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魔王自ら勇者を育成してやろう!  作者: フオツグ
第二部 冒険者になってやろう!

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喧嘩を見守ってやろう!

 ゾンビフラットリーはボースハイトの機転により、何とか倒すことが出来た。

 地上で即死魔法の恐怖を与えていた奴がいなくなり、地面に降りられるようになった。

 コレールは地面に背中から着地する。

 それを見て、ゾンビの残党はわらわらとコレールに集まってくる。

 コレールは一つ深呼吸をした後、体を起こして、ゾンビの足を薙ぎ払った。

 ゾンビ達が怯んだ隙に立ち上がり、ゾンビの残党を倒し始める。

 地に足が着くと一気に頼もしくなる。

 ゾンビをコレールに任せて、グロルとバレットがボースハイトに駆け寄る。


「無事で良かった、ボース──」

「お前、僕のこと殺す気!?」


 ボースハイトがグロルに掴みかかった。


「魔力切れたら空飛べなくなって即死だよ!? 危うく死ぬところだった! ウィナが回復してくれたから良かったものの!」

「わ、悪かったって。無事だったから良かったじゃねえか」

「無事? 無事じゃ済まなかったら何て言ってたの?『悪かった』で済ませるつもりだったの?」

「こっちもこっちで大変だったんだよ」

「死ぬこと以外に大変なことって何?」

「こっちも死にそうだったんだよ! コレールが!」

「はあ? こっちは即死魔法の相手をしてたんだけど!? グロルは前線に立ってないから、即死の恐怖なんてわかんないんだろうけどさあ!」

「死の恐怖ぐらいわかってるっつうの!」


 グロルが言い返したことで、ボースハイトはますますヒートアップする。


「色恋なんかにかまけてるから、いけないんじゃないの?」


 この一言でグロルの顔がこわばった。


「こっちは命懸けでやってるってのにそっちはデート気分? ふざけた話だよ、全くさあ!」

「ぼ、ボース! ストップ!」


 そのとき、ゾンビを片付けたコレールが駆けつけた。

 コレールがボースハイトを止めに入るが、ボースハイトは止まらない。


「なんで僕が止められるの? 悪いのはグロルだろ。全く、あんな胸だけの女、何処が良いんだか……」


 ボースハイトがそう言い終わる前に、グロルはボースハイトに掴みかかった。


「俺が誰を好きになろうと勝手だろうが!」

「はあ? 逆ギレ?」

「俺のことはいくらでも言って良い。でもな、バレット先生のことを悪く言うのは許せねえ!」


 我が輩は頭の上にはてなを浮かべる。


「バレット……? なんでここでバレットの名が出るんだ?」

「ウィナ……本当に気づいてないのか?」


 コレールが半ば呆れた顔をした。


「ハッ!? もしかして、グロルはバレットが『好き』なのか!?」


 確かに、バレットが絡むと、グロルは赤くなったり、変な動きしてたり、変な声を上げたりしていた。


「まさか、あれが『好き』……?」


 誰かを『好き』になるとあんな風に変になってしまうのか?

 ならば、我が輩は誰も好きになりたくない。


「大体なあ! お前が自分の魔力を管理してねえのが悪いんだよ! 自分の命は自分が守れよ!」

「いつもお前の前に立って、盾になってんの誰だと思ってんの!?」

「コレールだろ! お前じゃねえ!」

「はあああ!?」


 二人の口論は止まらない。

 コレールは二人の顔を交互に見た後、涙目で我が輩達を見る。


「ウィナ……。バレット先生……」


 助けを求められても、我が輩にはどうにも出来ない。


「これは二人の問題だ。第三者が割って入って解決するものではない」

「で、でも、二人は今、頭に血が、上ってるんだ。冷静な判断が、出来ない。だから、冷静な俺達が、何とかしないと……」

「冷静な判断が出来ないなら尚更、我が輩達が割って入っても無意味だろう」


 あと、今のコレールは冷静に見えない。


「もうやってらんない」


 ボースハイトがそう言い放ち、《浮遊》で宙に浮いた。

 そして、我が輩達から離れていく。

 慌ててコレールが叫ぶ。


「ど、何処に行くんだ、ボース!?」

「僕はパーティを抜ける」

「え!?」


 ボースハイトはグロルを見て「あはは」と笑った。


「これからは気楽な一人旅だ。お荷物がいなくなって、清々するよ!」

「こっちの台詞だ!」


 二人はフン、と顔を背け合った。

 コレールは飛んでいくボースハイトを追いかけようと、そっと宙に浮いた。

 しかし、直ぐに逆さになってしまう。

 じたばたと手足を動かして、どうにか頭を上にしようともがく。

 が、直ぐに背中から地面に着地する。


「追いかけよう! グロル!」


 飛んで追いかけるの諦めたな……。


「ほっとけよ! あんな奴!」

「ほっとけないよ! ここで、ボースを追いかけなかったら、一生仲直り出来ないかも……」

「仲直りなんてしなくて良いし!」

「そ、そんなこと、本気で思ってないだろ……!」


 コレールがボースハイトの飛んでいった先を見る。

 ボースハイトの姿がかろうじて見えた。


「ウィナ、バレット先生、グロルを任せます。俺は、ボースを、追いかけます」

「コレールはボースの味方すんのかよ!」

「そ、そうじゃないよ……! ボース、ほっといたら、悪さするかもしれないから、見張らないと……」


 グロルはハッとする。


「確かに……そうだな。一人にしたら悪さするかもしんねーな、あいつ……」


 そう一人でぶつぶつと呟いた後、ため息をついた。


「仕方ねえ。俺も追いかけてやる」

「グロル……」


 コレールは安心したような顔をして見せた。

 ボースハイトの姿はもう見えなくなっていた。

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