドの転落事故は、よくあることなのですか?」

「いいえ、滅多にありませんな。そのメイドは着任してから日が浅く、仕事にも不慣れだったようで、気の毒なことです。たしかヘルター男爵家令嬢のカロリーネという名前だったかと」


 師匠の口から聞いたことのある名前が出てきた。

 カロリーネ……たしか朝食のスープに毒を盛られたときに届けに来たメイドだ。

 酷く緊張していて言葉も噛んでいたし、今思えばスープに毒が入っていることを知っていたのだろうな。

 まあ、彼女は皇后様に命じられて行動していたのだろうが。


「師匠、そのメイドは朝食のスープに毒が盛られたときに、迎賓館の旧館まで朝食を届けにきたメイドです」

「なんですと! しかし、そうなるとあの転落死は、事故ではなく誰かに突き落とされた可能性がありますな。口封じのために……」

「僕もその可能性が高いように思います」

「陛下、このメイドの件は、私の方で秘密裏に調べてみようと思います」

「うむ、アレクシスに任せる。バルバラに気付かれぬよう注意するのだぞ」

「承知いたしました、陛下」


 師匠が父上にペコリと頭を下げた。

 後のことは師匠に任せておけば安心だ。他に何か用事があったような……あっ、国家プロジェクトの余った予算を返そうと思っていたのだ。


「父上、予定より早く帰国できたので、国家プロジェクトとして預かっていた予算をお返しいたします」


 僕は収納ボックスから金貨の入った袋を取り出して、テーブルの上に置いた。


「そうか……って、ほとんど手を付けていないではないか! 遠慮せずに使ってよかったのだぞ」


 袋にぎっしりと金貨が入ったままになっているのを見た父上が驚いている。


「冒険者の報酬が沢山ありましたので、問題ありません」

「そ、そうか。しかし、まだ帝城に戻れないから持っておきなさい。今後の旅で必要になるであろう」

「やはり帝城に戻るのは危険ですか?」

「ああ、バルバラが何をするか、わかったものではない」


 父上が苦虫を嚙み潰したような顔をして、不快そうにしている。


「陛下、リゼット殿下が大聖女になったことは、しばらく伏せておいた方が良いかと」

「うむ、アレクシスの言う通りだ。今バルバラから帝国の筆頭聖女を剥奪すると、怒りに任せて何をするか予想がつかん」

「ですので、クリストハルト殿下もリゼット殿下も、当分は内緒にしてくださいますでしょうか」


 師匠が申し訳なさそうに僕とリゼの方を見ている。


「はい、父上の許しがあるまでは秘密にします」

「私もお兄様と同じく、秘密にいたします」

「うむ、しばらく辛抱してくれ」


 父上が苦笑して僕とリゼを見つめている。


「それともう一つ注意していただきたいことがあります。最近、皇后様が密かに傭兵を集めているようで、おそらく追手として使うためかと」

「師匠、ついに皇后様が本気になったということでしょうか?」

「ええ、皇后派の貴族たちにも似顔絵を配り、見つけ次第捕らえるように厳命しているようです」

「だとすると帝国に滞在するのは危険ですね」

「はい、速やかに他国へ移動した方が良いと思います」

「わかりました。あと、僕たちが冒険者パーティー『インフィニティ』だということもバレているのですか?」

「いえ、私たちも今日知った事ですので把握していないと思います。ですが、バレるのは時間の問題かもしれませんね。皇后様の実家アルトマイアー公爵家の財力は、帝国貴族の中で群を抜いております。皇后様が本気で調査を開始したとなれば、圧倒的な財力で情報を次々と入手していくでしょうから」


 師匠が困ったように眉をひそめている。


「たしか帝国は、アルトマイアー公爵家に多額の借金をしているのでしたね?」

「ええ、不本意ではありますが。しかし、これは陛下のせいではございません。先帝である陛下の父君が、ブレイブ王国との戦争を繰り返したときに発生したものですので」

「なるほど。前から不思議に思っていたのですが、アルトマイアー公爵家は、どのようにして財を築いてきたのでしょうか? 手広く商売をしているとはいえ、不自然な気がして」

「そのことについては、わしが説明しよう。アレクシスには、言いづらい話だろうからな」


 師匠に代わり父上が説明してくれるようだ。


「アルトマイアー公爵家には、黒い噂が絶えなくてな。裏で色々と悪事を働いているようなのだが、なかなか証拠を掴ませてくれんのだ。この件については、悟られぬよう前から調査を続けておる」

「そうでしたか。やはり何か裏があるのですね」

「ああ。これからは、お前にもこういう話をしていこうと思う。ただし、他の者もここで聞いた話は絶対秘密にするように。よいな?」


 インフィニティの女性陣が各々返事をして、口外しないと誓いを立てる。

 そして僕は帝国の借金を理由に、余った国家プロジェクトの予算を、父上に返還して受け取ってもらった。


 その後、新風力車を父上たちにお披露目して、実際に乗ってもらうと大好評である。

 速度も優秀な軍馬の最高速度よりも速いようで、父上と師匠が驚嘆していた。


 再び平家に戻ってきたところ喉も乾いたので、僕が複合魔法を使い、かき氷を作った。


「父上どうぞ召し上がってください。師匠と剣聖様もどうぞ」


 僕が父上たちにかき氷を勧めていると、気を利かせたカルラがやってきて、各々が希望する味のシロップをかけて提供している。


「おお、貴重な氷をいともたやすく。ふむ、乾いた喉にしみ渡るな」

「なるほど、殿下のかき氷があれば、砂漠の猛暑にも耐えられるかもしれませんな」

「いやあ、殿下と一緒なら、どこへ行ってもやっていけますな。これからとつぐクラウディアが羨ましいですぞ」


 父上、師匠、剣聖様の順にかき氷の評価を述べている。

 剣聖様だけ違うことを妄想しているようだが。


 あと他に、この場で決めておくべき事は……どうやって父上と連絡を取るかについてだな。


「父上、今後僕たちに連絡があるときは、冒険者ギルドにインフィニティを指名して依頼を出してください。そうすればある程度の伝言も可能かと」

「わかった。あるとすれば帝都への帰国を指示するとかだろうが」


 そんな話をしていると、リゼが父上のそばにやって来た。


「お父様、私料理ができるようになったので、パスタを召し上がりませんか? 夕食前なので量を少なく作りますので」


 リゼが微笑んで父上を見つめている。


「ほう、料理を覚えたのか。是非食べてみたいな」


 可愛い娘の手料理が食べられるとあって、父上が満面の笑みでリゼを見ている。


「リゼット殿下、私にもお願いできますか?」

「殿下、ワシにもお願いしたいのじゃが」

「はい、リートベルク侯爵と剣聖様にも用意しますね。では皆様、味付けですが普通のと辛いのどちらが良いですか?」


 リゼが美少女スマイルで希望を確認している。


「「「辛いので」」」


 さすが大人である。父上たちは迷わず辛い方を選択した。 

 だが僕は知っている。この二択が示す本当の意味を。


 リゼが聞いたのは、普通(激辛)のと辛い(超激辛)のどちらが良いかである。


 そしてカルラが見守る中、リゼが一人で調理を完了したようだ。

 テーブルには小皿に入った少なめのパスタが盛りつけられている。


「お待たせしました。どうぞ、召し上がってください」


 リゼがニッコリと笑みを零すと、父上も師匠も剣聖様も嬉しそうに小皿を手に取った。


「可愛い娘の手料理を食べられる日がこようとはな。わしは今日のことを一生忘れないだろう」

「大聖女様の手料理が食べられるなんて、475年ぶりのことかもしれませんね」

「この赤いソースはトマトじゃろうか? 大聖女様の手料理……ワシは幸せ者じゃ」


 父上、師匠、剣聖様の順に意見を述べた。

 そして三人同時に食べ始めると、すぐに動きがピタリと止まった。

 全員顔に汗が噴き出している。


 やはりあの赤いソースは、トマトではなく超激辛香辛料だったようだ。

 僕、エル、クラウ、カルラの四人は、リゼに『あーん』をされないようにテーブルから離れた安全地帯に避難している。


 しかし次の瞬間、僕たちは信じられない光景を目にした。

 動きを止めていた父上たちが一斉に食べ始めたのだ。

 そして三人とも、小皿に入った超激辛パスタを完食する。


「うむ、最初は激辛すぎてどうなるかと思ったが、慣れてくるとクセになる美味さだな」

「陛下もですか、私も初めは驚きましたが、はまってしまいそうで怖いですね」

「ワシもビックリしたが、これは結構好きかもしれぬ」


 父上、師匠、剣聖様の順に意見を述べているが、皆に大好評のようだ。

 こうしてリゼによる大聖女の手料理大作戦は、見事に父上たちの胃袋をガッチリと掴み大成功に終わり、三人の重鎮たちは笑顔で帝城へと帰ったのだった。


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