表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/32

よっちとハムちゃん

こんばんは。今日も一作。即興で書いたものです。原稿用紙十枚の短編は筋トレのつもりでやってます。

頭の中を小説モードにするため。まあ、作文程度の内容ですが。。

 少しずつ雪が降り積もっている。こんなに雪が降るのは久しぶりだ。雪国ってほどの地域ではない。でも時々雪は降る。毎年のように降っていたけれど、ここ最近は降らなかった。久しぶりの雪に心弾ませていた。

 二人の子どもは朝から「雪だ」とキャッキャと騒いでいる。物心ついた頃から見る雪は今回が初めてかもしれない。

「雪だるまできるかな」

 長女が聞くので、

「この雪だとむりだろうね」

 そう僕が答えると、至極残念そうな顔をして、

「じゃあ、雪合戦は?」

 と再び聞くので、

「それも無理かなあ」

 というとしょっぱい顔をして、諦めたようだ。

 うちには一匹犬を飼っている。その犬がこの雪が降ったのが大層嬉しかったのか、やたらと散歩に行きたがる。僕は寒いのは苦手で、本当は散歩になんか行きたくなかったけれど、次女が散歩に連れて行きたがっているので、仕方なく付き合うことにした。

 この雪の中、外は誰もいなかった。

 寒いね、と次女が笑う。僕もそうだね、と笑った。

 次女の嬉しそうな笑顔を見て、僕は良かったなと思った。

 僕は幸せだ。そう思えた瞬間だった。

 犬の名前は「よっち」。よっちはよく吠えた。その吠え方が「よっち、よっち」って聞こえるから「よっち」になった。

 保護犬だ。最初は慣れるまでに相当の時間を要した。

 その「よっち」との散歩も慣れてきた頃、長女が猫を飼いたいといい出した。

 さすがに犬にもう一匹、猫までは手が回らないだろう、そう思った。

 すると、妻が

「猫は散歩に連れて行かなくてもいいから飼ってもいいんじゃない?」

 とか言い出した。

 確かに、言われてみればそうだが、それでも僕にとっては二匹の動物を家の中で飼うのはあまり乗り気ではなかった。

「ハムスターならまだしも」

 そういった僕がバカだった。

「え? ハムスターならいいの?」

 長女が目をらんらんとして僕に聞く。

 しまった。でも遅かった。

 今度は次女まで

「ハムスター、賛成!」

 と大声で言ったのだ。

 週末、家族全員で近くのホームセンターのペットショップに行った。

 ハムスターを飼うのは初めてだ。何を揃えていいかわからない。

 店員さんを呼んだ。

「ハムスターを探してるんですが」

 長女が口を割った。

「ハムスターですね。色々種類がありますが、育てやすいのはジャンガリアンハムスターとかになりますね。出しましょうか」

 そういうと店員の女性がケージと呼ばれるケースの中から一匹、ハムスターを取り出しいた。

「可愛い」

 長女がそういうと、次女も

「可愛いね、欲しい」

 と言った。

「他に種類とかあるんですか?」

 妻が店員の女性に聞いた。

「キンクマハムスターというのもいますよ。可愛いですよ」

 そう笑う店員の笑窪の方が可愛いなと母おくは思った。

「ねえ、パパ。私、ジャンガリアンハムスターの方がいい。小さくて可愛いもん」

「でも、大人になったらわからないよ」

 と僕が口を挟むと、

「これ以上大きくなることはまずないので、大丈夫ですよ」

 と店員の女性が笑った。また笑窪が出来ていた。

「じゃあ、このハムスター一匹ください」

 僕がいうと長女と次女がキャッキャと跳ねた。

「ハムスターを飼うのは初めてですか?」

 店員の女性が聞くと、長女と次女が、うん、と頷いた。

「では、一通り揃えるようにした方がいいので、ご案内しますね」

 ハムスターのいる部屋から移って、ペットの周辺アイテムの売り場へと案内された。

「ケージは水槽タイプと金網タイプとありますが」

「どっちがいいですか?」

 僕は全くわからないので聞いた。

「そうですね、好き好きですね」

「じゃあ金網タイプにします」

「わかりました。では、次にお風呂ですね、それとお風呂の砂。ペレットというエサを入れるエサ入れですね」

 次々と流れるように澱みなく説明してくれる。しかし、ハムスター一匹に随分と大袈裟なことになるんだな。

「あの、くるくる回ってるあれは?」

 次女が聞くと、

「回し車と、水差しはケージのセットに入ってますので心配いらないですよ」

 と丁寧に教えてくれた。

 結局、全部で一万円近く支払った。

 車の中で名前をつける会議が始まった。

「ハムちゃんは?」

 次女が真っ先にそういうと、

「いいね、ハムちゃん、可愛い」

 長女も賛成した。

「じゃあ、ハムちゃんで決まりだな」

 僕がそういうと家族みんながうなずいた。

「その代わり、よっちとハムちゃんを同等に可愛がるんだぞ」

 僕がそういうと、

「よっちの散歩は任せといて」

 長女が張り切って言った。

「ハムちゃんの部屋の掃除とかは私がするね」

 次女が積極的にそう発言した。引っ込み思案だった次女が意志を持って答えたことには正直びっくりしたし次女の成長を感じた。


 ハムスターが家に来てからは我が家は賑やかになった。

 というのも、夜が大変だった。回し車のシャー、という音に悩まされた。

 ハムスターは夜行性だから夜に活動するのだった。

 でも、飼った以上責任があるので、しっかりと世話をした。

「ハムちゃん」

 毎朝、長女と次女が学校に行く前に声をかける。

「今日も行ってくるね」

 長女がそういうと、次女も

「私も頑張ってくる」

 と続く。

 妻は、パートを始めたばかりだった。

「私も新しい職場になれるように頑張ってくるね、ハムちゃん」

 家族全員がハムスターに声をかけて出かけるのがルーティーンとなった。

「俺も、仕事頑張ってくるよ」

 僕までも声をかけるようになった。

 帰ってくると、よっちの散歩が待っている。でも、僕が帰ってくるのは夜の八時ぐらいだから、散歩は娘が交代でやっている。

 妻は散歩には連れて行かない。だから、よっちは妻にはあんまりなついていない。

「よっち、よっち」

「ハムちゃん」

 二匹の動物が家の中にいることが当たり前になった。最初は負担かな、と思ったけれど、ハムスターは比較的飼いやすいから、よっちとどっちも可愛がることができた。

 日曜日はよっちの散歩は僕の役目だ。

「よっち、散歩に行こうか」

 僕が話しかけると、

「よっち! よっち!」

 と鳴く。

 本当に「よっち」という名前の通りだ。

 よっちを連れていると、近所の子どもたちが寄ってきて、頭を撫でていく。

「可愛い」

 そう言って頭を撫でていく。

 自分で言うのもおかしいけれど、よっちは可愛い。保護犬で雑種だけど、可愛い。

 小さい頃はもっと可愛かったけれど、大きくなってからも可愛さは変わりない。

 ペットは家族だ。

 ハムスターの世話をしている娘も一人前になった。やっぱり誰かの世話をすると言うことは人間的成長にもつながるのだろうか。

 長女も次女も、よっちを飼ってから、またハムちゃんを飼ってから少し大人になったような気がする。それはそれで一抹の寂しさもあるが、僕としては嬉しくもある。

 あ、でも、まだお嫁さんに行くのはダメだよ。っていうか、小学校の頃からこんな思いをしていたら、年頃になったら僕はどうなってしまうんだろう。

 ハムちゃんは今日もガラガラと回し車を走る音がうるさいけれど、僕は寝てしまえば朝起きるまで目が覚めないので、いいのだ。

(了)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

またお会いできる日を楽しみにしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ