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管理官アラタの異世界間仲介管理業務  作者: 紅咲 いつか
四章 管理官アラタの異世界召喚仲介業務
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File10-13「因縁の衝突」

「お前が『アラタ』?」

 ゼータが楽しそうな笑みを浮かべてアラタを睨み据えた。対して、アラタは特に表情を変えなかった。その目はゼータを見据えながらも、その意思が警戒しているのは明らかにオメガだった。

 轟音とともに大地が抉れる。裂けた大地を見下ろしながら、アラタたちは虚空で身を翻すとゼータとオメガから距離を取った。

「俺を無視してんじゃねぇよ」

 拳を地面に振り下ろしたゼータが、全身に紅い空気(オーラ)を纏って威嚇する。アラタは着地すると同時に、炎の中から双剣を生み出す。

「『強者は拳で語るもの』なんて言葉が、ある異世界にはあるらしい」

 アラタは目を細め、深紅に染まった双眸でゼータを手招く。

「会話するだけ無駄だと考えている……違うか?」

 安い「挑発」でも、ゼータは笑って応じてきた。

「そういうの、嫌いじゃねぇな!」

 拳とともに纏った赤い気を操って無数の刃を生み出してくる。

「管理官権限執行、流星矢!」

 オギナが弦を引き絞り、光の矢を虚空に放つ。分裂した光の矢が雨のようにゼータに降り注いだ。しかしゼータの全身を闘気があっさりオギナの矢を弾いた。

「管理官権限執行、迷宮」

 即座にアキラが右手を掲げる。

「っ!?」

 アラタの目前まで迫ったゼータが、どういうわけかアキラの背後に出現する。彼女が得意とする空間干渉で、ゼータの進行方向を強制的に捻じ曲げたようだ。

「てめぇっ!」

「管理官権限執行、水弾!」

「管理官権限執行、御神渡!」

 キエラが即座に双銃で水弾をゼータへと射ち、アキラの冷気を纏った氷がゼータの全身に纏わりつく。

「くそっ、舐めんなよ!」

 ゼータも全身に炎を纏って氷の呪縛から逃げ出す。そこへ短剣を持ったジツが追撃した。

「あちらはゼータさんに任せるとして……」

 ゼータとアキラたちの戦闘を横目に、オメガがアラタに向き直った。

 アラタ、オギナ、ツナギがそれぞれの武器を構え、オメガを睨み据える。

「あなたはやり過ぎた」

 ツナギの鋭い双眸が、オメガを批判する。

「楽に死ねると思うな」

「そのお言葉、そっくりそのままお返しします」

 オメガも担いでいた大剣をアラタたちに向けると、表情を消した。

「神々の横暴を見聞きしてもなおそちら側につく。大罪を犯す者には死あるのみです」

 言うや否や、オメガが地を蹴り、アラタたちへ一閃した。

「〝加圧(ロワイ)〟」

 圧力を乗せた斬撃がアラタたちを強襲する。

「管理官権限執行、守護結界!」

「〝防壁(トーサメナ)〟」

 ツナギ、オギナが防壁を形成する上に、さらにアラタが防壁を展開する。

 正面からオメガの斬撃を防壁で受け止めた。斬撃が大地を抉り、霧散する。

「まだまだですよ!」

 オメガが大剣を振り上げて嗤う。

「〝怨嗟(ヨタウ)〟」

「管理官権限執行、特殊防壁」

 魂を揺さぶるような金切り声の中、オギナが即座に結界を張った。耳から入り込む金切り声がすぐさま遠ざかる。そんな中を、ツナギとアラタが駆けた。

 武器を手に迫る二人に、オメガが大剣を向ける。その刃が黒く染まった。

「〝(ハルニツ)()消滅(ニエンサへイ)〟」

「管理官権限執行、地柱槍!」

 ツナギが地面に手を突き、オメガの足元から土の槍を生み出す。平衡(バランス)を崩したオメガが大きく跳躍し、そこへアラタが追いすがる。

「〝救済(ナチンサウツ)()(リロヒ)〟」

 院長を殺めた黒い刃が迫る中、アラタの真っ直ぐな目が笑みを浮かべるオメガを見据えていた。無数の光の剣が黒い刃に吸われ、砕けた。アラタは手にした双剣で、オメガの肩から胸にかけてその炎の刃を振り下ろしたのだった。

Copyright(C)Itsuka Kuresaki 2022

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