【求めろ最速!】異世界RTAコンテスト!【攻略せよ異世界!】
息抜きのパロディ小説です。
地の文はありません会話分がほとんどです。
はい、よーいSTART。
【異世界RTAコンテスト!】
【コンテストの概要】
・異世界転生または転移の物語、または元々異世界を舞台にした話をいかに早く、簡潔に終わらせられるかを競う。
・レパートリーは以下
・王道の魔王を倒す系
・無能だと思われて追放系
・強くてニューゲーム系
・成り上がりざまぁ系
・団体転移系
・悪役令嬢系
・その他(要追記)
【基本ルール】
【1.タイムスタートの瞬間】
1-1.異世界転生(転移)系の場合
・転移、転生して能力を授かった瞬間
1-2.追放ざまぁ系の場合
・パーティリーダーに「お前クビや」と宣言された瞬間
1-3.成り上がり系の場合
・底辺まで落ちた瞬間
1-4.悪役令嬢転生系の場合
・自分が悪役令嬢の世界に転生していると自覚した瞬間
※その他の場合はそれぞれ走者が自分でスタートの瞬間を設定可能
【2.タイムストップ(計測終了)の瞬間】
・基本的に現実に帰還した瞬間
2-1.その他は以下
・魔王を倒す系:魔王を倒した瞬間(死に際の言葉はスキップ可)
・追放系:追放した勇者をボロクソにした瞬間(走者ごとに要設定)
・強くてニューゲーム系:生前死亡したポイントを越えた瞬間
・悪役令嬢ものの場合:メインキャラを攻略または「その世界のラスボス」を攻略した瞬間
【細かいルールについて】
1.いわゆるバグ、チート系の使用
1-1.基本的には何をどうしようとOK
1-2.ただし、その世界の住民皆殺しルートはNG。明らかに必要以上の殺人を行った場合はその場で失格、運営によって逮捕される
2.異世界転生(転移)で、元から持っている能力を使うことについて
2-1.基本的には元から持っている能力の使用も可能
2-2.だだし、全く異世界の要素を介さないような、無条件でクリアできてしまう能力は禁止とする
(例)全能、世界改変、因果律操作、認識改変など
3.走者がコンテスト中に死亡した場合
3-1.当然失格としてタイムストップが行われる
3-2.ただし、その世界の蘇生魔法の類で復活可能の場合はタイムストップは無し
第一走者:綺紅麒麟(集団転移系、最弱能力付与)・00.23.17秒(世界第4位)
『さぁ、始まりました! 第×○回異世界RTAコンテストォー!!!』
『実況は私イカイ=カミオがお送りします!』
『解説には「異世界転生させた人間は星の数。意外といい奴多いんだよ?」でお馴染みの転生神マルハゲに来ていただきました!』
『どうも、マルハゲです。よろしくお願いします』
『さぁ〜マルハゲさん。最近になってますますテンプレートが増えてきたこの、異世界冒険もの! 当然、テンプレートが増えるということは最速へのチャートも増えると言うことですか?』
『そうですねぇーはい、おっしゃる通り。1っコね、テンプレが増えると、10コは違った最速チャートが生まれると考えていただければええと思います、はい』
『なるほどー! ちなみに平均タイムはどれぐらいになるんでしょうか?』
『モノにもよりけりなんですけどね、でも……そうですなぁー。昔馴染みある「剣と魔法の中世で魔王を倒す勇者」系だと、最近は3分切っとりますねー』
『カップ麺より早いんですね! それはすごい!!』
『いやほんまそれ、ラーメンタイマーを超えちゃってますよ彼ら(笑)』
『さぁ、ここで今回の舞台の紹介に移りたいと思います。カメラさん? 画面お願いしまーす!』
『はい! 映りましたね。マルハゲさんどう思われます?』
『ほー、これはまたコテコテの中世的なお城やないですか』
『そうですね。ガラス細工を精巧に作る技術や大刀を量産する鍛治技術がありながら、なぜか数学とか碌に発達してないいつもの謎世界ですね〜』
『いやそういうの結構理由づけされてたりするんですよ? イメージだけで語るのは良くないですワ』
『これは失礼致しました。では世界観の紹介です』
『まずこの世界は「世界を支配しようとする魔王がいて、人類は追い詰められており、伝承に従って異界から勇者を複数召喚し、その勇者に素地に従ったチート能力を付与して、魔王の討伐をさせる」という流れになっていますね』
『コテコテですやん! 今時珍しいですよそこまでザ・テンプレなやつ! よー見っけて来ましたね!?』
『ありがとうございます。そして今回の大まかなルールは「転移して能力を授けられた瞬間」から、「魔王を倒すまで」となります』
『シンプルですねぇ』
『ムダに凝ったものは敬遠されますので!』
『さぁ、走者の紹介です!』
『名前は「綺紅麒麟くん」。設定は大学を2年で落ちこぼれてネトゲ三昧のニート生活を続け、ある日突然異世界召喚される、ということになっています』
『あー、これはアレやアレですわ。ネトゲで培った戦術とか武器選択が活きるパターン』
『なお走者はRTAに挑むことは承知なのでご了承ください』
『つまり……人生やり直してるのに、このRTAのためだけにネトゲ廃人になってる、と……恐ろしいやっちゃ〜』
『はい! まさにRTA走者に相応しい選手ということです!』
『開始前のインタビューで麒麟くんの意気込みをもらっています』
──やはり、人生で一回あるかないかの異世界転移ですからね。考えると手が震えて来ますよ。でもチャートは頭に入ってますので、最速タイム出すためには、自分ができる限りミスをしないことだと思います。
『ええ意気込みですやん。RTAに慣れとるワ。これは新記録期待できるとちゃいますか?』
『ちなみにマルハゲさん、これ系の最速タイムは……』
『00.11.05秒ですワ。早いですよこのパターンは』
『早すぎません!? え? タイムスタートは城に召喚されてからですよね!?』
『もうあの辺は、いかに能力をバグらせて世界の裏側を通過して、魔王をハメ殺すかみたいになっとりますからねぇ』
『技術の日進月歩を感じますね!』
『さぁ、そうこうしているうちに、麒麟走者が異世界に転移しましたよ! 玉座の前、王の御前で麒麟くん以外に、他に三人召喚されてますね』
『あっ、ここ! ここ見てください今見えました? 今手ェでなんもないとこまさぐったでしょ? 他の子がテンパったりカッコつけてる間に』
『はい、たしかに……何の意味があるんでしょうか?』
『アレね、ステータス画面を開けるか確認してたんですワ』
『ステータス画面ですか? でもなんでです? それがタイム短縮につながるとは思えないんですが……』
『ステータス画面っていうのはね、自分に内在する情報を自空間を歪めて、自分の情報をその領域に上書きすることで展開するんですよ、モノにもよりますが基本はコレ!』
『あ、つまりワープに使えると……』
『そういうことですワ。さっき言った「世界の裏側」へと突撃できるかどうかは、まずステータス画面の有無がデカいんですよ』
『開始前行動ですけど、ギリギリルール違反ではないんやコレは』
『なるほど、つまり麒麟走者は……』
『ええ。やっぱり彼、ようわかってますよ。異世界RTAの走り方を』
『でも今回はステータス画面が出ませんでしたね』
『そやね。つまり腕の見せ所ですよ、これは』
『麒麟走者、能力を付与されましたがおや……? 能力確認も行わずに王の前に歩み出て……?』
『ああっと!? 殴った!? 殴った!? 王を殴りましたよ!? どういうことだこれはァ!!?』
『衛兵が飛び出して来ましたが、ああっと! 麒麟走者、1人の衛兵にしがみついて……消えました!! どういうことでしょう? マルハゲさん!?』
『まずですね〜、麒麟くんは自分の能力がサポート系とわかったんですねー』
『確認してませんよね?』
『いや、これを見てください。カメラさーん! 画面変えてらもらえますー?』
『これは……麒麟走者の元いた部屋ですね。パソコンに、プレイ中だったネトゲがついたままです』
『画面、見てください』
『画面……ああーっ! こっ、これは!!』
【プレイヤーネーム】☆聖光神超天魔☆
【職業】鑑定士
【スキル】
鑑定LV1000
分析LV1000
感知LV1000
索敵LV1000
『そうや。麒麟くんは「素地に従ったチート能力」をもらう法則を利用するために、普段からやってるネトゲのスキルをサポート系に全振りして極めとったんや』
『つまり……麒麟くんはあの一瞬で、衛兵たちの隠された能力を見抜いたと』
『そういうことや。王様を殴れば近衛中の近衛が揃って出てくる! その中からワープ能力を持つか、潜在的に秘めてるヤツをみっけて、それを利用して魔王城へワープしたんや』
『なるほど、しかしそれは……』
『そうです。バグらせて世界の裏側を通ってない分、タイムは大幅ロスですワ』
──00.04.07秒
『たしかに、ここから6分弱で魔王討伐は厳しいでしょうね』
『挽回できる場面も限られますからねぇ』
『あ、そうこうしてるうちに魔王城まで来ましたよ! 流石に結界に阻まれてなかには……は、入ってるぅ──!!? 何をした麒麟走者!!』
『あれはですね、結界のすぐ近くで結界に向けてワープ能力をこまーかく刻んで連続使用するんですよ。するとですね、ワープ能力で体が出たり消えたりするじゃないですか、そしたらね、バグるんですよ。0コンマ1秒もない瞬間、心はこの世にあるのに、体が消えたままみたいな状態になるんですよ。その瞬間に、結界を通過するテクニックですワ』
『ああー、しかし密着してバグったせいで、麒麟走者と衛兵の体が変にくっついてますね』
『腰から手が生えてるの、ウケるわ〜』
『後頭部に衛兵の顔面がありますね、動きにくそうです』
『いや運動能力はオチますけど、ワープ能力も手に入れたようなモンですからプラマイプラスですよこれは、よう考えてますよ彼』
『あ、ほんとだ魔王の前にワープしましたよ!』
『って魔王の顔の内側から衛兵が飛び出して魔王ごと破裂したー!?』
『はい、タイムストップ! タイムストーップ!!』
『マルハゲさん! 記録は!?』
『00.23.17秒! ……世界4位となります!』
『あちゃー。順調だと思ったんですが……だいぶロスがあったということでしょうか?』
『そうですねー。まずやっぱりステータス画面が開けなかったのが痛いですワ。後、ワープ持ちの衛兵を見つけるのにちょっと時間がかかりすぎたこと、結界抜けワープのタイミングが遅かったことがありますね〜』
『シビアですねぇ』
『タイムアタックですからね、しょうがないね』
『あ、中継がつながったそうです。カメラさーん! 麒麟走者映してもらえますかー?』
──どうも、麒麟です。
『麒麟走者──! 惜しくも世界4位という結果となりましたが、どうでしたか?』
──いや、チャート通りにいかなかったですね。王様を殴る前に、玉座のとなりに立ってた女性、いたじゃないですか。
『あ、あの王様の前なのにやたら露出が多いドレスの破廉恥な人ですね!』
──はっきり言いますね(笑)。あれ、ハニトラ狙いでスタンバってたと思うんですよ。
『ああー、ありがちですねえ』
──で、一目でわかったんてますけど……その、胸にですね……。
『見惚れちゃった、と?』
──はい。恥ずかしながら、童貞なもので、エロ耐性がありませんでした。
『それは仕方ない! 気持ちはわかります』
『とにかく、世界4位。おめでとうございます! お疲れ様でした!!』
──はい、ありがとうございます。また、腕を磨いて挑戦したいと思います!
『マルハゲさんもありがとうございました』
『はい、お疲れ様です。んじゃ私はこの後「間違えて殺した体で謝罪の代わりに異世界転生させます」案件をいくつか片付けますんで、この辺で』
『はい、お疲れ様でした! 失礼します』
『さて、今回の「異世界RTAコンテスト!」、いかがでしたでしょうか?』
『異世界を最速でクリアしたい! 俺が最速だ! こんなの俺でもできるぜ! という熱意あるチャレンジャーを、我々は常に求めています!』
『機会がありましたら、是非、あなたもどうぞ』
!完!
ありがとうございました