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魔王自ら勇者を育成してやろう!  作者: フオツグ
第三部 決着をつけてやろう!

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四天王の一角と戦ってやろう!

 ラウネンは仕切り直すように、手を大きく叩いた。


「さて! お喋りはこの辺にして……そろそろ始めようかっ」

「戦闘をか」

「んー、あれ? 気乗りしない?」


 ラウネンはへらへらと笑った。


「戦闘を始めるのは一向に構わない。我が輩もそのつもりだ。ただ……」


 我が輩は顔を上に向け、ラウネンを見た。


「貴様、我が輩に勝てると思っているのか?」

「魔力の残ってないキミに何が出来るのかなあ?」


 ラウネンはそう言ってニヤニヤと笑った。


「……随分と舐められたものだな」


 我が輩は床を蹴り、一瞬にしてラウネンの懐に入る。

 そして、ラウネンの頬を魔力を込めて殴った。

 悲鳴を上げる間もなくラウネンの身体は宙に飛び上がり、高速で横回転する。

 その遠心力で四肢と頭が胴体から千切れた。

 床や壁に血液を撒き散らしながら、ラウネンの身体達がぼとぼとと床に落ちる。


「し、死んだ……?」


 それを見ていたコレールが震える声で尋ねた。


「否」


 ラウネンは死んでから真価を発揮する。

 床に落ちていた四肢と頭がピクリと動いた。

 すると、ラウネンの体らはずるずると床を這いずりながらmラウネンの胴体に向かい始める。

 各々、元の場所に収まると、ラウネンは何事もなかったかのように立ち上がった。


「いてて……。嘘でしょー。まだそんなに魔力が残ってるなんてさっ! 本当に怪物だね」

「い、生き返った……!?」


 コレールとグロルは目を剥いた。


「生き返ったのではなく、生きていた頃に戻ったのだ」


 ラウネンは時間に関する魔法を得意とする。

 五体満足で生きていた頃に身体の時が戻るよう、予め自身の身体に《時間逆行》魔法をかけてあるのだ。

 例え身体が粉微塵になったとしても、数秒後には元に戻る。

 実質不死身のラウネンだが、殺す方法はある。

 魔法を使えないようにする魔法《封印》をラウネンの身体に施せば良い。

 生きていた頃に戻る魔法を封じてしまえば、ラウネンは復活出来ない。

 貴様の攻略法は既に知っている。


「終わりだ、ラウネン」


 我が輩がラウネンに《封印》をかけると、魔法陣がかかれた実体のない鎖がラウネンの体に巻きつく。


「絶対嫌だねっ! フラットリー、やれ!」

「はい」


 直後、フラットリーがラウネンにかかった《封印》を解き、《封印》の鎖が割れて散った。

 ラウネンは我が輩を見て、勝ち誇った顔をした。


「にゃぱぱぱっ! フラットリーを創って良かったなあ。《封印》という弱点のないボクは不死身! さあ! どうやってボクを殺すっ!?」


 我が輩はラウネンの頭を掴んで握り潰した。

 ラウネンは膝をつく。

 倒れる前にラウネンの頭は《時間逆行》魔法で元に戻った。


「な、何──」


 ラウネンが何かを言い終わる前に、手を横に薙いで、ラウネンの頭と胴体を分離させる。

 頭は床に落ちる前に、胴体へと戻っていく。

 そして、ラウネンの意識が戻ったところでラウネンに言う。


「丁度良い。一度殺しただけでは腹の虫が治まらないと思っていた」


 ラウネンの首を掴んで、首の骨を折った。

 直ぐに、折れ曲がった首が真っ直ぐになる。


「何度でも殺そう」


 ラウネンの口の中に手を突っ込み、後頭部まで手を貫通させる。

 ずるりと手を引き抜くと、空いた穴が塞がる。


「我が輩の魔力が尽きるのが先か。貴様の精神が耐えられなくなるのが先か」


 ラウネンの首を絞めるが、力加減を間違えて、握り潰してしまう。

 細くなった首は元の太さに戻る。


「勝負しようではないか」


 殺して、元に戻って、殺して、元に戻って……。

 それを十数回繰り返したところで、ラウネンはようやく自分の置かれた状況を理解したらしく、我が輩に背を向けて逃げ出した。

 我が輩は追いかけて、ラウネンを殺した。

 元々、我が輩とラウネンでは戦闘に対する姿勢が全く違う。

 我が輩が戦闘を好んで行うのに対し、ラウネンは戦闘を避け、敵の紛れ込み、内側から崩壊させることに注力していた。

 それでは、一生我が輩には勝てぬ。


「フラットリー! 何やってる! ボクを助けろっ!」


 自分だけではどうしようもないと悟ったラウネンは、立ち尽くしているフラットリーをキッと睨みつけた。

 フラットリーは降参とでも言うように両手を頭の横まで上げた。


「助けると言われましても……。こんなのに喧嘩売る気にはなれませんよ」

「この役立たずがっ! さっさと攻撃しろっ! お前を創ったのはボクだぞっ!」

「……はあ。わかりました」


 フラットリーは渋々我が輩に向かって、《吹雪》を放つ準備をする。

 我が輩は反射的に《防御》した。


「止めろよ! ボース!」


 そう叫んで、グロルがフラットリーに掴みかかった。

 フラットリーは《吹雪》の準備を即座に止め、《転移》を使ってそれを避けた。

 そこにいるはずだったフラットリーがいなくなったことで、グロルは床に顔面を打ち付ける。


「びっくりしたな。急になんだい?」

「創られたからって、そいつに従う必要なんてねえよ!」


 グロルはぶつけた鼻を手で押さえながら、顔を上げてフラットリーを見上げる。


「ウィナに攻撃したらお前は絶対後悔する! だって、仲間なんだから!」


 それを聞いて、ラウネンがニヤリと笑った。

 我が輩はラウネンが何かを企んでいると気づいた。

 しかし、フラットリーとグロルの動向が気になって、ラウネンから目を離してしまった。

 その一瞬の隙をつき、ラウネンがグロル達の元へと《転移》した。


「貴様……!」


 ラウネンを追いかけようと脚に力を入れる。

 ラウネンはグロルの頭を両手で掴み、無理矢理自分の顔へと向かせた。

 そして、


「《キミはボクの仲間》だよ。《ウィナはキミの親の仇だ》。《一緒にウィナを殺そう》っ!」


 そう、嘯いた。

 ラウネンに追いついた我が輩は、グロルから引き剥がそうとラウネンの首を掴もうとする。

 そのとき、グロルが我が輩を突き飛ばした。

 我が輩の手が空を掴む。


「グロル……?」

「そうだった……。なんで忘れてたんだろう」


 そう言って、グロルは我が輩を殺さんばかりに睨みつけた。


「お前は仲間なんかじゃねえ。親の仇だ!」


「どうして」とコレールが困惑している。

 我が輩には理由がわかっていた。

 グロルはラウネンの魔法で偽の記憶を植え付けられたのだ。

 ボースハイトのように!


「貴様、何処まで我が輩を怒らせれば気が済むのだ」

「キミを一度怒らせたら終わりだからね。なら、とことんまで怒らせるしかないじゃーんっ!」

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