第107話 小悪魔な天使たち
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クレイン独立国のファルコン村を出発した僕たちは、一週間後にようやく帝都に到着することができた。
徒歩なら数か月かかるはずなので、新風力車が大活躍だ。
しかし大陸の北方と違い帝都は暖かい。10月だというのに暑いくらいである。
現在は夕方前で、僕たちは帝都の検問所から500メートルくらい離れた森の近くに居た。
「お兄様、ここは最初に合宿をした場所ですよね?」
「うん、懐かしいよね。今日は、ここで宿泊しようと思う」
僕は新風力車を収納ボックスへ入れて、複合魔法で平家を作った。
「リゼ、結界と認識阻害をお願い」
「はい、任せてくださいお兄様」
リゼが右手を前に出して呪文を唱えると、あっという間に作業が完了する。
大聖女になったこともあり、自信に満ち溢れて行動に迷いがない。
妹の成長を兄として、とても嬉しく思う。
「ありがとう、リゼ。では皆、中に入ってゆっくり休もうか」
「お兄様、喉が渇きませんか? 何か冷たい物が飲みたいです」
「私もリゼと同じ気持ちなのだわ。暑いし半袖に着替えたいわね」
「アタシも水分補給がしたい。もう熱中症になりたくないからな。あっ、また旦那様にお姫様抱っこして欲しい」
「帝都は暑いっすね。裸エプロンになったら涼しくなりそうっす」
僕の言葉にリゼ、エル、クラウ、カルラの順に答えた。
カルラは、これで平常運転なので気にしない。慣れとは怖いものだ。
皆が平家の中に移動してリビングのソファーに座り、僕が複合魔法で作った氷を入れたカルラ特製フルーツジュースを飲みながら会議を始める。
「皆、お疲れ様。検問所から帝都の中へ移動したいけれど、僕とリゼが皇后様に命を狙われているので、迂闊に入るわけにはいかない。そこで、クラウにお願いがある」
「任せてくれ。アタシは何をすれば良い?」
「クラウは実家に戻って、剣聖様が帰宅したら伝言をお願いしたい」
「承知した。父上に何を伝えれば良いのだ?」
クールビューティーモードのクラウが、真っすぐに僕を見つめている。
「無事にリゼが大聖女となったので皇帝陛下、魔術師団長、剣聖、宮廷料理長の4人で、検問所の外まで会いに来て欲しいと。詳細は手紙に書いて持たせるので、忘れずに剣聖様に渡してね」
「わかった。任せてくれ」
「今日はもう夕方なので、明日以降で都合の良い日に会いに来てくれれば良いからさ。それとクラウは、今日実家に泊まってね。この場所まで道案内が必要だから」
「承知した。でも、道案内するにしてもリゼの認識阻害があると、アタシが見つけられるか不安だな」
「大丈夫だよ、朝から夕方までの間は認識阻害を解除しておくから」
「わかった。なるべく早く陛下たちを連れて戻ってくる」
その後エルに詳細を手紙に書いてもらい、僕が封筒に封蝋で封印してクラウに預ける。
手紙を受け取ったクラウは、僕たち全員と握手をした後、検問所へ向かった。
「さあ、汗もかいたしお風呂に入ろうか」
「お兄様、シャワー魔法で髪を洗って欲しいです」
「クリス君、私も髪を洗って欲しいのだわ」
「クリスっち、自分もお願いするっす」
僕がお風呂に誘うとリゼ、エル、カルラの順に賛成した。
僕たちは各々水着に着替えて、浴場で合流する。
一番乗りは僕で、少し後にリゼがやって来た。
リゼの水着は、エメラルドグリーンのビキニで、上下共にフリルが付いたタイプだ。
ショーツの両サイドにレモン色の紐が付いており、リボン結びになっていてとても可愛い。
可愛い系美少女代表であるリゼは、どんな色の水着でも似あうから不思議だ。
「リゼ、水着とても似合っていて可愛いよ」
「ありがとうございます、お兄様! ところで、このショーツのリボンを解くと、どうなると思いますか?」
リゼが小首を傾げて、いたずらっぽく笑う。
これは以前僕が騙されたやつだ。リボン結びになっている紐は、ただの飾りで引っ張っても大丈夫なのである。
「リゼ、僕に同じ手は二度と通じないよ」
僕は自信満々に、右手でリボン結びになっている片方の紐を引っ張った。
「うああ、お兄様! これは、引っ張ったらダメなタイプです!」
慌ててリゼが解けた紐の部分を両手で押さえた。
「えええ! ごめんねリゼ、てっきり前と同じタイプかと」
「大丈夫ですよ、お兄様。私は、お兄様になら見られても平気ですから」
リゼがニッコリと笑みを零しているが、僕に見られても平気とは僕のことが好きだからなのか、それとも単に兄妹だからなのか。
「その証拠に……ほらっ!」
リゼが突然押さえていた紐から両手を離した。
「ちょっ、何やってるの!?」
このままでは、ショーツがペロンと捲れて、リゼが大変なことになってしまう。
僕は慌ててリゼのショーツを両手で押さえようとしたが、間に合いそうもなかったので、目を瞑り両手で自分の目を隠した。
「大丈夫だよリゼ、見てないからね。早くショーツの紐を結び直して」
「平気ですよ、お兄様。もう目を開けても大丈夫です」
リゼが問題ないと言うので、僕は恐る恐る目を開けてリゼを見た。
すると紐は解けたままだが、リゼのショーツは無事だったのである。
またやられた……
「やりました、大成功です!」
「ぐぬぬぬ」
「お兄様、ドキドキしましたか?」
リゼが期待を込めて僕を見つめている。
「うん、ドキドキした」
「やったー!」
リゼが両手を挙げてバンザイしながら喜んでいると、水着に着替えたカルラがやって来た。
「リゼたん、その様子だと成功したっすね」
「うん、カルラの言う通りになったの」
「でしょ!? クリスっちのことだから同じ手は通じないとか言って、絶対に紐を引っ張ると思ったんすよ。イエーイ!」
カルラが両手を上に掲げると、リゼが応えるようにハイタッチをした。
そんなカルラの水着は、赤の三角ビキニである。相変わらずの爆乳でGカップが水着から零れそうだ。
そして最後にエルがやって来た。
エルの水着は、クロスデザインのビキニだ。色はブラックで、バストのフロント部分がクロスしたデザインになっている。エルがHカップのため特別に作られた一品で、今日も鉄壁の防御を誇っていた。
しかし僕は幸せだ。こうして毎日、美少女たちの水着姿を拝めるのだから。
その後、いつものように女性陣の洗髪をシャワー魔法で済ませると、風呂からあがってドライヤー魔法で全員の髪を乾かした。
そして夕食後、しばらくしてから寝室に移動したのだが、今日はクラウがいない。
するとエル、リゼ、僕、カルラの並びで眠るのだが、リゼがエルの抱き枕にされて大変危険だ。
なので今夜は、エルとカルラの場所を入れ替えた。
これで並びはカルラ、リゼ、僕、エルとなるので、リゼを守ることができる。
案外エルが抱き枕にするのは、女性限定の可能性もある。今まで抱き枕にされたのは、クラウとレオナだけだ。でも男性で試すのは、僕が初めてになるわけだが、さてどうなることやら。
長旅で皆疲れていたのか、すぐに寝息をたて始める。
僕も一週間ずっと新風力車を飛ばしていたので、すぐに眠ってしまった。
しかし、しばらくすると目が覚める。
何者かに拘束されて、身動きが取れなくなったのだ。
僕は慌てて抜け出そうとするが、完璧に手足でホールドされていて抵抗することすらできない。
だが隣で僕の左腕に抱きついて、スヤスヤと眠るリゼの寝顔を確認し、現状を把握した。
僕は、エルの抱き枕にされているのだ!
後ろからギュッと抱きしめられて息苦しいのだが、背中にエルのHカップがグニュンと当たっている。
デス砂漠でエルを、おんぶしたとき以来の感触だ。いや、それ以上に柔らかい感覚である。きっとブラをしていないからだろうか。
「んん、クラウディア……大好き」
エルが寝言でクラウに愛を囁いている。
いつもの習慣で、僕をクラウだと思い込んでいるようだ。
とても大きくて柔らかい物が背中に当たる幸せと、締め付けられる息苦しさ。
そんな天国と地獄が交互にやってくるのだ。寝られるわけがない……
結局、それ以降は眠れずに朝がくる。
最初はHカップが堪能できて嬉しかったが、後半は息苦しさと眠れないことが苦痛だった。
クラウ……早く帰って来てくれないかな。
そして僕の願いが通じたのか、その日の昼過ぎに予想より遥かに早く、クラウが皇帝陛下たちを連れて帰って来たのだった。




